レーヴァティン
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第二十七話 騎士の参入その四
四人は宿を取ったがその宿は騎士団の本部がある街の内城、その見事な天主のある如何にも堅固そうな場所の近くのホテルに泊まった。
そのホテルの中に入ってだ、源三はまずはこんなことを言った。
「お風呂いい感じだよ」
「へえ、そうか」
「うん、今見たらね」
こう正に話した。
「広くて奇麗でね」
「立派な感じか」
「確かに質素な造りだけれどね」
それでもというのだ。
「いいお風呂だよ」
「ユニットじゃないよな」
正は源三にこのことを確認した、彼は今はベッドの傍に荷物を置いている。
「そうじゃないよな」
「違うよ」
源三は正のその問いに微笑んで応えた。
「おトイレは別のお部屋だよ」
「ならいいさ、よくあっちのホテルとか家だとな」
「ユニットだね」
同じ部屋にバスルームとトイレがある、日本でもこうした造りのホテルや部屋がある。
「正あれはなんだ」
「ちょっと駄目なんだよ」
「お風呂とおトイレが一緒にあるのは」
「あれ何でなんだ?」
首を傾げさせつつだ、正はこうも言った。
「風呂とトイレが一緒なんだ?」
「どっちもお水を使うからじゃないかな」
「いや、全然違うだろ」
正は眉を顰めさせて源三に返した、言葉を返しつつ荷物を置いてラフな上着を脱ぎはじめている。
「そこは」
「日本人の感覚だとね」
「日本人ってトイレってな」
「和式でね」
「汲み取りでな」
「そうそう、とてもね」
「風呂と一緒の部屋に置けるか」
昔のトイレ、つまり便所はというのだ。
「あくまでそこだけの部屋だろ」
「だって欧州昔お家におトイレなかったし」
源三は笑ってだ、正のこのことを話した。
「こっちの世界は違うけれど」
「ああ、壺があったりあっても穴があるだけのトイレでな」
「汲み取りですらなかったし」
無論長い間下水道もなかった。
「だからね」
「そうした感覚もないか」
「そう、トイレへの考え方や認識が違うんだ」
「それでか」
「そのこともあってね」
「ああしてか」
「ユニットもあるんだ」
トイレと風呂場が同じ部屋にあったりするというのだ。
「ああしてね」
「成程な」
「それに湯舟に浸からずに」
「シャワーか」
「そっちがメインの人も多いしね、そもそもお風呂も」
こちらもというのだ。
「滅多に入らなかったじゃない」
「何年とかに一回とかな」
「そんなのだったから」
「トイレや風呂場への考えも違うか」
「日本人だとね、お水も違うしね」
日本は軟水だが欧州は硬水の地域も多い、イギリスもそうで紅茶も硬水を飲むことを念頭に作られている。
「入り方も違うよ」
「水まで違うか」
「そうだよ」
笑顔で言った。
「だから本当にね」
「何から何まで違うか」
「お風呂への考えはね」
あちらの世界での日本と欧州はというのだ。
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