ジョジョの奇みょんな幻想郷
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第一部 ケイオスクルセイダーズ
名状しがたい幕間の物語のようなもの
19.謎解きはランチの後で
ガァァァァン!
強い雨が降る中、彼らは呆然としていた。
紅魔館の灯りのない部屋を稲光が照らした。そして同時に部屋に横たわる、血塗れの少女も照らしていた。
彼女の名は射命丸文。妖怪の山に住んでいる鴉天狗だ。そして、今燕尾服を着込んでいる丞一の友人でもある。
(なんで、こんなことに)
話は午前中にまで遡る。
午前 9:00
「おー、美玲。精が出てるじゃん」
「あ、おはようございます!丞一さん!こんな朝早くどうしたんです?」
確かに、朝の九時と言えばドラゴンボールスー◯ーが始まる時間だが朝早いといえるかは微妙だ。年齢を重ねるほど活動時間が朝型から夜型になっていく。だが、学生ならばその時間だったら平日ならば授業やってるし、休日ならば友達と遊んでいるだろう。
そんなルーズな時間感覚の彼女は紅美玲。紅魔館の門番をしていて常時昼寝を職業としている居眠り門番だ。
「あー、実は姉さんに誘われて一日だけ執事のバイトをな。これだけでかいと姉さん一人だと大変だし」
「でも、メイド妖精はいますよ?」
「宴会で役に立たないって嘆いてたぜ?」
咲夜が来る前からここにいるからだろうか。用意に予想できたらしく、苦笑いを浮かべた。
「つーわけで通るぜ」
「どうぞどうぞ」
丞一は堂々と門をくぐり紅魔館の扉を開けて入った。
しかし、このときは誰も知らなかった。この紅魔館に不穏な影が迫っていることに。
「おーす。姉さん来たぜー」
いつかのエントランスで丞一は咲夜に来たことを知らせる。何故探しに行かないかは単純明白。広くて探すのは一苦労だからである。
「来たわね。じゃあお嬢様のところへ行くわよ」
「りょーかい」
「と、言うわけで今日一日執事をしてもらう。丞一です」
「顔見知りだがまあ、よろしくお願いいたします。おぜ、ゲフンゲフン。お嬢様」
「おぜうって言いかけたわよね!?言おうとしたわよね!?」
「はてさて、何のことやら」
ぐぬぬぬ、と歯ぎしりを鳴らす。カリスマの欠片もないな。なんて言うかマスコットだ。
「まあ、いいわ。驚異知日だけどよろしく頼むわよ。丞一。仕事の内容は咲夜に聞きなさい」
「了解」
「じゃあこれに着替えてね」
咲夜はある服を渡して部屋を指示してきた。分かってはいたが改めて言われると少し羞恥心にかられる。
「分かったよ、じゃあ「ちょっと待った」?どった?」
「そういえば、その長い髪何とかならない?ジョジョには一応食事の準備とかも任せたいのだけれど」
「え?何か問題か?」
「大ありよ!髪が料理の中に入ったらどうするの!?」
なるほど。言っていることは正論だ。そう言えば、調理などそう言う職に就く人は髪は短くするのが普通なのだと聞いたことがある気がする。肩まで伸ばした丞一の髪が引っかからないわけがない。
「確かにそうだけど、どうする?」
「そうね~‥‥‥‥‥あ、いっそのこと切っちゃいましょう!バッサリと」
「はい?」
「髪切っちゃえばいいのよ。そうすれば問題ないわ。それに年頃の男の子がいつまでもそんな女の子みたいな髪型するんじゃありません」
ごもっともである。丞一の髪は前より少し伸び肩から肩甲骨まで伸びていた。さらに少し中性よりの顔立ちもあり女の子と言われれば女に見えるだろう。黙っていればだが。
「というわけで、さっさと座りなさい。ほら、頭動かさない」
「て、姉さんが切るのね」
「何か不満?これでもお嬢様方の散髪は私の仕事なのよ」
「いやね、これ俺のアイデンティティ!特徴!イメチェンにもほどがあるだろ!と言うわけで却下の方針に」
「なりません。ふふ、弟を弄り、いや恰好を整えてあげるのも姉のつとめなのよ♪」
「今弄るって言いかけたよな!って、ちょっ!ストップ!俺の側に近寄るなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ドォォーーーーン!カチコチ‥‥
時を止めて数十分。
「はい。出来た」
「‥‥‥」
変ではなかった。伸びていた髪はバッサリ切られ、何故かハネっ毛となっていた。前の中性っぽい顔立ちから好青年を思わせる顔立ちとなっていた。よくもまあ、髪型一つで変わるもんである。丞一自身もいやがってはいたものの帽子が似合いそうで内心悪くないと思っているまでもある。
「気に入ってもらったようで何よりだわ」
「‥‥‥‥勝手に心読まないでくれ」
気恥ずかしさでそっぽを向いた。
「まあ、ありがとう。おかげで散髪代が浮いた」
「ええ、どう致しまして。──────さて、働くわよ」
午前 9:30~10:30
丞一は朝食の皿洗い等の片付けと洗濯。咲夜は各部屋の掃除をする。
(姉さんめ、俺が男ってこと忘れたな。いや、忘れてたとあって欲しい。まさか、わざと女性物の洗濯しろというわけあるまい)
(‥‥‥‥やっぱ、私が洗濯の方がよかったわね。今からいっても遅いだろうし。まあ大丈夫でしょう。そんなことで変態行為する度胸がないでしょうし)
午前 10:30~11:30
丞一はフランとの遊び相手。咲夜は美鈴に処断を下してから昼食の準備へ移った。
「やっぱり曹操先に倒すとモチベーション下がって中華統一とかどうでもよくなる!」
「じゃあ、曹操はラスボス。魏を先に倒した方が勝ちで」
「さて、なにを作ろうかしらね。とりあえず、ピザで良いかしらね。パーティー料理としてはうってつけでしょう」
午前 11:30~午後 0:30
丞一が咲夜と合流した。
「わりぃ、姉さん遅れた」
「まったくよ。言い訳なら手を動かしながらね」
「ピザ。イタリアンか。パスタとかでいいか?」
「ええ、お喜びになるわ」
丞一は卵などを割り、そしてそれをかき混ぜ始めた。まず手始めにカルボナーラだ。
「いやごめんな。フランとキリがよくなるまで遊んでた」
「‥‥なら、まあしょうがないけれど。なるべくなくしてくれるとありがたいわ」
「‥‥善処する(今度はマリカーやろーぜ!って言っちまったんだけどなぁ)」
午後 0:30~1:30
丞一と咲夜以外は昼飯。
「お嬢様、昼食の時間でございます」
「そう。フランとパチェは?」
「ジョジョが呼びに行っております」
「お兄様、今日のお昼なに?」
噂をすれば何とやらで、丞一の肩に乗って頭を叩きまくっているフランとそれを少し引いたところから見てるパチュリーがいた。因みに頭はめがっさ痛い。
「姉さんのワンホールピザ三種と。俺のパスタが二種」
「ほう。で、どないな味をそろえたんや?」
「姉さんがマルゲリータ、オルトラーナ、ペスカトーレ。俺がカルボナーラとペペロンチーノだ」
「それじゃ、いただきましょうか」
『いただきます』
食事は『キング・クリムゾン』!
『ごちそうさまでした』
「さてさて、皆々様方。口直しにフルーツはいかがかな?ちょうど家からみやげに持ってきたんだ」
「あら、いいわね。いただくわ」
咲夜は渋々という顔で網か後に入ったフルーツの盛り合わせを持ってきた。
「ほう。いろいろ入っとるやないかい」
パチュリーが総賛辞を送る。パチュリーの言うとおり。色とりどりのフルーツがあった。
「あ!このオレンジ瑞々しい!」
「さすがはフラン!オメガならぬお目が高い。それは花道オレンジって品種でな。結構レアなんだ」
「聞いたことがないのは私だけかしら。というか、あまり得体の知れない物は出したくないのだけれど」
「ん。ああ、美味しいですね。このイチゴ。シュシュって食感です」
「どんな食感よ。コア」
パチュリーの使い魔、小悪魔ことコアもまた賛辞を送る。これは人里で買った物なので問題はないはずなのだ。早苗談だが。
「お!パイナップルもあるんかいな!」
「そいつは粉砕パイナップルだな」
「なにを粉砕するのよ!」
「このブドウも程よい実の数ですね」
「美鈴、龍砲ブドウの種は人のいないところで出せよ」
「人のいるところで出したら、と言う問いは聞かないで置くわ」
「あら、このバナナはいい形と色をしてるわね」
「気をつけろよ。レミリア。そのナイトオブバナナ、プライドが高い品種だからな」
「フルーツのプライドっていったい」
午後 1:30~2:30
「俺たちはどうする?」
「鶏肉と昨日の残りのご飯があるはずだし焼き鳥丼にしましょう」
「もっと他にある気がしなくもないが。もしかして姉さん焼き鳥丼好きだったか?」
「もちろん。よく言うでしょ?『女は黙って焼き鳥丼』って」
「言わんがな」
午後 3:00~5:30
昼食も取り、丞一と咲夜はそれぞれがやり残した仕事を始めた。
「Zzz」スピー
「‥‥‥死ぬしかないわね♪美鈴」ドォォーーーーン!カチコチ‥‥
イエアァァァァァ!と言う悲鳴が門前から聞こえた昼下がりの紅魔館である。
「さて、お嬢様への午後のティータイム間に合わせなきゃ」
紅魔館の廊下にて。
「うひょー、特ダネ特ダネ♪『守矢の神主 紅魔の執事兼任!』に『紅魔館メイド長 門番への暴力!幻想郷のパワハラ問題へ迫る!』いやー良い記事が書けそうですなー」
「と思っていたのか」
ギクッとなり、文屋こと射命丸文が後ろを向くと丞一が立ちはだかっていた。
「い、いやだなー。冗談ですってばぁ~。ちょっとした茶目っ気ですよぉ~。本気にしたぁ~?まさか、殴ったりはしませんよね?頼みますから勘弁してください」
「‥‥‥‥‥ダメだね。哀れすぎで何も言えねぇ」ドォォーーーーン!カチコチ‥‥
バッバババババババッ!とフォークを文の周りに展開する。
「‥‥一秒前─────────零」
「イエアァァァァァ!」
紅魔館内にたった一人の悲鳴が響いた。
その後、咲夜はレミリアに紅茶を入れたり。
「お嬢様、ティータイムのお時間でございます」
「ええ、柄は?」
「アールグレイでございます」
「分かっているじゃない。私はアールグレイしか飲まないのよ」
丞一はフランと遊んだりとそれぞれの仕事を全うした。
『この辺り?』
『そう、そこだ』
『『ここが一番─────拳を叩き込みやすい角度!』』
『『オラオラオラオラオラ、オラァァ!!』』
『『やれやれだぜ‥‥やれやれだわ‥‥』』k.o!!
「「イエーイ!!」」
「次対戦やろうよ!」
「良いが俺はかーなーり強いぞ?」
そして、午後 5:45
「降ってきたな」
「今日はお疲れ。ジョジョ」
「まあ、後半ほとんどゲームしてただけだけどな」
「それでもよ」
いや、ほとんどがゲームしてただけだが。それが助かっていたのも事実なのだ。いつもなら従者の誰かがフランの相手をしているところを専属で請け負ってくれたのだから。
「お礼と言っては何だけど夕飯食べて行きなさいよ。お嬢様もそうおっしゃっていたわ」
「んじゃせっかくだし頂くわ。たぶんその頃には止んでるだろうし」
そして一時間経過。食事シーン?奴なら既に死んだ。
『ごちそうさまでした』
「いやーなんかほとんとわるいな。バイトの身がこんなにもてなしてもらって」
「いいのよ。フランの相手もしてもらったしね」
「そうか。トゥルルル。ん?悪い出てくるわ」
丞一は部屋の隅まで行き、携帯を取りだした。
「ほいほい?」
『あ、丞一さんですかい?私ですよ。椛です』
「あれ?椛?何で携帯を?」
『姐さん(早苗)から借りたんでさぁ。それより、うちのバカ(文)見ませんでした?』
「三時くらいに制裁を加えた記憶はあるがどうした?」
『実はまだこっちに帰ってきてねぇ。明日シフトのことで大天狗のとっつぁんが話があるっていってやして。それで探してるんですがね。見つけたらすぐ逝くよう殺ってくだせぇ。それでは』プチッ
(なるほど、一応気にかけとくか)
その後、レミリアやフランと雑談をし晩餐の時間を過ごした。
この時はまだ知らなかったのだ。あのことを。
「あ、そういえば。私の部屋、窓開けたままでした」
「美鈴、あんた何やってるのよ」
「この雨じゃビショビショなんじゃねーの?」
「すみません。少し席を外します」
美鈴は、小走りで自室へ向かっていった。
「それにしても、雨止まないわね」
「だなぁ、こりゃあ面倒いけど能力で帰るか」
「?あなたの能力ってそんなことできるの?時間操作と重力操作だけでしょ?」
「時止めて、雨は等身大ブラックホール出しながら進めば無くなる」
「チートも甚だしいわね」
「それにしても遅いわね。美鈴」
「様子見に行くか?」
そして、部屋につき暴騰まで遡る。
「とりあえず、スタンドで心臓マッサージするか」
『私はいやですよ?』
「私がやるわ」
咲夜がスタンドを出し三部のラストよろしく心臓を握り締める。
「グヘェ!」
「あ、起きた」
こうして、珍事件もどきは解決した。
『私、今回の伏線。龍砲の種だと思ってました』
「俺もだ。ぶっちゃけ何もなかったな」
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