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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第六章 Perfect Breaker
  五翼 凶襲

今までのあらすじ

ヴォルケンリッターの四人
その内、攻撃に秀でた二人、シグナムとヴィータの元となった人間がショウへと襲い掛かる。

似非シャマルは、能力こそあれど耐久力は低い。

だがこの二人は本物の戦闘というものを知った二人。
更にはザフィーラの元人格も控えているこの状況で、ショウは悠然とこの二人を相手にする。


しかし、いくら凄みを効かせているショウとはいえども、この二人相手には苦戦は必至。



―――――と、思われていたのだが



------------------------------------------------------------


「シャァッ!!」

「オォオッッ!!」

斬り裂こうとする刃に、潰し爆ぜさせようとする鉄塊。
襲いくる猛攻を相手に、ショウの身体は動かない。

眼の前から突っ込んでくる二人を、掌を軽く広げた、妙な構えで静かに待ち構える。



「お前がぶった切るんじゃなかったのか?」

「ハッ!!いいのさ!!最終的にあたしが斬られてアンタが斬られればそれで!!それに、アンタはガキにヤられるほど軟じゃないだろ!?」

一瞬のうちの、短い会話。
その似非シグナムの答えに、ふむ、と呼吸とも取れる短い頷きで返すショウ。

「確かに」


そして二人がショウに到達・・・・するかと思われた数瞬前に、二人の姿が正面から消える。


攪乱、フェイント。
彼の視界から姿を消した二人は、一瞬にしてショウの背後と頭上に現れていた。

間違いなく、必殺の一撃になる。
似非シグナムはショウの背後に、似非ヴィータは彼の真上から襲い掛かっているのだ。


突きによって体内に侵入した連結刃で背中から解体されるか、鉄塊によって縦に潰され押し花状態になるかは彼が選ぶ道。


だが、二人は勘違いしている。
この二人が視界から消えた瞬間、ショウは微動だにもしなかった。微塵も探しなどしなかった。

それは、すでにこれらが脅威でないことを示すものであり

「まあ、その程度でやられるほど軟じゃないな」

「なん」

それに似非シグナムが気付き声を上げ、しかしその攻撃の手は今更引けるはずもなく



「シャらクセぇえってンだよ!!!」

ゴッ、ドンッッッ!!


ショウの二撃が、同時に叩き込まれる。

背後から迫った似非シグナムの一突きは、ショウの僅かな身の反しで脇を素通りし、上半身の捻りと共に突き出された左肘が背後から迫っていた彼女の顔面にめり込んだ。
しかし、ショウはそちらを見ていない。

もう一方の右拳は、左ひじと同じタイミングで真上に―――要はアッパーカットで突き出されていた。
拳は真上から振り下ろされていたハンマーの面に正面からぶつかり、決して軽いはずのないその一撃を押し返していたのだ。
しかし、ショウはそちらを見ていない。



「コイ・・・ツ。壊れな・・・い!?」

バーサーカーでない故に多少理性が残っているのか。両腕ごとハンマーが跳ね上げられながらも、似非ヴィータが目の前の状況に驚く。

いくら跳ね上げるだけの胆力がこの男にあっても、爆発の効果は絶対に発動するはずだ。
だが、この男の拳は煙を上げるだけで吹き飛ばない。

ということはだ。
単純にこの男の一撃が、爆発が発生した瞬間にそれを打ち消し、それどころかこちらに叩き返してきたことに他ならないと言うこと。


だが、それだけのことをしていながら――――――


ショウは、そちらを見ていない。




「シィッッ!!!」

左肘、右アッパーのその体勢から、一気に体重を右足に戻して左足の後ろ蹴りで似非ヴィータの脇腹を踵で蹴り抜く。
彼女の腕は、ハンマーに引っ張られる形で跳ね上がっているのだ。それはまともに入り、彼女のバリアジャケットを砕き、アバラを二本ほど砕いた。

そのまま回転し、脚をおろし、突き出した右手は似非シグナムの顔面を真正面から鷲掴みにする。


「リィンフォース!!」

だが、それでもショウは彼女たちの方を見ない。
見ないままにアイアンクローで似非シグナムの身体を持ち上げ、リィンフォースの方へと放物線を描いて放り投げた。


対し、空中で体勢を整えながらも、何とか反撃に出ようとする似非シグナム。
だが彼女の身体を、四方から伸びるチェーンとロックのバインド魔法が封殺していってしまった。


身動きの取れない似非シグナム。
流石に固定化されたバインド魔法は集束するより砕いた方が早いのか。ビキビキと音を立ててそれらを強引に破壊しようとするあたり、流石と言わざるを得ない。


だが、それでもなおショウはそちらを見ない。



ゆっくりと歩を進めながら、斜め上に手を向けて波動砲を撃っていく。

一撃の威力は高くないものの、連射されてはダメージは甚大。
しかも、撃たれていく似非ヴィータはお手玉のように次々と弾かれてはその場から移動させられている。

それも、見ない。


そうしていくと、次第に二つの点が重なる。
バチバチと撃たれながら突き動かされていく似非ヴィータと、もう間もなくバインドから脱却できる似非シグナムの二点が。



「お前らヴォルケンリッターは、その身の誇りと信念を砕いて尚、主のために汚名という泥を被りながら、誰にも頼れぬ戦いを繰り広げた騎士たちだ」

決して彼等の方を見ようとしないショウだが、その言葉は確実に彼等に向けての物。


「シグナムは決して、自己満足のために誰かを傷つけることはしない。ヴィータはあんな性格だが、自分から破壊を振りまくことはない」

ドカッ!と、似非ヴィータの身体が似非シグナムにぶつかる。
同時に彼女のバインドも解け、しかし身体が絡まって体勢が崩れる。


「シャマルは相手が健やかにいられることだけを真に願うし、ザフィーラが自分だけを守るような防壁を組むことはないだろう」


その間にもショウは波動砲を撃ち続けている。
だが似非シグナムはそれらを強引に集束して、魔力刃に溜めこんでいる。

連結刃のカートリッジはすでに全発装填済み。
後は集束が完了してから、こいつであいつを真っ二つに斬るだけ―――――



「だが、あいつらがお前らより優れているとは俺は言わん。お前らだからこそできることもこうしてあるわけだし、優れている点も多いだろう。だが、俺はお前らをあいつらよりも下だと思っている」

それはつまり。

狂気を、妄執を、衝動を、野性を
悪とは決して断じることはなくとも、その存在を否定するわけでもないが

蒔風ショウは、それは違うと言っているのだ。


「それは人の物ではない何かだからだ。皮肉なことに、生前お前たちは怪物だの化け物だの言われてきて――――そして、人格プログラムとなって初めて、人間らしさを得ている」

かつて混沌に身を落とし、人であろうものが持つ倫理のことごとくを破棄した彼だから、彼女たちは違うと言う。


狂気。
良いだろう。それがなければ、人はつまらない。

妄執。
良いだろう。それがなければ、人は足掻けない。

衝動。
良いだろう。それがなければ、人は突き動かされない。

野生。
良いだろう。それがなければ、人は営みを忘れる。


だがそれだけであるお前たちは、人ではない。
人は、人というものは。

たとえそれらを抱えていながらも、それに負けることなく踏みとどまり、折り合いを付けた生き方のできる生物のことを言うのだ。


「喰らえ―――――」

「どっちが優れている、劣っているとは言わん。だが」

似非シグナムの魔力刃が振り下ろされる。
連結刃は、すでにその魔力に耐えきれず砕けた。

さらに言うなら、似非ヴィータの魔力も集束したのかこの刃には爆破効果も付与されている。


それに向けて、ショウがユラリと取り出した魔導八天が向けられる。


「ただな―――――俺は踏み越えたお前らより、あいつらのような生き方の方が素晴らしく思える」

優れているかどうか、ではない。

確かに、そんなことを言えば人間の優劣は容易に区別できるだろう。順位付けは残酷に行われるだろう。
だが、それが一見正しいと思われながらも否定されてきたのは―――――人には、数値化できない「何か」があるから。


愛、絆、勇気、絶望、友情、希望、怒り、
それら人間の感情とされている様々なものを、敢えて一括りに言うのであれば

それはやはり、彼の言う「素晴らしさ」に他ならない。


「まあ簡単に言うとだ。ぶっ飛んだお前らより、確固たる自分を持って生きるアイツらの方が、よっぽどましだってことだわな」

振り下ろされた似非シグナムの刃。
それが、ショウのつむじの数センチ上まで迫る。

髪の毛に、触れる。


だが、その瞬間。
剣に電火が奔り、バチッという音が鳴ったと思うと


《電火一閃》


そんな声だけがして、音が消えた。



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雷が、空に落ちた。
地にではなく、空に向かって真っすぐに。

黒―――否、ほんの少しだけ紫の混ざったその雷は、しかし稲妻のような形をしていなかった。

一直線に、空へと向かって伸びていく。
それはもう雷というよりは光線やビームと言った方がいいだろう。


それを視認したのは、戦いに出ている者の中では鉄翼刀のみ。
再び校舎内に入り込み、周囲を巻き込みながらの攻防のさなかにそれが起こった。

比較的平たいはずの校舎が横に揺れて、ガラスが割れて落ちる。


そして直後、ドンッッッ!!という凄まじい音が全身を叩いた。
それだけは、地上に落ちる雷と同じ現象だ。

ただ違うとすれば、その威力。
なにせ何かで―――そう、例えば枕で叩かれたような衝撃を受ける程の音となると、一体どれだけの物かと呆れるしかないだろう。






だが、遠くで起きたその現象に驚いている暇もなく、鉄翼刀は目の前の男に視線を向ける。

蒔風が構える剣「天」と「地」は、トンファー型の剣だ。
おおよそ斬撃に関してはほぼ使えなさそうな形をしている。使えるとして、防御だけだ。

切ろうとすると、相手の身体スレスレを通らないと斬れないのだ。
そして斬れたとしても、せいぜい薄皮程度にしかならない。


だが、それがこの徒手空拳の戦いになると話は別だ。
彼は暗殺としての戦いで、この形が便利だとして重宝しているが、それだけではない。

これを握った拳は紙一重の回避が出来ないし、下手に手で受けると傷だらけだ。
しかも相手がガードに刃を使うとこちらのダメージが大きい上に、先端を反転させれば突きが襲い掛かる。


「っとにやらしい戦い方すんなアンタ!!」

「そう言うな。俺が、ということは今の蒔風だって得意な戦い方だぞ?」

「へーへーそうです、かっ!!!」


だが、それでも抜ける。
翼刀の跳回し蹴りが腕の隙間を潜り抜け、蒔風の頬に叩き込まれた。

グンッ!と体を引かれるように後ろへとすっ飛ぶ蒔風。黒板に背中から突っ込み、壁に穴を開けて隣の教室へ。


それを追って翼刀が駆けこむが、それにタイミングを合わせて眉間へと突きを放ってくる。
一瞬を見逃さない蒔風だが、それを言うなら翼刀もである。

咄嗟に上半身を後ろに反らして突きを回避した翼刀は、そのまま両脚を地面から離した。
というより、両足で蒔風の腕を挟み込んだ。

そして腕をつかみ、そのまま地面に落ちる。

簡単に言うと


「っしゃぁ、腕ひしぎ取ったァ!!」

「なめるな!!」


腕に一瞬痛みが走り、しかし蒔風が手首を捻って「天」の切っ先を振って翼刀の首に向けた。
対し、翼刀は悔しげに腕を解放してその場から離れる。

ヒヤリととながら喉をさすり、チッと舌打ちして溜息を吐く。


「くそ・・・もうちょいで腕取れたのに」

「やるな。一瞬遅ければこの腕が折られていた」

腕が痛むのか、軽くさすりながら蒔風が翼刀に感心する。
だが、一つだけ解せないことがある。


「貴様、なぜ抑止の力を使わないんだ?」

「・・・」

翼刀は、渡航力による翼人抑止力を発動させていない。
使うのであれば、それはこの空間にではなく攻撃手段に使うだけ。

相手に剣を突き刺して使うつもりだった力だ。


「まさか、さっき一方的にやれたから大丈夫などというバカなことは言わないだろうな、おい」

そんなことはない。
先ほど一方的に殴れたのは、蒔風の身体に抑止力の込められた刃が突き刺さっていたからだ。

それがない今、同じことができるとは思ってもいない。

だが、ならばなぜ翼刀は蒔風に対して何も抑圧を掛けていないのか。


「あんたは、俺たちを救ってくれた一人だ」

鉄翼刀には、多くの恩人がいる。
綺堂唯子は当然、名を上げるべくもなく大切だ。

だが彼女を除いて最初に名を上げるのであれば、失礼ながらも蒔風ショウが出てくる。
彼の言葉に、自分はやっと立ち上がることができた。

あれがなければ、自分はいつまでもウジウジしていただろう。


その次に出てくるのが、蒔風舜だ。
自我を奪われていた時も、そしてそれが解けた後に戦っていた時も、覚えている。

彼は何度も何度も自分と戦った。
倒そうとしてきたことは確かだ。だが、彼は自分を救おうと何度その身が血に濡れようと向かって来てくれた。

その血の多くが、自分の物であると知りながら、なおも。


鉄翼刀はただ一つを除いて何もかもを失った。
そして、また多くを得た。


いつかこの男たちの様になりたい。
そう思った。力だけではなく、その生き方に。

だから、越えなければならないと思った。
純粋に、自分の力でこの男を倒さねばならないと思った。



「アンタは違う・・・らしいな」

「なに?」

「聞いたことがあるんだ。舜さんは心に蓋をしていたってな」

そう。
このころの蒔風は、まだ心に蓋をしていた頃の彼だ。

それは彼の理想像であり、そして死を恐れぬ破綻者だった。

それはいい。
そうだからと言って、それを否定する気は翼刀にはない。


彼が言いたいのは

「その時の舜さんは「悪であれ」と自分に言い聞かせた姿なんだろ?」

「む・・・・」


そうだ。この姿は蒔風が「悪」を構築し、蓋に張り付けた疑似人格に近い。
目的のためなら手段を選ばず。どんなことをしてでも達成する覚悟の上に作られたものだ。

ならば、答えは簡単だ。


「あの人は「悪」と戦ってきた。だったら、俺は舜さんが「悪」だと考えたあんたを倒すことで、それを越えたいと思う」

あの蒔風舜が悪だと思うその理想像がいるのなら。
それを倒すことが、彼と同じ道に立つ方法だと思ったのだ。

だから、この男は実力で倒したかった。
抑圧をかけて、簡単に勝なんてことはしたくなかったのだ。



「そうか・・・・・ん?」

それに納得し、そして蒔風の視線が揺れる。
どうやら脳内で何か話をしているらしい。そしてそれが終わり、にやりと笑って言う。


「了解、ますたぁー」

気の抜けた、まったく敬意の感じられない返答だが、その顔は険しい。


「鉄。今しがた令呪によって、俺さんたちに聖杯を破壊することを禁ずることが命じられた」

いよいよ正念場か、もしくはアーカイヴ通りか。
セルトマンが、ついに大聖杯へのサーヴァントの反逆を禁じた。

無論、そんな令呪では束縛力が弱まり、行動を禁じることはできまい。
だがその令呪の力でペナルティーを与えることぐらいはできる。そしてそのペナルティーは、大聖杯が破壊できなくなってしまうほどの物だった。


「しかも、貴様と戦う気がどんどん膨れていく。これはまずい。非常にまずい」

「は・・・なんだ。今までと変わらないじゃんかよ」

蒔風の言葉に汗を流す翼刀。
だが冷静に考えればそうだ。いままでだって彼は手を抜いていたわけではないし、戦えていた以上問題はない。


しかし


「いいや、まずいね。俺だったら即座に抑圧をかける」

「・・・・は?」

「いいか、鉄。昔の俺はそりゃ、やりたくないことはしなかった。だけどな、「奴」に勝つためなら出来る範囲で何でもしていた」

「どういう」

「信念も誇りも覚悟も重要だ。ま、俺には最後のがなかったわけだが。お前のそれは信念か?それとも挑戦か?」

「・・・どっちかってーと挑戦かな?試練だと思ってるし、あんたを倒せないならキッパリと仕事をするさ」

「そうか。ならば即座にお前の力を開放しろ」

ビシッと、空に光が奔る。
召喚魔法陣。紅の閃光。

蒔風を中心に左右二騎、計四騎のサーヴァントが召喚された。
紅の魔力光の跡を引くのは、見覚えのある四色の光。

蒔風が、短く告げる

「死にたくなければ、お前の全力を尽くせ」


四色は、即ち純白、漆黒、薄緑、蒼青。
彼等もまた、別の可能性の存在。

一歩間違えれば、世界を破壊しうる災厄となった者たち――――――



「破ァァアアアアア・・・・・」

バーサーカー
純白の翼・神尾観鈴《暴走》


「クックック・・・・終わらせよう、か」

セイバー
漆黒の翼・クラウド・ストライフ《暗黒》


「もう終わり・・・・何もかも、終わり」

ランサー
薄緑の翼・直枝理樹《絶望》


「世界を破壊する・・・それが、俺の・・・・」

ライダー
蒼青の翼・北郷一刀《破滅》


「あーあ。だから言ったのにぃ」

アサシン
銀白の翼・蒔風舜《第二章》




翼刀の前に、新たに現るサーヴァント。
その数、四騎。

既存のアサシンを含め、総てが翼人。
在りえたであろう、闇の側面を引き出した、別の可能性の彼ら自身の顕現―――――!!!



「は・・たしかに。こりゃぁ戦争だ」

渡航力を奔らせていく。指向性をこの空間全域に。
標的は翼人。その力を抑圧する。

現れた彼等は相当過去から引っ張られている。
力も今の彼等よりは低いだろう。

だが、それでも戦慄は止まらない。


鉄翼刀は、初めて今まで彼らが戦ってきた敵に、なかなか勇敢だったんだなと感心した。

なにせこの五人が揃った目の前に立ち、しかも勝てると踏んで挑んでいったのだから。
自分だって戦いはしたが、この五人を同時に目の前にしたことはない。

それを、よくもまあ挑んでいったものだと本当に感心する。


「・・・だったら、なおのこと負けられねーじゃんか」

己の力の全力を以って、この五人に挑む。
ならば、自分にできないはずがない――――――!!!


「・・・・鉄流不動拳18代目当主、鉄翼刀。行くぞ」

「来い。「EARTH」の翼人五人が、直々に相手をしてやろう!!!」

襲い掛かる歪んだ翼人。
だが、それもまた彼らの一面。



―――――翼人、救世主にして破滅の者




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「さて、最後にはテメェだ」

一撃を放ち、似非シグナムを似非ヴィータごと灰塵に変えたショウが、似非ザフィーラの元へと進む。

この獣は、本当にただの獣だ。
ただ人類が自分の縄張りに踏み込んできたため、そこを守ろうと暴れまわった一匹の狼に過ぎない。

だがそんな獣だが、魔力資質は十二分だった。

その防衛の力を見込まれ、捕獲されたのちに人格を取られ、プログラムにされ、もとが獣だったために守護獣として組み込まれたのだ。


「硬さが自慢か?」

ゴンゴン、と、ノックする様に大きな杭を叩くショウ。
彼の周りには鋼の軛の元だったのであろう、白い杭が地面から突き出ている。


「だが残念。お前の相手は俺じゃない」

そういって、狼のそばを素通りしていくショウ。

噛みつくか。
しかし、狼は動かない。

その全身がロックされ、全く身動きが取れないのだ。



狼は腑に落ちなかった。

魔法なら見たことがある。
自分はこれら妨害魔法だって、この軛で弾き、砕き、防いできた。

今回もそうした。
だが―――――砕けたのがこちらの軛とはいったいどういうことだ。



「流石。ホントお前、おかしな硬さしてんのな」

「君におかしいとか言われたくないよ・・・・」

「確かに。リィンフォース、いろいろ説明しといてくれ。俺はあのバカ引っ張り出してくる」


そういって、ショウがその青年をリィンフォースに任せ、大聖杯へと歩を進める。
彼の役割はこの地域全域の龍脈をロックすること。

そんな大規模なことができるはずない、バカバカしいと考えることすらしなかったが、ここにきてショウには心当たりがあった。
リィンフォースが来てくれたのはありがたかった。戦力以上に、彼を呼ぶことができたからだ。

「頼んだぜ?他の所も怪しい戦いばっかだ。さっさとこのバカげた事件を終わらせないとな」



そうして、先を進む。



ヴォルケンズ《オリジナル》撃破




戦いは、残り二名。
セルトマンが必要データという召喚予定サーヴァントは、現存六騎、残り一騎。

それを終え、最後に召喚される、彼の目的である「王」とはいったい何者なのか




to be continued
 
 

 
後書き

ザッフィー(似非)がカマセすぎて泣ける・・・
でもまあ、彼を相手にしたら負けますよ、ええ。

一体最後に出てきた彼はダレナンダロー?



そして翼刀の前に現れる「EARTH」五翼人
全部原作においてありえたかもしれない可能性のみんなです。


クラウドは洗脳されたときの《暗黒》
観鈴の元の神奈備のお母さんがバーサーカー状態になったことから《暴走》
一刀は原典でもともと「世界を滅ぼすかもしれない」と予言されていたので《破滅》
理樹は事故で二人だけ生き残った場合の《絶望》


翼刀は抑圧をかけて、全力で挑みます。
さて、彼等にどうやって勝たせようかなぁ・・・・


残り召喚予定サーヴァントは一騎。
そしてその後、セルトマンの目的である「王」の召喚があります。


さて、長かったサーヴァント戦もそろそろクライマックス。
なかなか更新できませんが、これからもよろしくお願いしますね!!





翼刀
「次回。あれ?そいうやフォンってのはどこだ?」

では、また次回 
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