Fate/magic girl-錬鉄の弓兵と魔法少女-
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
A's~STS編
第百六話 魔導師ランクの獲得に向けて
はやても士郎達と共に小学校に通い始め、ゴールデンウィークという長期休暇を昨年の時よりも大人数でにぎやかに過ぎていく穏やかの日々。
そして、ゴールデンウィークが明けた週にグレアムから士郎に正式に通達があった。
それは
「魔導師ランクの習得ですか?」
「ええ、さすがに魔導師ランクがいつまでも未定というわけにもいかないもの」
「といってもかなり変則的なランクの取得の仕方なんだけどね」
リンディとレティの前に紅茶を置き、資料を受け取る士郎。
「私も見ても大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ」
士郎の試験内容に興味津々のようでリンディに確認を取り、士郎との距離を詰め、資料に視線を向けるのはリンディ達よりも先にここ希少技術管理部魔術技術課、通称、魔術技術課の部屋にやってきていたなのはである。
今日はなのはだけだが、この魔術技術課の部屋は最近士郎の知り合いの休息場所になりつつある。
この部屋自体、士郎とリインフォース、グレアムにリーゼ姉妹しかおらず、士郎自身は希少技術の使い手であり、この部屋にいることが多い。
その立場から出動回数も少ないため、未だに翠屋のアルバイトも続けているぐらいである。
少し話がずれたので、資料の内容に戻るとしよう。
資料の内容は試験日と試験内容、試験ランクとその他、試験における注意事項などである。
筆記試験はミッドの常識と法律なので、既に士郎はほぼ抑えている。
試験日は来週。
試験内容は『時間内のターゲットを全破壊及びゴールへ到達』
試験の内容は身体能力と戦闘能力を測るものだが、士郎となのはは二人揃ってが首を傾げる。
「試験ランクが陸戦Bランク戦闘規模AAランクってなってるんですが、この戦闘規模って何ですか?」
「それに士郎君って陸戦なんですか?」
士郎は魔導師ランクの後ろにある戦闘規模なる単語に
なのはは士郎の試験が空戦魔導師のランク取得でない事に
聞かれることを予測していたのだろうリンディとレティも苦笑していた。
「正直、この試験の内容も結構揉めたのよね。
まず、なのはさんの疑問だけど、これは単純に士郎君は飛行魔法を使えないから陸戦になったの。
だけど」
「通常、魔導師の一般常識ではあり得ないんだけど士郎君は空を駆けて空戦魔導師を墜とす事が出来るわ」
「……そうですよね」
レティとリンディの言葉に、嫌な思い出を思い出すように、なのはがどこか遠い目をするが墜とされたことがある側からすれば仕方がないのかもしれない。
なのはだけでなく、フェイトも空戦で士郎に負けている。
それも矢の撃墜でなく、間合いを詰めてからの近接戦闘で
一般的に陸戦魔導師は空戦魔導師より機動性に劣り、室内などの狭い空間ならまだしも空での戦闘となると制空権を取られるので圧倒的に不利になる。
だが士郎の場合、空の力場を使い並の空戦魔導師よりも高機動であり、飛行魔法を使わずに空戦を行う事が出来る。
この事実に試験を陸戦ではなく、空戦で行うべきだという意見が少なからずあった。
飛行魔法は使えないが空戦魔導師並みの空中戦が出来るなら良いのではないかと
しかし、士郎の空中移動能力は力場を蹴る事によるもので空を走っている。
他の空戦魔導師と共に行動が可能かといわれると疑問が残る。
というよりも士郎の技術は空で戦っているだけで技術そのものは陸上戦闘のものというのもある。
本来、空戦魔導師の試験ならば飛行魔法が使えるのが前提なので、こんな意見は出ないのだが、これが原因で陸戦か空戦か揉めたようだ。
そして、戦闘規模というのは
「士郎君の戦闘能力は模擬戦で証明は出来ているようなものなんだけどね。
目的は一対多の不利な状況での戦闘判断能力がメインね」
「だから、これも士郎君の特別な仕組みなの。
本来Aランク以上なら儀式魔法が入ってくるんだけど、士郎君にその適性はないというか特定魔法に特化しすぎているし、魔力量から見てもBランク試験が妥当なんだけど、なのはちゃん自分のランクを覚えてる?」
「え? はい。
空戦AAAランク、フェイトちゃんと一緒です」
リンディ、レティの説明を聞いていたら、いきなり質問を向けられて一瞬固まるもすぐに返答する。
「そうなのよね」
「そこなのよね」
リンディとレティは頭が痛そうにため息混じりにそんな言葉を呟く。
士郎となのは、顔を見合わせて、なぜため息が出るのかわからず首を傾げている。
「空戦AAAランク二人相手にして勝つ陸戦Bランクなんて聞いたことがないし、前例がないのよ。
だけどAランク以上の儀式魔法は出来ない。
それでまた揉めて、結局魔導師ランクはBのままで、試験課題の難易度を上げて戦闘規模を別でランク付けする事にしたのよ」
もはや例外に例外を重ねている状態である。
一般的な魔導師のランク付けとは士郎の特性が掛け離れている証明でもあるのだが
士郎自身、内心では魔導でも異端児扱いなので落ち込んでいるが気を取り直し資料の続きに目をやる。
「実技試験会場は廃棄都市区画。
注意事項は非破壊ターゲットの破壊は減点。
魔術の使用は制限無しだが、非殺傷設定で使用する事。
ん? 非殺傷設定?」
この資料に違和感を覚える士郎。
非殺傷設定は当然だが、ターゲット破壊で改めてそれを注意する点にひっかかったのだ。
「リンディさん、通常陸戦Bランクの戦闘試験系はオートスフィアが相手だったと記憶してますが、今回は違うんですか?」
「やっぱり気がつくわよね。
今回、通常のBランクに使用されるスフィアの数の増加と本局武装局員と地上本部陸戦武装局員、執務官が参加します」
「執務官ということはクロノですか?」
困ったような微笑で士郎の質問に沈黙で答えるリンディ。
「なるほど、道理で最近顔を出さないわけだ。
それだけ魔術に興味があるのか、それとも実力を測りたいのか」
「恐らく両方ね。
士郎君自身わかっていると思うけど、魔術にこちらの評価とは異なるレベルで特化した魔導。
沈黙しているとはいえ警戒は間違いなくされているわ」
リンディの忠告に当然だろうなと僅かに首をすくめて見せる士郎。
「模擬戦のデータも見られていますから、一対一での戦闘能力は把握されている。
故に一対多の戦闘情報が欲しいのが本音ですかね。
無論試験なので流血沙汰は起こす気はありませんが、本気で対応したほうが良いですか?
それとも多少手を抜いたほうが」
「「本気でお願いね」」
士郎がいいですかと訊ねるより先にリンディとレティがはっきりと断言した。
「もうここまで警戒されているなら、徹底的にやってしまいましょう」
「その方がタカ派にも下手な動きをさせないで良いと思うわ」
ここまで来たら徹底的にやって狙わせる事自体が誤りだと思い知らせてやれという事らしい。
「了解しました。
試験予定も問題ありません。
ああ、あとクロノに伝言を。
決死の覚悟で来いと」
「ええ、必ず伝えておきます」
「来週の試験が楽しみね」
楽しいそうにとても悪い笑顔を浮かべる三人。
そして、なのはは
「クロノ君、頑張ってね」
来週の試験で巻き込まれる友人へ祈りを捧げていた。
この士郎の本気によって衛宮士郎の名が管理局に知れ渡る事になるのを、この時はまだ誰も予測していなかった。
後書き
皆様、ご無沙汰しております。
PSP編の削除やら色々ありましたが、A'sからSTS編のオリジナル含めてまたよろしくお願いします。
今回は士郎の魔導師ランク取得話。
地上本部陸戦武装局員は私のオリジナルです。
陸上警備隊のエリート部隊程度に思っていただけると、魔導師ランクは本局武装局員と同レベルです。
次回は試験本番、久々の戦闘シーンになります。
それではまた次回にお会いしましょう。
ではでは
12/2:タイトル変更しました
ページ上へ戻る