魔法少女リリカルなのは -Second Transmigration-
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第12話 転生者、日常の一コマ
前書き
第12話です
ではどうぞ~
ハルとの出会いから2年半が経過し、今は小学3年の春。
まだ朝の肌寒さを感じる時間帯に、俺とハルは日課である朝の鍛錬を行っていた。
「ハァッ!!」
掛け声と共にハルの木刀が振られる。空気を切り裂き、それは相手に襲いかかる。
俺は右へ避けると、俺に一撃を加えようと、今度は横から襲いかかる。後ろへ避けると、今度は刺突をつ。
「うん。それはある意味正解。だけど……」
俺は体をスライドさせて避ける。ハルは勢いがついてしまって、俺に後ろを取られてしまった。
「勢いに注意だ。付けすぎると後ろ取られるぞ」
「まだだっ!!」
ハルは振り向きながら木刀を振るう。俺は木刀を掴んでから、胸へ掌底を放つと、ハルは木刀を離してしまい、後ろに倒れてしまった。
「く……」
「戦闘中に武器から手を離すな。そして、攻撃は当たるまで絶対に油断しないこと。……でも、切り返しは悪くない」
俺は木刀をハルに渡すと、ハルはそれを掴むと、俺は木刀を引っ張って起こした。
「また負けか……いけると思ったのに……」
「そう簡単に当たるかよ。でも悪くないし、これくらいなら実戦は大丈夫だろうよ」
2年半、ハルは俺と鍛錬を重ねて剣術を実戦レベルまっで高めた。元から集中力は高かったようで知識の吸収は驚くほど早く、今では技も色々覚えてきた。
戦闘スタイルはテイルズで言うなら、アスベルとガイの剣術を合わせた感じかな。
「さて……そろそろ飯だな」
「今日ってなんかあったか?とりあえず、原作まであと少しみたいだけど」
「さぁね、とりあえず平和に過ごせりゃそれでいいだろ」
何事も平和が一番だ。
……何も起こらなかったら原作が始まらないけど。
「「行ってきます」」
「行ってらっしゃいませ」
「車に気をつけろよ、2人共」
家に留守番をするレンとスパーダに挨拶して家を出る。やや遅れてから、高町家からなのはも出てきて合流する。
「おはよう、なのは」
「おはよう」
「悠里くん、陽翔くん、おはよう~」
なのはと3人でバス乗り場へと向かう。
ハルと共同生活を始める際、高町家のみんなに話さなければならなかったのだが、少し問題がある。
勿論、見ず知らずのハルといきなり暮らすって言ってるんだ。混乱もするし、納得はしないだろう。
結局ハルには帰る家がないし、両親もいない、と言うことでなんとか納得してもらったが……
ちなみになのはともすぐに打ち解けた。
流石はなのは。どんな人でも仲良くなるな……
本当に尊敬するよ。
そんなことを考えていると、丁度バスがやってきた。
「なのはちゃん、悠里くん、陽翔くん」
「こっち、こっち!」
バスの後ろから2人の少女が呼ぶ。金髪の少女と紫の髪の少女、アリサ・バニングスと月村すずかの呼ぶ席にると、バスはゆっくりと走り出した。
学校の授業というのは退屈だ。
……特に3度目の小学生の授業というのは。
チラリと俺はクラス内の様子を見ると、なのはとすずかは授業を受けている。アリサとハルは興味は無いようでノートに落書きをしていた。
「……というわけで、この世界には様々な国があります。それらは……」
只今の授業は社会。世界の国々についての授業だ。
何度も言うが、この授業は飽きる。それも同じ内容なので退屈は更に募る一方だった。
気晴らしに今日の晩飯のメニューやら翠屋の新しいケーキのレシピを考えている内に、時間は過ぎていった。
「自分の将来か……」
昼休み、学校の屋上で5人で昼食を取っていると、なのはは唐突に呟いた。
「アリサちゃんとすずかちゃんは、お父さん達のお仕事を継ぐんだよね?」
「他に人がいなければね~……でも、私が継ぐって決めてないし」
「私も工学系の大学に興味があるかなって……」
上からなのは、アリサ、すずかの順番である。
……どう考えても小学生の会話じゃないよな。
「ハルと悠里は?何か考えてんの?」
「ん~……そう言われても、この先の事なんてわからんし……」
「今でかなり好き勝手やってるからな。大人になってからのことは考えてないな」
これが普通だろう。夢は何かと聞かれても今のところは無いしな……
「そう言うなのはだって、桃子さんの翠屋があるだろ」
「うん……それも1つのビジョンではあるんだけど……」
どうにも漠然とし過ぎてあまり明確ではないようで、なのはは空を見上げた。
「私って、取り柄無いしなぁ……」
「なに言ってんのよ!」
アリサはなのはにビシッ!と箸を向ける。勢い余って、なのはの額にレモンが張り付く。
おい、箸を人に向けるなよ。
「アンタ、私より理数系の成績いい癖にそんなこと言うんじゃないわよ!いつも私より上のくせに、取り柄がないとか言わない!」
「う、うん。ありがとうアリサちゃん」
アリサはなのはに一喝して、なのはは少し驚くが、すぐにいつも通りに戻る。
アリサとすずかは1年の頃に仲良くなって、もう2年の付き合いになる。すずかをいじめていたときになのはが割って入り、そのままアリサと取っ組み合いの大喧嘩になっていたのを慌てて止めたな。
いや、もうなのはが取っ組み合いとか、驚いたのなんのって……
「まぁ、将来何になるかは別として、引く手数多な才能を多く持つ奴はここにいるよな」
「……誰が?」
「アンタよ、アンタ」
………(`・ω・´)?
「わたくし?」
「うん、おまえくし」
「……なんでさ?」
「いや悠里、翠屋の手伝いで厨房やって、家では野菜作って、機械も直すとか……」
「アンタって頑張るベクトルが違う方向に働くわよね……」
人を変人扱いすな!
「で…でも、悠里くんって成績いいからね」
「授業とかでも殆ど答えてたし……」
「そう!それよ!」
今度は突然アリサが大声を上げる。
「なんでアンタは殆ど授業聞いてないのに、私より成績はいつも上なのよ~!」
「俺だって勉強くらいするわ。それに、別に勝負してる訳でもないし、順位とか興味ないって……」
「……それは未だにアンタに勝てないアタシへの当てつけかしら?」
いや、別にそうじゃないんだけど……
あぁ…面倒くさい。アリサって負けず嫌いだからな……
「次こそアンタをギャフンと言わせてやるわ!」
「………ぎゃふん」
「(カチッ)ふざけてるんじゃないわよ!!!」
怒り狂ったアリサは俺へ弁当袋を投擲してきたが、俺は体をずらして避ける。それで更にアリサの逆鱗に触れたのか、今度はストレートが飛んできて、それを回避することを繰り返す。
そして、それを眺める3人。
「……って、誰か止めろよ!」
「「「ゴメン、無理」」」
「一刀両断された!?」
「待ちなさい、悠里~!!」
「そっとしておけ!」
結局、アリサとの鬼ごっこは数分に渡って続いたが、昼休み終了のチャイムにより救われた。
……終わってから暫く睨まれたけどな。
そんな事もあって、今は放課後。
今日はアリサとすずかは習い事、ハルは掃除当番らしいので、珍しく帰りはなのはと二人きりだ。
よく考えたら、なのはと二人きりってのは結構珍しいな。
「悠里くんはこれからどうするの?」
「そうだな……特に予定もないから、翠屋で手伝いにでも行こうかな。ちょうど、新作考えたし」
「新作できたの!?」
「うん。だから、なのはに試食して欲しいなって…」
「やる!悠里くんのケーキって美味しいから好き~♪」
「あははは……じゃあよろしく」
「うん♪」
そのまま上機嫌ななのはと翠屋へ向かって歩き出した。
ちなみに作ったケーキは枝豆を使った、だだちゃ豆のロールケーキ。甘さは控えめだが、だだちゃの甘さが程よく中々好評だった。
桃子さんも気に入ったらしい。
陽翔side
「ただいま」
学校の掃除当番が終わり、1人で家に帰ると、まだ悠里は帰ってきていないようだった。
多分、翠屋にでも行って新作を作ってるんだろう。……悠里って探究心が凄いし、そもそもいくらチート転生者って言っても、あそこまで凄いのはなかなかいないだろうな。
「ただいま、スパーダ」
「お帰り、マスター。夕食の準備がまだでね、先に宿題でもやっていたらどうだ?」
「お前はおかんか?……宿題ならもう終わってる。学校でやってきたからな」
「それはいい心掛けだ。なら、少し手伝ってくれるか?生憎、レンが買い物で居ないものでね」
「はいよ」
俺は部屋に戻ると、荷物を置いて着替えると、台所へ降りてスパーダを手伝う。
一応、俺も料理はするのだが、悠里やスパーダが食べると
「『なに』と表現したらいいかわからない味」
「料理のような許容し難き何か」
なんて、とても高い評価を(悪い意味で)受け取った。
てか、なぜクトゥルーみたいに言うわけ?
ちなみに、レンは
「カオスな味付けですね」
……ということらしい。
つまりマズいんだろ?
なんでそんな遠回しに言ってるつもりで、人の心を抉るかな?コイツら……
そんな事もありまして、俺は基本的に台所に立たせてもらえない。
まぁ、簡単な手伝いくらいはやらせてもらえるけどな。
「さて……あとはレンが戻れば終わりだが「戻りました」……本当にタイミングがいいな」
絶妙なタイミングで現れたレン。
初めはあまり口を聞いてくれなかったが、もう何年もすると普通に話せる。
……基本的には悠里が優先だけどな。
「マスターは、まだお帰りではないようですね」
「あぁ、恐らくは翠屋だろう。時間はもう間もなくだから、じきに戻るだろう」
「ならば、私は居間で待たせていただきます。今日はスパーダの当番ですから」
そう言ってレンは居間へと引っ込んだ。
レンってクールで何を考えてるかわからんけど、何をするにも悠里が優先だが、でもまぁ、なんやかんやで俺やスパーダの事も心配してくれるからな。
「ただいま……いや~……あそこまで好評だとはな……」
「お帰りなさいませ、マスター」
レン早いな!?
今さっきまでそこに座ってたろ?
瞬間移動でも持ってんのか?
「あ、これみんなにおみやげな。新作の材料が余ったから、作ってきた」
そう言って差し出された箱の中には大福が4つ。
中身はずんだらしい。後で食べるとしよう。
「ありがとう悠里。すまんが、まだ夕食はできていないのでね、レンとテレビでも見て待っていてくれ」
「ん。……じゃあ、そうする」
スパーダに返事をすると、悠里は二階へと上がって行く。
今年で一緒に暮らして3年になるけど、この生活は悪くない。
少なくとも、1人で暮らすよりは楽しいから。
そんなこんなで、今日も一日が終わっていく。
ちなみに夕飯はカレーうどんだった。
スパーダってオリジナルと同じで料理うまいんだよな。最高!!
後書き
今回は日常回でした。
次回からは本編に入ります。
ではまた次回
意見、感想をお待ちしてます
それでは次回でノシ
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