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レーヴァティン

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第二十六話 騎士その八

「ポーツマスとかな」
「港か」
「ああ、イギリスの街の名前だよ」 
 そのポーツマスにしてもだ、日露戦争での条約が締結された街として日本人の中では有名な街だ。
「その形式はな」
「だからか」
「ああ、この島にも多いんだよ」
「あっちの名前か」
「要するにな」
「それで多いんだな」
「そうだよ、あとポリスだな」
 正はこちらの名前も出した。
「多いだろ、こっちの島は」
「何かとな」
「これは古代ギリシアでな」
「やっぱり欧州か」
「そうなんだよ」
 実際にというのだ。
「それで多いんだよ」
「そういうことだな、じゃあな」
「そのケーニヒスベルグに向かうか」
「そうしような」
 モンスター達とはさらに戦いがあった、そして多くの戦いを経てそうしてだった。四人は城壁に包まれ奥に質素だが巨大な天主がある街の前に着いた。順一はその城壁と天主を見つつ久志に話した。
「この街がです」
「ケーニヒスベルグか」
「はい、王の城です」
 久志に日本語訳でも言ってみせた。
「あの街が」
「王の街か、というかな」
 久志も街を見た、見れば城壁の上にある塔は多くしかも堅固な造りだ。しかも守りの兵も多く造りも攻めにくそうである。
「守りがやけに堅そうでな」
「王にある壮麗さはですね」
「ないな、騎士だな」
「ばい、名前は確かに王ですが」
 ケーニヒ、それだがというのだ。
「しかしです」
「騎士の街だからか」
「この様に質実剛健で」
「それで質素か」
「騎士は戦いの中に生きています」
 全てはその中にある、騎士道も戦いの中で育まれていった一面がある。
「ですから壮麗よりもです」
「実用か」
「その中で美も生まれるでしょうが」
「王様の贅沢とかはか」
「無縁です、円卓の騎士達がそうであった様に」
「そういえばアーサー王もな」
 その物語ではどうだったか、久志も思い出した。
「贅沢とかないな」
「騎士達は質素でしたね」
「アーサー王自身な」
 王であったがそれと共に騎士であった、アーサーの人格はこの二つによって形成されているのだ。
「贅沢ってなかったな」
「宗教的、騎士的なロマンシズムはあれど」
「贅沢はな」
「無縁でしたね」
「ああ」 
 実際にとだ、久志はそのアーサー王の物語を思い出しつつ答えた。これはアーサーのことだけでなく。
「あの物語の登場人物は皆な」
「野心に燃えていたモードレッドでさえも」
 アーサーの不義の子で王位への野心に燃えていた、だが最後のアーサーとの一騎打ちは正々堂々としていた。 
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