ガールズ&パンツァー もう一人の転校生
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黒森峰女学院での悲劇
私は次の日、つまり日曜日に大洗の学園艦を抜け出して、黒森峰女学院の学園艦にやって来ました。
出迎えてくれたのはやはりまほさんだった。
「この度は体験入学にご招待頂きありがとうございます。一週間は黒森峰女学院に在籍しますのでよろしくお願いします。」
「そんなにかたくなるな。これでも長い付き合いでしょう。」
「そうですか。では普通に話させていただきます。今回、私を黒森峰女学院に呼んだのは何故ですか?私たちは今敵同士。諜報活動でもされたいんですか?」
私は気になっていたことを聞いた。
「確かに敵同士ではあるが、それ以前に私たちはかつて国際強化選手として世界大会で戦った仲間ではないか。それに大洗が白河女子高に勝てるとは思えないしな。」
「ではなぜはやは呼ばなかったのですか?」
「はやとは戦いかたがあわなくて。それにひとりいれば十分だからな。」
すると黒森峰の生徒が私を囲んできた。
「少しだけ静かにしてもらいます。」
黒森峰の副隊長であるエリカに口と鼻を押さえつけられて気を失ってしまった。
「こんなことで大洗が弱くなるのでしょうか?」
「大狩流の関係者には大きな影響をあたえられるでしょう。それに捕虜としておけば、大会終了後までこちらで預かれる。」
「ですが次の対戦相手には関係無いのでは?」
「白河女子高の去年の副隊長が誰だか知っている?」
そんな質問をした。
去年も大会に出ていたエリカは、
「大狩流の正当後継者である大狩梨華でしたっけ。それがなんですか?」
「そう。白河女子高には少なからず影響が出る。そして梨華自信はみほに去年の雪辱を返してやりたいと思っているはず。利用するにはちょうどいい。」
「つまり仲間に引き込むつもりなんですね。そんなことをして大洗は黙っているでしょうか?」
「戦意は高まるでしょうけど、かつての仲間を撃破出来るかな?」
それを聞いたエリカが、
「フラッグ車。」
「その通り。梨華にフラッグ車を任せれば確実に相手に僅かな隙がうまれる。そう考えている。」
そんな話をしているうちに梨華が起きそうになった。
「早く中に連れていくわよ。」
梨華は中に運ばれていった。
私が目を開けたのは薄暗い個室のなかでした。
個室には勉強机、ベット、冷蔵庫、等の生活に必要な物は揃っていました。
そんな個室のドアが開きまほさんが入ってきた。
「調子はどうかな?」
「いろんな意味で最悪です。まさかまほさんにこんなことをされるなんて思っていませんでしたから。」
「そう。でもこうなることの予測も出来た筈よ。」
確かにそうだ。
私がもっとしっかりと考えていればこんなことにはならなかったのに。
「提案があるんだけど。」
「提案?なんですかそれは。」
「決勝戦の日に私たちの戦車に乗ってくれるなら解放する。別に悪い話ではない。みほに復讐をしたいなら絶好のチャンスだ。どうだ?」
梨華は笑い出した。
「なにが可笑しいの?」
「私が復讐したいのはみほではなく黒森峰そのものなんです。みほ単体では意味がありません。ですのであなた方の仲間にはなりません。」
「そう、残念だわ。」
「まほさんが優しい人間で良かった。」
すると遠くから砲撃の音が聞こえた。
「意識を失う前にはやたちに連絡したんですよ。このボタンで。」
それは緊急用の通信機だった。
「その性格も用心深さも何も変わっていないのね。」
すると黒森峰の校内放送が流れ、
『他校の戦車が砲撃宣言をしています。戦車道を選択している生徒は迎撃してください。』
「エリカ、敵の学校は?」
『国立北海学園、国立白河女子高等学校、県立大洗女子学園、国立伊豆防衛高校の四校です。』
それを聞いたまほは驚いた。
「どうして国立伊豆防衛高校も来ているの?」
「今、この学園艦は駿河湾近くに停泊している。そこから一番近い学校に協力を仰いだと言うわけです。」
「こんなことして大丈夫だと思っているの?連盟会議ものよ。」
それを聞いた梨華は一枚の紙を見せた。
「連盟にはしっかりと証拠である手紙を見せてある。それでもし捕虜にされたら困るからその際の対抗許可も貰っている。」
『隊長。戦車数合計が約130輌だと思われます。』
『まほさんに要求します。こちらは国立白河女子高等学校の隊長である大狩深雪です。直ちに降伏して梨華を返しなさい。』
『同様にして国立北海学園の北東みみです。降伏しなさい。』
『こちらは国立伊豆防衛高校の山河ほのかです。防衛高校の威力を味わいたくなければ降伏しなさい。』
『お姉ちゃん、梨華を返して。』
それに対しエリカは
「隊長、戦いましょう。逃げたら黒森峰の恥です。」
「いいえ。ここは降伏しましょう。大洗だけならともかく、残りの三校を一気にはきつい。」
するとまほは、
「こちらは黒森峰女学院の西住まほです。要求に答え、大狩梨華を解放します。」
解放された梨華は、みんなのもとに帰っていった。
そしてみんなの前で
「迎えに来てくれてありがとう。」
とだけ告げた。
後書き
国立伊豆防衛高校は次章で出てきます。
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