マイ「艦これ」「みほ3ん」
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EX回:第27話(改2)<策士>
前書き
明日、ブルネイを発つ打ち合わせを技術参謀と行う司令。しかし日向も五月雨も、眠気には勝てず……
「あいつは策士だぞ」
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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)
EX回:第27話(改2)<策士>
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作戦参謀は言った。
「美保のお前たちは気付いていただろう。ここブルネイの鎮守府が妙だと言う事」
私は頷く。
五月雨は、きょとんとしている。
技術参謀は腕を組んだ。
「結論から言えば、ここは未来だ。我々は数十年先に来ている事は明らかだ」
五月雨は目を丸くしているな。無理も無い。
構わず参謀は続ける。
「いわゆるタイムスリップってやつだな。こんな現象は映画か小説でしかあり得ない。だが私は工廠で調査して、それを確信した」
(調査ではなく、諜報活動だと思うが)
そんなことを思った。
「……まあ良い、起きたことは仕方ない。問題は、どうやって帰るかという一点だ」
私は安堵した。
工廠をほじくり返したヤバイ話が出るのではないかと冷や冷やしていたのだ。
(余計なことは聞かないのが一番だ。国家機密かも知れないし)
私は、そんなことを思いながら意見を言ってみた。
「よくあるパターンとして、来た道を帰るという方法がありますが」
すると意外にも技術参謀はひざを叩いた。
「おぉ、それだよ! 良く分かっているじゃないか」
「え? ……やっぱり、そんなノリですか?」
彼女は腕を組んだ。
「もっと厳密に言えば、あの二式大艇の航路を逆に辿る。その際、あの時と同一の気象条件が発生すれば、まあベストだが」
私は昔見たSF映画を思い出した。あれは米国の空母がタイムスリップしてた。もちろんそれは艦娘ではない。ただ、その後で米軍の空母が我が国の戦闘機とドンパチやっていた。どういう経路であの映画ソフトを入手したのか忘れた。誰かが密輸したらしいが……あの通りになって欲しくないものだ。
私の妄想には構わずに彼女は続ける。
「気象条件に関しては、運次第だ。しかし日本と違い、この辺りは年中同じような気象条件だから、逆の航路を行けば、来たときと同じ現象が起きる確率は高い」
「なるほど。それは希望的ですね」
その時、日向が参謀のお茶を持ってきた。
「どうぞ」
「ああ、助かる」
互いに軽く会釈をして、お茶とおつまみを置いた彼女も空いたソファに座った。参謀も話して喉が渇いたのだろう。出されたお茶を一気に飲んだ。
それから改めて彼女は口を開いた。
「何が原因でこうなったかは分からん。ただ外的に同じ条件をそろえること。つまり同じ機体、同じメンバーで逆を行けば何かの引き金になって同じ現象が発現する可能性は、かなり高いだろう」
私も、こういった話題は好きなんだが既に五月雨はボーっとしていた。
ま、上の空で聞いて貰った方が本人のためだろう。機密事項かも知れないし。
「ただ、ちょっと情報を調べて気にったのだが」
「調べた?」
嫌な予感がした。
「何だその顔は?」
「いえ……」
彼女は一呼吸置いた。
「この時代は情報網が発達しているようでな。ここの予定表から、この時代の省のデータベースまで、ちょっと侵入したら簡単に分かった」
「ちょ、ちょっと! 勝手に入ったんですか?」
「いちいち驚いた顔をするな! 気色悪い。だいたい省の基幹システムの設計は私だぞ? 軍のフレームなんて、そう簡単には変更されないからな。まぁ言ってみれば自分の庭みたいなものだ。パスワードくらいなら破るのは簡単だ」
「怖い人だ……」
技術オタク、いや「神」か。
なおも得意気に成る参謀。
「ふふふ面白かったぞ。この時代の私もまだ省に居るらしくてな……冗談で自分にメールを送ってやった」
「ちょっと、それはやりすぎでは?」
「なんだ?技術者の好奇心と呼んで欲しいな」
「付き合いきれません」
私に突き放された参謀は、ちょっと残念そうな表情になった。だが改めて眼鏡をかけ直した。
「気になるのは……司令も知っているだろう、ここに来るはずだった部隊も美保鎮守府であり時期も年代が違うだけで日付が符合しているという偶然の一致だ」
「ほう技術参謀もご存知でしたか?」
「当然だ。気持ち悪いくらいの偶然だな」
ここまで来てふと見ると五月雨も日向もウトウトしている。オタクな会話が続いているからな。
技術参謀もそれを見ると、急に雰囲気が変わった。
「寝たな……おい、もう少しこっちへ寄れ」
「変なことしないで下さいね」
「お前は馬鹿か? チョッとは学習しろ! あんなことも、こんなこともせんわ!」
「済みません。学習能力ゼロです」
「いいか」
技術参謀、小声になる。
「あの武蔵の言葉を覚えているか?」
「はい……目に見えない物という」
当てずっぽうだったが参謀は頷く。
「そうだ。あの言葉の如く、あいつは策士だぞ」
「というと?」
彼女は深呼吸をした。
「目に見えない物ほど永遠……これは要するに電子データを象徴した言葉でもある。あの時、返すように言われたモノはなんだったか、覚えているか?」
私は、ハッとした。
「返却した資料は全て『目に見える書類』だったとか……」
技術参謀はニタリとした。
「つまり、あいつは我々が取得した情報のうち目に見えない電子データや艦娘の脳内データについては一切、咎めないと暗に伝えていたのだ」
「ひゃあ、そうだったのですか!」
私は驚愕した。
だが技術参謀は、ひとこと渇を入れる。
「このくらい悟れ、ばか者」
「はい、済みません」
……しかし私を叱責しながらも参謀は嬉しそうな表情をしている。
「やはり帝国海軍のトップクラスの戦艦は根本的な志が違うよな。同性ながら惚れる」
「艦娘と参謀が同性?」
私は複雑な気持で呟いたが、参謀は何も言わなかった。
既に日向と五月雨はソファで爆睡中だった。二人とも寝顔は可愛いな。
まぁこんな時間だ。しばらく休んだら良い。
後書き
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。
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