白髪赤目の少女と黒の剣士
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アインクラッド編
街と理想と転移
前書き
アインクラッド編第2話です。
初期チュートリアルとアバター作成を終え、光に包まれた後、目を開いてまず最初に見たのは、石と煉瓦で出来た街。そして無骨な鈍色の鉄塊で出来た電子の城。
「あれが、『浮遊城アインクラッド』」
私は、圧倒的な存在感を放つ電子の城に見入った。
ふと目の端に、黒く長い髪が映る。
すぐに近くのショーウィンドウで自分の姿を確認する。
「……黒い、髪……黒い、瞳…!」
そこに映るのは、ツインテールに結われた艶やかな黒く長い髪。そして黒い瞳を持つ、少女の姿。
私がどんな時でも望み、夢見た理想の私の姿。
思わず緩んでしまう頬を引き締め、気合いを入れる。
周りの視線に怯えることも、周りの視線を気にすることもない。
その紛れもない事実が、私の心を踊らせた。
「えっと……このゲームはレベル制、だった筈……なら、レベルを上げなきゃ。町を散策しながら、まずは武器の調達。それから、フィールド出ないとね…」
思い立ったが吉日、私は早速行動に移した。
あれから数時間経つも、私のレベルは未だに1のままだった。
理由は3つ。
1つ目は町の散策に時間を掛けすぎた事。
ゲーム初心者な上、外を堂々と歩いたことのない私にとって、町は驚きや発見の連続だった。
故にテンションが上がりすぎ、時間を忘れてしまった。
2つ目はVRMMO初心者だった事。
いざ戦闘となった時、あまり上手く動けず慣れるのに時間が掛かってしまった。
3つ目はソードスキルが上手く発動出来なかった事。
VRMMOどころかゲーム初心者な私にソードスキルが発動出来る筈もなく、偶然出会った人に教えてもらった。
その人の名前は『アルゴ』さん。情報屋をしているらしく、《鼠》と呼ばれてるそうな。
ソードスキルを教える代わりに名前を教えてと言われたので、名前を教えたら……
『そっちじゃなくてこっちの名前! 今のは聞かなかった事にしておくヨ』
……って言われた。今度からは気を付けよう。
因みに私が選んだ主武器は短剣。
取ったスキルは《短剣》と《投剣》の2つ。
っとまぁ、そんなこんなで漸くVRに慣れてきたと思った所でそろそろ夕方だということに気付いた。
町に戻ってログアウトしようと思ったら……
……ゴォーン……ゴォーン……
「な、何? この音は…!?」
不気味な鐘の音が聞こえてきた瞬間、眩しい光に包まれた私は、フィールドから姿を消した。
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