| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

HUNTER FUNG

作者:真亭 甘
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

魔導兵器


奥へ進むダルフが扉を開けると、図書室の2階部分になっていて中央に階段があり、そこまで数十の本棚の列になっていた。

その数十の本棚の列を抜けて中央階段に向かうと、中央階段下の2階にある長テーブルにある男が座っていた。

「おぉ、来たか!ってか、遅くねぇか?無駄な努力して、ボクに殺されに着たようなものなんだからよ」

「ジェス!!」

テーブルに座り椅子に足を乗せて、300ページほどの本をお手玉のように遊びながら話しかけてきた。

ダルフは怒るように腰壁の手摺りを握り、それを乗り越えて襲いかかろうとしていた。

しかし、ダルフの後ろから暗騎が斬りかかってきた。




「ひゃっはははは、てめぇの相手はボクじゃねぇ~よ!よそ見して死になぁ」

ジェスは大笑いして、ダルフらが立ってところを見ていたが、笑い顔から引き顔に変わっていった。
後ろから不意打ちを受けたダルフが、左腕に炎を纏い暗騎の剣を受け止めていた。

「くぅぅぅ、見かけないと思ったらここにいたのかよ」

ダルフは暗騎を見つめながら呟いたが、暗騎は何の反応も無い。それどころか剣を押し当ててダルフのバランスを倒して斬ろうとしていた。

「あ~あ、つまんねー!」とジェスは言うなり、テーブルに置いてあった万年筆をダルフに向けて勢いよく投げた。

「ぬがぁ、くそぉ」

ダルフが叫ぶと、暗騎のお腹を蹴り飛ばし、万年筆を弾き飛ばした。

「ちぃいぃ」

ジェスが睨む、ダルフも睨み返すがその余裕もなく、暗騎が後ろから襲って剣を一振一閃。今度はダルフが飛び上がり、吹き抜けの宙に浮いた。





「うぉおぉぉ」

ダルフの右腕に炎が纏いジェスを殴りかかる。ジェスはもたれるように座っていたので後ろ回りをして飛び上がりして躱した。空振りに終わったダルフの右腕は長テーブルを粉砕した。

それを追うかのように、暗騎が剣を振り下ろしながら、3階から落ちてきた。躱しているとジェスの姿を見失った。

「ジェスぅぅぅ」

図書室一体に響き渡るようにダルフは叫んだ。すると何処からかわからないが、ジェスが話し返してきた。

「てめぇの相手をするのは、その騎士からだよぉ!ボクに殺される前にいたぶられなよ」

ジェスは言い返してきたが、どこにいるのかわからなくなった。


そんな悠長なこともやっとれずに、暗騎が斬りかかってきた。暗騎はダルフまで猛スピードで詰め寄った。

「くそぉ」

ダルフはムカつきながら暗騎の接近に備えて、両腕に炎を巻きつけた。そして、暗騎が来たところにタイミングを合わせながら、振返りさまの右の炎の右ストレートをぶっ放した。




しかし、暗騎は寸前はバックステップで一歩下がっており、ダルフの一撃を躱した。

その後、暗騎はワイヤーロープで吊るされたかの様に、浮き上がりダルフの上をふわふわと通り過ぎながら剣で切りつけようとした。それを炎が纏った左腕で弾き飛ばす。

「ちぃ、躱すのかよ・・・スパーンと行ったと思ったのによ」

3階に潜みながら、ジェスはダルフと暗騎の戦いを見ていた。

暗騎は弾き飛ばされながらも、そのまま勢いを利用して一回転し下から掬い上げるかのように、背後から斬り上げた。

ダルフは無理矢理体を拗じり、避けて体を回し暗騎の方に向けなおす。暗騎も空振りながらも、ゆっくり時間が止まったかのように両足を着地させる。



今度はダルフから攻めかかり、右・左・回し蹴りなどのコンビネーションを繰り広げ攻撃するが、暗騎に悠々とすべて躱され回し蹴りを躱した後に左手の剣を振り降ろす。が、こんどはダルフがバックステップで躱すが暗騎が右足のバックキックを繰り出され、ダルフは後ろの本棚に吹き飛ばされる。

「ぐぅ・・はぁ!!」

暗騎はつかさずにダルフに近づき斬りかかるが、ダルフは両腕で体を押し上げて避ける。空振りに終わった暗騎の剣は本棚を真っ二つに切り裂いた。

「なんてデタラメな動きなんだ・・・」

ダルフは本棚の上を飛び跳ねながら、暗騎と距離を取る。



暗騎がダルフを見て、照準を確認したかのようにダルフに一直線上に飛び跳ねた。

それを見たダルフは上空へと飛び上がった。

「仕方ない・・・」

両腕に巻きつけていた炎を右手に集中させて、左振り払うと同時に5つの火の玉を飛ばして暗騎を襲った。それを左右に何度も振り払った。

横一列に飛ぶ火の玉を暗騎は、自分の前に来るのだけを斬り払いして近づいて行く。

しかし、見逃し背後に行った無数の火の玉が暗記を囲い込み、四方から火の玉が襲いかかる。

暗騎はなんの焦りもなく斬り払いするが、その内に追いつけなくなり暗騎を囲って爆発する。





「ちいぃぃ」

影から見ているジェスは悔しがる。

本棚の上に着地したダルフは爆煙を見守るが、煙の中から暗騎が出てきて襲いかかる。

つかさずに防御をするが、勢いに弾き飛ばされた。左膝と右手を地面に擦らせながら後ろに下がっていく。

止まりかけた寸前で前に飛び掛かり、また両腕に炎を巻き付け暗騎に殴りかかる。





左ストレートの大振り避けられ、逆に斬りかけられる。が、後ろ回し蹴りで暗騎の胴体を蹴り飛ばす。

バランスを崩した暗騎は、本棚にぶつかりふらつく。そのままダルフが飛び上がり上からの蹴りを放つが、暗記に下を潜られる。

「ぬおああああ」

そこからさらに両者のスピードが増していき、ダルフの振り返りの左拳と暗騎の右の剣がぶつかったと思うと、今度は右アッパーが左の剣とぶつかる。さらにもう一度左フックが右の剣とぶつかり、暗騎の右腕が上に弾き飛ぶ。

「るあああ」

右腕が浮いた隙に、ダルフは右ストレートを打ち放つ。振り下ろされた暗騎の右手部分に当たり、胸部の打撃にはならなかった。3秒程、睨み合う硬直状態が続いて、暗騎が力強くダルフを弾いた。





弾き飛ばされたダルフは、最初に背中から地面に一度着き、跳ね上がり一回転して片足を着け、もう一度跳ね上がり両足を着けて止まった。

「きいいいい」

暗騎は飛び上がり、右から左へ体を捻らせ落ちる勢いを活かして、ダルフに斬りかかった。

ダルフは右腕だけに炎を集中させて、暗騎に飛びついた。

両者の攻撃は、ぶつかり火花を散らしながら、押し合いが何秒間と続いた。

「ぎぃぃぃ・・・・るぁあああああ」

ダルフの右拳は前をおおきく振りかぶっていた。

暗騎を押し負かし、そして、後方の壁まで殴り飛ばした。





ダルフは地面に着くと、大きく息を吐き整えていた。

「ハァハァ・・・ハァハァ・・・」

「おいおい、ヤられちまったのかよぉ」

ジェスが怒りだち、飛び上がろうとしていると、物が軋む高い音をなして暗騎が近づいてきた。

「ふぅ~焦らせやがって、魔道兵器が簡単に終わるわけないか・・・」

ジェスは、焦りから落ち着きを取り戻して、ニヤリと笑った。



暗騎を両腕を大きく広げて、その場でジャンプでをしだした。数回ジャンプした後、飛びかかってきた。ダルフもそれに合わせ両手に炎を纏い、飛び出す。

両者ぶつかるかの勢いで接近し、暗騎の剣の廻い寸前でダルフの姿が消えた。と思ったら、横に飛んでいた。

暗騎が足を止めると同時に、そこからダルフは、暗騎の左横腹に接近。暗記はつかさず右腕を前に振る。が、また飛び、ダルフが元いた方に移っていた。

「ぐぅおおおおおおお」

ダルフは右腕を突き上げ、左腕を突き下げて大きく開いて狭まり、暗騎の鎧が轟音と共に砕け散った。



鎧が砕けた暗騎は動かなくなり、その場で仰向けに崩れ落ちた。

「ハァハァ・・・ハァハァ」

ダルフは、天井を見上げながら、大きく呼吸をしていた。

倒れた暗騎から、蒸気が吹き上げ、鎧が開くとそこにはまだ幼く3歳位の男の子が収まっていた。

「な、なんなんだよ・・・なんだんよぉ、これはぁあああ」

その衝撃的な光景にダルフは驚き、膝を着き鎧の両サイドに手をついて、その男の子を見た。



「浮かばれなよなぁ~スットマンを倒しに来ては、男の子を殺しかけたんだもなぁ、クククッハハハ」

ジェスは3階の腰壁に乗り上げ座りながら喋った。

「てめぇ、これが、こうなっていると知っていたのかぁあああ」

上を向きジェスに向かって吠える。

「まぁボクも中身までは知らなかったが、そいつも魔道兵器ってのは知ってたがな」

「魔道兵器・・・」

「魔道兵器、機動騎士DSC-76。それがそいつの暗騎の名だ。そしてその男の子は燃料さ」



「ククク、まぁ倒したから相手してやるよ!」

そう言うとジェスは、2階に降りてきてアクトロウィップを4本出した。ジェスの右手から出てきたアクトロウィップが、暗騎の右手・右足に一本づづ装着し、左手から出てきたのはその逆の、左手・左足に装着した。

アクトロウィップを操り、まだ男の子が入った暗騎を持ち上げ起こして、立たせた。

「・・・おい、てめぇ!何するんだぁ」

アクトロウィップと言うより、ジェスに操られた暗騎の右腕がまだ座っているダルフに襲いかかる。が、後ろに跳ね上がり逃げる。

「なに~?貴様が待ち望んでいたから戦ってやるんだよ!このボクが操る魔道兵器との、第2ラウンドでなぁ。ッハハハ」





宙吊り状態で襲いかかってくる暗騎。しかしその動きはさっきまでの予測しにくい動きとは大違いに、暗騎の肩から剣の先までの範囲で振り回す。暗騎の体の動きもくねくねと単純な動きをしていた。

そんな単純な攻撃には、やはりスキも多く存在していた。例えば両剣での突き刺し攻撃、近距離でも素人じゃないダルフに躱されるのに、その攻撃を3m先で行いそのまま向かってくる。そんな動きは暗騎の懐に潜り込み大きな一撃を放つことが容易くできる。しかしダルフはそれをしない。

なぜなら、まだ暗騎の鎧ボディに収納された3歳位の男の子がいる。しかも前回と違って男の子と外を隔てる鎧もなく、オープンに収まっている。ダルフが一撃を放っても暗騎は粉砕されジェスの操りから解放されるが、同時に男の子を殺すことにもなる。

「・・・くそぉ・・・」

「ククク、なに黙ってんだぁ。こんなにも楽しい演劇をよぉ、ククク」

見下しながらジェスは喋る。

暗騎は操られながらダルフに六連斬を攻撃するが、全部悠然と躱される。そんな攻撃が躱され、何も語らないダルフに苛立ち吠える。

「あ~もぉ~うぜェェ~。そんなにつまんねぇヤツならとっと死んじまえェよ!」

暗騎は近距離で両手を広げ斬りかかる。

がダルフは両手を燃やし、伸びきった暗騎の両腕を引き裂いた。

「くそぉぉぉ」とジェスは吠えながら、暗騎の右足で蹴りかかるが、右拳が殴り返し破壊。その後左足が襲うが、ダルフは襲いかかる左足と同じタイミングで頭突きをした。

「っな」ジェスは唖然とし、ダルフは粉々に砕かれた左足の破片がポロポロと落ちた先に少しかすり傷つけた顔をしていた。



「てめぇだけが悪いわけじゃない・・・ましてやスットマンが悪いわけじゃない・・・」とダルフが無表情で独り言のように呟く。

「だが、まずテメェはぶっ飛ばすッッ・・・」ジェスを見つめて吠える。その後燃やしていた両腕を大きく後ろに広げ。

「奥義・・・」広げていた両腕を、前方で重ね合わせる。

「炎王獣覇刃」と吠えた後に、ダルフの両腕から炎が大きく広がり、大きな獣の炎がジェスに向かって襲いかかった。

「そんなママゴトが、このボクに通じると思ったかクソ野郎がァァァ」

ジェスは吠え、暗騎に接続していたアクトロウィップは勿論、まだ腕輪に潜んでいた残りの2本も飛び出しジェスの前で、大きく広がりウィップの先から水が飛び出し大きな円を描いた。

「水撃龍瀑布」大きな水の円から水の龍が飛び出し、ダルフの出した炎の獣に向かって飛んでいた。

うねり声を上げながら炎の獣と水の龍は両者の中間地点で激突。

獣と龍は噛み付き合い腕で押し合うなどしていた。そしてその押し合いに負けじ両者は吠えた。

「ぬおおおおおおおお」

両者の押し合いに引き分けになるかのように、獣と龍を中心に大爆発しお城を揺らして、部屋全体に煙を撒き散らした。



煙が落ち着いて晴れていき、火災は無かったが本棚は以前の姿を保っておらず、無残に崩れ落ち本は散らばっていた。

そんな本の上を歩き、邪魔な本は蹴飛ばしながら立っているジェスがいた。

「クソ野郎がぁぁぁどこだ、出てこいィィ」

属性条件では火は水に弱いが定番なのに、押し負かすどころか引き分けに持ち込まれた事だ。威力負けをしていた屈辱的事実にジェスは憤っていた。

すると、上の方から煙から抜け出し襲ってくるダルフがいた。

「ハッハン、こりゃウケるぜェ。飛んで火にいる夏の虫ってのはこのことだ。空中では避けようがない、格好の的だ」

両腕を広げて笑いながら言うジェスは、喋り終えた後に、両腕をダルフの方へと伸ばした。

「一撃で終わらせてやるよ、水龍槍撃」

アクトロウィップ全本が一斉にダルフに向かって伸びていき、途中でアクトロウィップの水が龍の姿に変貌しダルフを噛み砕かんと襲いかかった。




うねり声を上げながら龍はダルフを噛み込んだ。

「へぇん・・・なにぃ」

ジェスはダルフを噛み潰したと思って喜んだが、ダルフは噛み砕かれておらず龍の口の中で抵抗していた。

「ぬうッッ」

龍の口の中で必死にもがいているダルフを見てジェスは笑った。

「ククク、ほらほら潰されてしまえェ」

抵抗していたダルフだが、力尽きたのか龍の中に飲み込まれていった。

「くっははは、噛み潰されるところを見たかったが、飲み込まれてはしょうがない・・・溺死やな」

ジェスが喋ると、龍の喉の辺りで龍が裂けた。

「っな」

ジェスは驚いて、一歩引き下がった。

龍の中から裂け出た、ダルフの両手がズリズリと引きずり落ちて龍からダルフが抜け出た。





抜け出たダルフは両手を大きく広げ、フレイムファングの構えをしていた。

「くぅぅぅあの構えは、暗騎を倒した・・・」

ジェスはものすごく焦った。

「ジェスぅぅぅ」

「クソがァ」

両者互いに吠えかかった後に、ダルフは着地して両腕を勢い良く噛み付くかのように前方へと出した。

「ぬああああ」

「くそぉ・・・ってな」

ジェスは冷静に一歩後ろに下がり、フレイムファングの噛み付く一撃を躱した。





「そんな大振りな一撃当たるかよ!」

後ろに避けたジェスはダルフの後方に散っていたアクトロウィップを引き寄せダルフの背後から襲わせた。

「残念だったな、てめぇの技は見切ってんだよ!切り刻んで、無惨に引き裂いてやんよ」

ダルフは何の反応も反論もせず、ただジッと構えて微動だにしなかった。

その間にアクトロウィップは猛スピードで襲いかかっている。

「なんだ~もう力尽きたか?ならし・・・ぶぅっふぅ・・・」

ジェスは苦痛を吐き捨てながら、後方に飛ばされた。同時にアクトロウィップは萎びながら崩れ落ちた。



ジェスは、仰向けに倒れながらも力を振り絞って頭を起き上がらせると、腹部に大きな火傷があった。

「な、なんなんだよ!これは」

ジェスは腹部をさすりながら、吠えた。

「フレイムファング」

ダルフは構えを解き、堂々と立ちながら言った。

「ふ、ふざけるなぁ、フレイムファングは避けたはずだ・・・」

ジェスは怒り叫びながら反論した。

「フレイムファングは噛みくつ牙だけではない、牙と牙が混じりあった時に発生する圧縮された空気が敵を最後まで襲いかかる。それがフレイムファングだ!!」

「くそぉがあああ」ジェスは気を失った。

「まぁおでんのゆで卵を食べた時に破裂した熱々の黄身で思いついていた技だがな」

笑いながら独り言を呟いていると、ジェスの右頬にあったタトゥーが黒い邪気となり、中に浮き出た。




「なんだ、こいつはぁ・・・まさかこいつも魔道兵器の一種なのか」

黒い邪気は幽霊のように空中を漂いながら、ダルフの周りを旋回した。

「誰だ貴様は、貴様も魔道兵器なのか」

「我らはコア、星の源なり」邪気から低い声が聞こえてきた。

「なんだ、コアとぁ貴様が悪事を働いているのか」

「我らに悪事などない、我らわこの星なのだ。この星の浄化にこやつらはいる。それを邪魔するなら貴様も倒すのみ」

邪気はダルフに襲いかかるが、邪気は簡単に右拳に殴られ粉砕し蒸発していった。

「コア・・・」


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧