レーヴァティン
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第二十五話 最後の修行その六
「到底、でござるな」
「この世界を救えるか」
そう考えてのことだった、英雄の今の言葉は。
「魔神を倒して」
「下の世界の全てを眠らせて海で覆っている」
「その魔神にな」
「龍といえどもでござるか」
「一つの川を司る存在に過ぎない」
例えどれだけ強かろうともというのだ。
「所詮はな」
「この島、そして世界ではない」
「世界を救う位の力があるなら」
「そうした龍を倒せなくては」
「どうにもならない」
こう正にも譲二にも言うのだった。
「だから川の龍位はな」
「英雄殿がですか」
「お一人で」
「倒す」
こう返した。
「必ずな」
「わかりました」
譲二が応えた。
「それでは」
「その時は任せてくれるか」
「その様に」
英雄に微笑んで言ってだ、円心は以後何も言わず彼と正を案内し続けた。そして遂にだった。
その橋のところに来た、するとすぐにだった。
英雄は天羽々斬の柄に手をかけてこう言った。
「感じる」
「はい、この気配は」
「決して邪なものではないが」
「いるでござるな」
「ではだ」
先程の言葉通りにとだ、英雄は正に応えて前に出た。そして橋を渡ったその彼の周りをだ。
無数の落雷が襲ったが彼はそれを気にも留めず前に進み橋の右から川の中より出て来た緑の身体の巨大な龍を。
振り向くことなく斬り捨てた、一閃して刃から鎌ィ足を出してだ。
両断した、すると龍は瞬時に姿を消した、英雄はそれを見て言った。
「まさか本当にな」
「龍が出て来るとはですか」
「思わなかった」
橋の真ん中でその入り口にいる正に返した。
「実際にとはな」
「鬼と思っていましたか」
「陰陽師が使役しているな」
あの前鬼や後鬼の様なというのだ。
「そうしたものと思っていたが」
「龍でしたね」
「並の者なら終わっていた」
龍に襲われてはというのだ。
「それが例え陰陽術で出したものでもな」
「確かに。並の武士ならば」
「逃げるか腰を抜かしていた」
龍が出すその威圧感、式神の類でもそれが尋常でないレベルで出されていたからだ。
「出ただけでな」
「しかしですね」
「俺は違う」
橋の真ん中にいたまま譲二に答えた。
「こうした奴はだ」
「全くですね」
「何ともない、ではな」
「拙僧達もですね」
「来ることは」
「それでは」
譲二が頷きまず前に出て正もだった。
二人も橋に足を踏み入れ前に進む、二人にもそれぞれ左右から一匹ずつ巨大な龍が川の中から出てだった。
二人にも襲い掛かったがだ、その龍達もまた。
正は刃を迫る龍の額に一閃させ譲二は数珠を持った右の拳を龍に対して突き出しそこから巨大な気の球を放ってだった。それぞれ倒した。すると龍達は今回も霧の様に消えてしまった。
そしてだ、二人も言った。
「拙者達もですな」
「試されましたか」
「龍を倒せるかどうか」
「それ位の強さだと」
「その様だな」
英雄は自分のところに来た二人に応えた。
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