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魔法少女リリカルなのは -Second Transmigration-

作者:navi
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第13話 はじまりの夜

 
前書き

第13話です
ではどうぞ~ 

 


翌日、明け方の目覚める頃になって、ある映像が頭に入ってきた。
見覚えのある公園の一角、その中を疾走する黒い影。
それを追うのはマントを羽織った1人の少年で、その少年は影の攻撃を受けて吹き飛び、そこで映像は途切れた。





俺は映像が終わったと同時に意識が覚醒させると、まだ意識が朦朧とする中で体を起こした。


「おはようございます、マスター」

「……おはよう、レン」


いつも通りあいさつをしてきたレンに、あいさつを返す。
『いつも通り』ではあるが、部屋に漂う空気は違う物だった。


「いよいよ、ですね。マスター」

「……そうだな」


今日、この夢を見たということは、これからなのはは否応なく魔法に巻き込まれていく。それは時に命がけで、時に理不尽な事も起きるだろう。それは俺が転生した頃から決まっていたことであり、変えられない事実でもある。


「後悔……しているのですか?」

「まさか。ただ……もし、なのはがこの夢を見なかったら、なんて考えたりするかな」


実際、それは考えてしまっていた。なのはは本当にいい子だ。
あの子が悲しむところは見たくない。


「ですが、なのはさんは聞かないでしょうね。彼女の頑固さはマスター以上です」

「ハハハ、確かにな」


なのはの頑固さは本当に参る。決めたら絶対に引かないし……。


「……俺が、俺達が支えなくちゃいけないよな」

「そうですね。……マスター、転生の際に何を願ったか、覚えていますか?」

「『アリシアとリィンフォースの生存の方法を残しておく』、だろ?覚えてる」

「その時にマスターは思ったのでしょう?自分の手で救える人は救ってあげたい、と。……ならば、マスターはマスターの思うままに動いてください。私は、マスターのデバイスであり、『家族』です。それに、陽翔やスパーダもいます」


そうだ。
俺には仲間もいる。俺を信じてくれた、同じ転生者の仲間が。
悩む必要があるだろうか?
無いよな。なら、自分の選択を信じるしかないじゃないか。
それがなんであれ、今まで悔いはなかった。
ただ前へ進む、それだけだ。


「……ありがと、レン」

「いえ……当然です」

「今日は夜に備えておけよ。……忙しくなるよ」

「イエス、マスター。……どこまでも、お供します」


レンの言葉を尻目に部屋を出た。




その日の放課後、5人で下校していると、公園の池の前を通り掛かった。池のボート乗り場には桟橋が破壊された所が自分達の所からでもわかった。


―――助けて


「「「っ!?」」」


俺となのは、ハルの3人は何かに反応したように辺りを見回す。すると、なのはは迷い無く林の中へと走っていった。
俺達が駆けつけると、なのはの腕の中に傷ついたフェレットと、その傍らに赤い宝玉が転がっていた。





その日はフェレットを槙原動物病院に運んで、今晩だけは預かってくれることになった。
ケガもそんなに酷くはないらしい。良かった良かった。
買う家はなのはが士郎さん達に掛け合うそうで、とりあえずは保留になった。
そして、時間は更に経ち、夜の8時になろうとした時……


―――助けて


……来た!

俺は自分の部屋を飛び出すと、今にいるレンとハル、スパーダの下に向かった。


「マスター……」

「ああ……いよいよだ」


これが本当の始まり、この世界の物語はここから始まる。


「行こう。本格的に介入だ」


デバイス状態のレン、スパーダを俺とハルは手にとって家を出た。目指すのは槙原動物病院。





動物病院に向かう途中の道で、結界の発動が確認された。
世界が別の空間へと代わり、違う世界に包み込まれる。


『結界の発生を確認。……なのはさんも近くにいるようです』

『不味いぞ、病院付近に強い魔力反応がある。もう1人を襲っているようだな』

「急ごう悠里。魔法生物は俺とスパーダでなんとかする」

「頼む」


俺とハルは病院への足を早めた。
少しすると、病院の方から走ってくる1人の人影がこちらに走ってきていた。
あの人影は……


「なのは!」

「え!?悠里くんに陽翔くん!?」


なのはは驚いてこちらへ向かってくる。すると後ろから、轟音を上げて巨大な物体が迫ってきていた。


「デカッ!?」


思わず陽翔は叫んだ。
黒い泥の集合体のようなそれは、まっすぐにこっちに向かってきた。


「こっちだ、なのは!」

「え…!?」

「逃げるんだよ!!」


俺はなのはの手を引いて、違う道へ入る。
ランニングの際に色々な道を何年も通ったから、道は把握している。道に入る前、ハルの方を少し見ると、ハルはニヤリと笑って親指をサムズアップさせていた。
それを見て俺はフッ、と笑うと道へと入った。


「悠里くん!陽翔くんは!?」

「大丈夫!アイツ強いから!」


なのはの手を引きながら走って答える。
陽翔なら大丈夫だ。俺が鍛えたんだからな。





陽翔side

俺は魔力生物と対峙すると、スパーダを取り出す。


「行くぜ、スパーダ!」

『セットアップ』


スパーダを起動させると、待機状態のスパーダが日本刀へと姿を変える。服装はバリアジャケットへ変わる。ジャケットは白を基調としており、テイルズのアスベルに似ている。


「グウォォォ!!」


相手は雄叫びを上げて俺へ襲いかかってきた。
俺はそれを避けると、スパーダを鞘から抜いて応戦する。


「魔神剣!」


俺は魔神剣を放つと、衝撃波が相手を襲う。それが相手にあたると、そいつは体が怯んだ。俺はすかさずそいつに接近すると、今度は触手伸ばして攻撃してきた。


「んなもん……効くかよ!」


スパーダで触手を切り裂いて接近する。距離が縮まり、スパーダの射程に入ると、


「弧月閃!」


空中で弧を描く二連撃を相手に浴びせ、相手を両断する。だが、その切り落とされた2つに突然目が現れ、それに光が宿ると、俺へと襲いかかってくる。


「うおっと!?」


慌てて飛びかかってきた2体を避けると、その2体は俺から離れて違う方向へ飛び出していった。
……ってオイ!?


「待てコラ!!」


俺が追いかけようとするが、残った本体が行く手を遮った。
……スマン悠里。取り逃がしちまった。





悠里side

なのはと逃げる最中、近くに轟音が響く。あの魔法生物がきたのだろな。


「お願いします!お礼は、必ずしますから!」

「お礼とか、そんな場合じゃないでしょう!?」


フェレットのセリフになのはが叱責する。フェレットは降りて俺となのはの目の前に立った。


「今の僕の魔力じゃあ、アレを止められない……でも、あなたなら」

「魔力……?……どうすればいいの?」

「これを……」


なのははそれを聞くと、意を決してフェレットに聞いた。
それを聞いてフェレットは首に付いていた赤い宝玉をくわえて、なのはに差し出した。宝玉は桜色に発光していて、なのははそれを握り締める。


「それを手に目を閉じて、心を澄ませて」


なのはは目を閉じて意識を集中させる。やがて、手の中の宝玉が鼓動を始めた。


「管理権限、新規使用者設定機能、フルオーブン」


フェレットが言うと、なのはの足下には桜色の巨大な陣が形成される。それは文字や様々な記号で形成され、円や文字が回転していた。


「繰り返して。『風は空に、星は天に』……」

「風は空に、星は天に」

「『不屈の心はこの胸に』」

「不屈の心はこの胸に……」

「『この手に魔法を!』」

「この手に魔法を!」

「「レイジングハート、セーット、アーップ!!」」

『スタンバイ・レディ、セットアップ』


なのはが空中に宝玉、レイジングハートわ翳すと、光はより強く発光し、その光はやがて空へと上っていき、雲を貫いた。


「なんて……魔力……」


あまりの大きさにフェレットは驚いたようだった。
しかし、そこへあの魔法生物の触手が襲いかかる。狙いはやはり、あのフェレットだ。


「危ない!」


俺は咄嗟にフェレットに手を伸ばし、左手を広げ、前に翳してガードするが間に合わない。
触手が直撃しようとしたその時、

『起動条件クリア。サイレントフェザー、起動します』

ガキィィィン!!


甲高い音が辺りに響いた。
いつまでも攻撃が直撃しないため、俺は目を開けてみると、俺の手の前に、銀色のなのはと同じ魔法陣が描かれていた。


「防御魔法!?どうやって……」

『吹き飛びなさい。バリアバースト』


レンが呟くと、魔法陣は爆発して魔法生物が吹っ飛んだ。
俺は左手に巻きつけたレンを見ると、なのはと同じ様に銀色に発光していた。


「レン、なのか?」

『イエス。先程、起動条件が満たされましたので、デバイスとしての機能が全て起動しました。マスター、今から言う起動呪文を詠唱してください』

「わかった

静寂の空より来たりて

羽ばたく翼は我が下に

我は世界を紡ぐ者

契約に従いて力を我に

この手に魔法を!」


呪文を言い終わると、レンの発光は更に強くなる。俺は天に左手を突き上げ、叫んだ。


「サイレントフェザー、セーット、アーップ!」

『スタンバイ、レディ。セットアップ』


レンの光は更に強くなると、なのはと同じ様に空へ向かっていき、雲を切り裂いた。だが、光の奔流はまだ止まることを知らず、光は更に強くなろうとしている。


「な…なんて魔力……いや、魔力だけならあの子よりも凄い……」


その光景を見ていたフェレットは呟いた。その頃、俺はその魔法陣により作られた光の中におり、俺がいた地上から何十メートルも離れた上空に浮いていた。


「マスター」


不意に呼ばれて前を見ると、擬人化形態のレンが目の前にいた。


「マスター、ご無事で何よりです」

「レン、さっきデバイスとしての機能が起動したって…」

「イエス。マスターの父君の命により、『魔力保持者との戦闘、並びにそれによる生命活動の維持に困難な状態に陥った場合』という条件が満たされたため、デバイスとしての全機能が起動しました。
これで……私はマスターの、本当の意味で剣となり盾としての役目を担う事ができます」


レンはどこか嬉しそうに話す。そういえば、時折言っていた。
自分はマスターのデバイスとしての役目をやれていない事が悔しいと、自分はスパーダのように武器になれない為、マスターが1人で戦う事がもどかしいと。


「あなたのデバイスとなった時より、心に決めておりました。マスターは言いましたね?『なのはさんを支えてあげたい』と。ならば私は、マスターをお支えしたい。あなたは、私の戦友であり、家族であり……愛するマスターです。私が…あなたを守ります」


レンは手を伸ばしてきて、俺の頬へと触れる。初めて起動したときと変わらず、その瞳や端正な顔立ちに吸い込まれそうになる。
俺はレンの手に触れて、


「……わかった。それじゃあ、レン」

「はい」

「初戦闘……行ってみようか!!」

「イエス、マスター。……どこまでも」

「サイレントフェザー、セットアップ!」

『スタンバイ・レディ。セットアップ』


再び俺が叫ぶと、再び辺りが光に包まれる。次に光が止むと、俺はバリアジャケットを身に纏っていた。
 
 

 
後書き

というわけでいよいよ本編です。

次回は初の魔法戦ですね

……悠里に魔法なんているの?

って言われたりしましたけどね…

魔法がないリリなのなんて、お揚げのないきつねうどんだろうがッ!!

ハイ、そんなわけで次回もお楽しみに

あと、ランキング1位獲得しました。

未だに信じられませんが、これからも頑張っていきます

意見、感想を心よりお待ちしてます。

それでは次回でノシ 
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