HUNTER FUNG
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リバロ・ヤグラワ・ヤグロフ
外壁窓がアーチ状になっている王宮の2階廊下をダルフ達は走っていた。
走って進んで行くが進むにつれて、敵の出現頻度が上がっていく。最初は1人や2人だったのが、途中で合流するのでか一気に20人くらい大勢になってきた。
敵がうじゃうじゃと出でくる。だが、ダルフは勿論のことシロン・ハル・シュルスも止まらない。前方は、ダルフは殴る蹴る・シロンはロッドを即錬成しての攻撃。ハルは砲銃使い前方の援護をメインに行い、後方は、シュルスが持ち前のスピードと体こなしを武器に3人程度倒しては、先にいるハルの場所まで戻ってはまた後ろの敵を倒す。そして、援護をしていたハルがダルフやシロンの近くまで走る。
そんなこんなで、20人の大部隊を倒し突破した。3階へと大階段に行くと2人の兵士がいた。
「敵さんの狙いは、やっぱりスットマンなんだろうと思って階段で座っていて正解だったな」
「嘘つけ、面倒だからってここにいるって言ったのは、ヤグラワじゃ」
と階段の踊り場で、うんこ座りしているのと、上段に足をかけて座っている2人が揉めていた。
「だが、敵が来たじゃ」
とヤグロフが手を向けた瞬間、ランダやリバロみたいに光弾を出してきた。
「なっ」
4人は慌てて避けた。光弾の着弾地から爆風と爆煙が立ち込める中、ダルフが抜け出した所に、鋭く尖った指と獣のような運動神経を持つヤグロフの左手が襲いかかる。
「じゃぁあ」
「くっ」
寸前で首を動かし躱すが、左の戻りが早くそこから6段の突きがさらに来る。両腕を使い防御をするが2ヶ所の擦り傷を付けられた。が、ヤられてお終いのダルフはではない、お腹の部分に右腕を控えさせそこから炎を放つ。しかし、不意を突かれたはずなのに、ヤグラワの動物並みの反射神経が上で、空中なのに瞬時に躱される。だが、お互いに距離を取ることに成功して着地する。
すると、そこに光弾で散開した3人が戻ってくる。
「大丈夫か」
とシロンが話しかける。
「あぁ、問題ないが。なんだあんにゃろ、獣みたいな動きしやがって」
「たまにいるんすよ。あ~やって関節が無いような動きするの」
シュルスがヤグロフを見ながら言った。
「じゃ~あぁ」
と獣のようなポーズを構える。ヤグラワは立って腕を組んで見ている。
「獣人がいたら、あんな感じなのかしら・・・」
ハルが喋ると、シロンは言い返した。
「何を言う、あんなのに感心している場合か。早くあいつらを倒し先に進むぞ」
と言うと、ジャンプで駆け上り二人に目掛けてロッドを大振りする。がヤグロフはジャンプし、ヤグラワは後ろに引く。そんなのは想定の範囲以内、ジャンプで避けたヤグロフにシュルスがスピードで間合いを詰め、拳の12連打。
ダルフは踊り場に駆け寄り、シロンを飛び越え上から炎を吹き付ける。しかしヤグラワはヤグラワとは別の身軽の動きの足運びで、シロンの顔面に一蹴り、ダルフの背後から正拳突き。ハルからの援護射撃を左腕でなぎ払いで打ち落とす。着地と同時に左腕に付いた汚れに息をかけ吹き落とす。
「おい・・・ぐっはぁ」
ヤグラワの動きを見ていた、シュルスが呼びかけたがそのよそ見の間に、ヤグロフに右で殴られ地面に倒れる。それと同時にシロンが階段からズルズルと落ちていた。
「シロン・シュルス」
とハルは二人に声をかける。
「このままじゃいけないっす、シロンとダルフは3階に行ってください。ここは僕らがヤルっす」
「そうだなそれで行こ、このままやっててもラチがあかない」
とシュルスが持ちかけ、シロンが賛成したが、ハルは戸惑った。
「そんな二人で行って大丈夫なの・・・ここはみんなで進む方が安全じゃない?」
と言ってシロンとシュルスは沈黙するが、そのやりとりを聞いていたダルフが階段を駆け上がっていった。しかし、ヤグラワが上段に駆け上がり内側から詰め寄り、ダルフに襲いかかる。その瞬間にヤグラワの背後の手すり壁が爆発し、ヤグラワはその爆発に巻き込まれた。
「おいおい、おじゃぁあ」
とヤグロフは吠えてハルを睨み、飛びかかる。
「アマ~」
がシュルスがスピードで間合いを詰め、殴り飛ばす。
「よそ見してんじゃねぇす」
シロンも3階に駆け上がり終え、2人を先に行かすことに成功した。
「まずは、これでいいんだよね・・・」
「あぁ大成功っす・・・後はこいつらをどうにかするっす」
とハルとシュルスはお互いの状況を確認した。しかし、考えさせてもくれずヤグロフはすぐさまに飛びついた。
「僕はこいつをやるので、ハルさんあっちをお願いするっす」
と言って、シュルスはヤグロフと交戦しだした。シュルスのカクカクした動きとヤグロフのくねくねした動きの戦い。空中戦を繰り広げだした。
「あっちは、さっきの爆風でのびているんじゃないの・・」
と小言を呟きながら、階段を駆け上がり、折り返しの踊り場まで上がると、ヤグラワは服についた土汚れを落としていた。
「ピンピンしてるよ・・・」と呟き、うわぁ~と言う言葉が似合いそうな、引いた顔をしていた。
シュルスの片足を使ってスピードを出すのに対し、ヤグロフは両手両足を使って飛び跳ねている。この差に、ヤグロフの変則的な動きをなしていて、シュルスの攻撃を半身を逸らしで躱すことができ、カウンターを与える。
本来の格闘技の戦いなら、この動きをされただけでダウンを取り倒すことができるが、ヤグロフは殴るのでは無く、持ち前の個性である。鋭く尖った指での引き裂きを得とし、圧倒的な一撃では無く相手に傷を増やし弱らせて倒すか貫くのだが、ここはイスタロフとの修羅経験が役にたち、かすり傷しか無い。
「ふ~う、ここままではヤバイが、動物と思えばいいかな・・・」
「じゃじゃじゃじゃ」とヤグロフは言い放ち、天井へ跳ね上がったらすぐさまに、天井を力強く蹴り返し頭上から右腕を刺してきた。
小範囲で躱し蹴り返すが、ヤグロフの動きで後ろに避けられ、また飛びつき出しシュルスの顔面に向け左腕を突き伸ばす。
シュルスも上体反らしをし間一髪で躱すが、空中でヤグラワの伸びきった腕を掴み両足をヤグロフの首に巻き付けた。三角締めを空中で成功させて両者床面に着地した。
「じゃあ~じゃぁ~・・じ・・・」とヤグロフの顔はだんだんと青白くなっていき、口から涎を垂らしなが体の動きが無くなり、意識を失った。
「ふ~う。終わった・・・さて、ハルさんや追いつかなくてはっす・・・あれ」
しかし、ヤグロフとの戦いで擦り傷を多く作りすぎたシュルスは、出血などから体が思うように動けなかった。
「へへ、これはすぐには動けないっす。皆さん後は頼むっす」と言ってシュルスは少し横になった。
ヤグロフの引き裂く攻撃と違い、ヤグラワの攻撃は拳による一撃決める武闘家。いわゆるインファイター。砲撃を主とするハルには絶好の敵なのだが、ヤグラワの動きがその振り的な状況を無くし、ハルの懐に間合いを詰めてボディへのストレートを仕掛ける
が、ハルも戦争の経験者。間合いを詰められ剣で切りつけられることは幾度とあった。今回もそのように動き後ろに躱し2・3発放つが打ち払いか避けて躱されるのが続いていた。
「ハァハァ、見てて思ったがやはりコイツは肉弾戦主体の戦闘スタイル、いわゆる格闘家ねぇ・・・どうしよう・・・剣なら・・・振りかぶったときに隙ができるから、今までそれでやってきたけど・・・今回はそれもないし・・・腕の脇締めも甘くないしなぁ・・・ヤバい」
ハルは、攻防のなかで対策を練っていたが、経験や他の人間もいないことから自分の立場や状況を考えていた。
そんな思考が油断を生みバランスの悪い枯れ木の上に足を乗せた。ハルは一瞬でしまったと思ったが、ヤグラワはその隙を見逃さなかった。
「考えことでもしてたのか、しかし一撃で終わる。苦しむことなく、意識を失いそのまま眠る」
と言いヤグラワは、ハルにボディに右手からのコークスクリューブローを打ち込んだ。ハルは吐血しがら、後ろの壁に吹き飛ばされ少しめり込みひび割れを起こした。
「ガッハァ」
壁に叩きつけられたハルは、ズルリと崩れ落ち地面に倒れた。
殴り終えたポーズから体を持ち直し、殴った右手を服で拭き取った。と、その時、ハルがお腹を抑えながらも立ち上がった。その行為に、ヤグラワは驚きの顔を隠せずに動揺したがすぐさまに間合いを詰め、右腕を大きく振り絞り体を捻らせて構えた。
「これで御終いだ。起き上がることは無い。もし起きたらそこは永遠の牢獄が屈辱の肉便器だ。後者は俺でも嫌なので、この一撃で眠らせる」
と言い放ち、もう一度コークスクリューブローを放つ。
しかし、地面に寝ているのはヤグラワだった。
「なぜだ・・・」
「まず一発目が入る時に、殴られるとは逆方向から腰を突たの。ただ突くのでは無く電気の因子を含んでね」ハルは両膝を着いて座り込んだ。
「その因子は、そのままあなたの体に流れ込む・・・ハァハァ・・・そして・・・2発目は・・・あなたに打ち込んだ因子とは逆の因子を増やし待ち構える」
「・・・」
「後は・・・あなたの拳が私の体に触れた瞬間に、ドン・・・静電気の応用よ」
「そんなんで、この俺を倒したのかって・・・」
と言いつつヤグラワは気を失った。
ハルも打撃をすべては流しきれずに、すぐに立ち上がれず背中を壁に預けた。
ダルフとシロンが3階の廊下を走っていた。すると2人は階段に残した2人の気配を感じ取った。
「どうやら、あいつら勝ったみたいだな」とシロンが呟いた。
「当たり前だろ、あいつらが負けてたまるか」と険しく言い返す。
そうしてスットマンがいるであろう広間へと急ぐ、前から大きなプレッシャーをかけてきた。それでも2人は前へと進む。
すると、そこからリバロが歩いてきた。
「おいおい、あの2人を倒したってのかい」とリバロは呟いてきた。
「はぁ」とダルフが睨みつける。
「あの2人は、減武闘会の上位ランカーなんだぞ!まさか天(アマツ)以外にもあの2人を倒すとは・・・格闘戦が全てではないか」
減武闘会
各国の武闘家・流派・猛者などが揃う肉弾戦のみの大会。
勝者には高額賞金が出るなどから、自分を売るにはうってつけの大会なのである。
リバロの言う上位ランカーって言うのは、A~Zまでのグループに100人ずつに振り分けて、そこから絶食状態で1~3人までに集団戦を行い絞込み、本線トーナメントで勝者を決める大会の予選を越て一回戦突破した人間である。
1回戦を勝者になってから、その夜にその日初めての食事をすることが参加者はできる。敗者は退場時点でいつでも食べれる。
「おい、そんなことはどうでもいい!お前はなぜあいつの味方をする」とダルフは、聞く
「スットマンの事かい?彼が別なにいけないとは思わないと思うが。」
「なんだとてめぇ」とダルフは苛立ち襲いかかる。
その攻撃を躱しながら反撃して、リバロは話した。
「なんだそんなに怒って、誰か死んだのか」
「死んでねぇ!だがお前らは村を傷つけたり、前の街の長を殺そうとした。」
「それがなんだ、それがいけないという訳は無い。どこの国でもやっている常套策だ」
それを聞いたシロンが、2人の戦いに混ざった。
「確かにどこもやっていることだが、それは一人個人が決定することではない、人がみんなで話し合って決めることだ!」
「ほかはな」
「なに」と怒りながら火の玉を投げたダルフに対し、リバロも光弾を放つ。
「我が国は、王政軍事国家だ!他は皆が話し合える場はあるしかし、ここはない。なら摂政のスットマンが決める決まりだ」
火の玉と光弾が重なり合い、爆発をする。
「なら、俺はその制度を変える」と爆風を腕でなぎ払いながら叫ぶ。
「いいだろ!変えてみろ!俺は軍人として今の政府に就いているからには、お前らの行為を阻止する。」
リバロの受け答えに反応して、ダルフとシロンは一斉に走り出し、リバロとの交戦に入る。
戦争経験などもあるダルフやシロンが2人で戦っていても、リバロの経験や実力の差は埋まらなかった。
「くぅ」と片膝を着けながら後ろにズルズルとダルフが引き下がった後に、シロンが「ぐっはぁ」と蹴り飛ばされた。
「おいおい、お前らは変えるつもりで来たんだよな?ならもっと張り合いを見せてくれよ~つまんねーよ」と吐き捨てながらジタバタしていた。
「くそぉなめやがって」とダルフは怒りながら立ち上がると
シロンが腕を掴んで、静止した。
「熱くなるな、それにこのままではヤバい!さっきと同じようにここは俺が相手をするお前は先を行け」
「ぐぅうう、頼んだ」と言い先を急ぎ走った。
「行かせるかよ!二人で中途半端なのに・・・」
飛び蹴りを噛ます。
ダルフは足を止め、防御体勢をとるが、そこにシロンが叫んだ。
「止まるなぁ、走れぇ~」
その声を聞き、ダルフはまた走り出す。
「ふふふ、遅いわよ」
がリバロはラリアットを受けて投げ飛ばされ、壁に押し付けられた。がすぐに土煙から出てきた。
「ふ~う、一体なんだよ」
とリバロの目の前には、鉄鎧がいた。
「・・・おい、あんたいつからそこにいた?」
そんな声掛けに無人の鉄鎧からは返答はなく、ただ攻撃してくる。そんな攻防の中にリバロは2・3発の殴りや蹴りを入れると動きが鈍くなった。その間に鉄鎧がレバーブローを決めた。
リバロは飛ばされて転がって「くそぉ、空っぽかよ」と座りながら言った。
だが鉄鎧はそんな余裕を与えず続けざまにたたみかけた。しかしリバロには動揺は無く、転がったりうさぎ跳びで躱し、鉄鎧を飛び越えた。
「めんどくさい、デカブツはさっさと退場」
リバロは右手に光弾を構えたかと思った、さらに光弾の弾が大きくなってから、撃ち放った。
ゴォォォと音とともに、爆発がした。
爆発の後には、鉄鎧が上半身と下半身が分断されていた。
「さてさて、後は貴様だけだぜ」とシロンに指をさした。がシロンはもう飛び出しており、殴り一発を入れようとしていた。驚きながらも避けて接近戦に。
その途中に、鉄鎧の上半身などを操り奇襲をかけるが、瞬く間に光弾で撃ち落とされる。
しかしリバロも鉄の破片までは気が回らず、後ろから鉄片が右肩・左太もも・左手首に刺さり込む。
「ぐぅぅ」
「でぇやぁぁ」
とロッドをおおきく振りかぶって、リバロ頭上にめがけて振り下ろした。
その瞬間、キーーンという音が鳴り響いた。
振り下ろされていたはずの、ロッドがリバロの腰に備え付けてある剣によって、受け止められていた。
「ハァハァ、ふーう・・・これは危なかった。まさか破片を飛ばすとは、これこそ戦い」と言い、剣でロッドを振り払った。
リバロは立ち上がると、シロンに向かって走った。シロンもそれに合わせ走る。シロンのロッドとりバロの剣は空中で何回も混じり合い、音を響き合わせた。
しかしつばぜり合いになると、リバロの胆力がまさり、シロンを押し倒した。そのスキを逃さず切り込むが、シロンはロッドを滑らせて棒突きで反撃。その場をしのぐ。
両者に間が開くと、居合をすかのように両者一斉におお振りをした。
リバロは斜め右上から振り下ろし、シロンは逆の左下から体軸の回転を利用し、振り上げた。
キーーンと音が響き渡り、そして両者はすれ違いあった。
シロンがすぐさまに吐血をして倒れた。
「ハァハァ、さよなら。兄ちゃん楽しかったよ」
リバロはシロンに止めを刺そうと、シロンの頭を跨ぎ剣を突きつけて降ろす。
その瞬間、リバロの体に斜めの赤い線が見え出してだんだんと大きくなり、そこから切り裂かれたかのように大量の出血をした。
リバロは、その状況に驚き、顔を白く肌色を悪くさせてフラフラと後ろに倒れた。
「ごっふぅ・・・な・なぜだ」
「なぜだ、俺は斬られてないぞっぉぉぉぉぉ」
リバロは倒れても尚、自分が倒れたの原因を知らなかった。
そこに小声カラカラに、シロンが喋った。
「棒じゃねぇからだよ」
そう言われて、横に捨てられているシロンのロッドを見て、驚いた。
さっきまでロッドの形状してたのが、今となっては細長く鋭い刃物になっていた
「なんだ、棒が刃物に・・・」
「神宮って国知っているか?そこにはそのような鋭利な剣・・・刀を持っている奴らがウヨウヨいるらしいって遊牧民(袈)が言っていたの!その言葉をヒントに俺は刀の鋭く細長い姿の切れ味に確信を持った」
「刀・・だと・・・」
「そして今回の瞬間錬成変化に賭けたってことだぁ!」
シロンは吠えて、そして・・・
「名付けて、錬成斬!!」
「ふん!手品師野郎うがぁ・・・・ごっふぅ・・・」
と言ってリバロは気を失った。
シロンは仰向きに寝返って、天井を見ていた。
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