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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0183話『西村艦隊の喜び』

 
前書き
更新します。 

 


……なにやら先日の夜あたりから司令官は私、満潮の練度を急に上げだした。
そのおかげで練度は80まで上がったんだけどね……。
その件について私はどうして急に私の練度を上げようと思ったのか理由を聞きに行こうと執務室へと向かっていった。
だけどなにやら執務室の中に複数の気配を感じたので取り込み中かしら……?と思いながらも扉をノックをする。
すると中から司令官の声で『おそらく満潮だと思うけど入っていいよ』とまるで私が来るのを待ちわびていたかのような返事が返ってきた。
それで少し不思議に思いながらも、

「それじゃ入らせてもらうわ」

私はそう言って執務室の中へと入っていった。
するとそこには私以外の西村艦隊のメンバーである扶桑、山城、最上さん、時雨、朝雲、山雲の姿があった。
全員私を見てニッコリと笑った。
な、なに? その含みある笑みは……?

「し、司令官。これはなに……?」
「あぁ。もう満潮以外には伝えたんだけどな」

それで頬をかく司令官。
その顔からは少し疲れが見える。
そこに榛名さんが顔を出してきて、

《満潮さん、先日から急に提督が満潮さんの練度を上げだしたのはもう分かっていますよね?》
「え? ま、まぁそうね……。それで私も不思議に思ってこうして聞きに来たわけだし……」

私がそう返すと、

「ね、みんな。満潮ならこういうだろうと思ったでしょう?」
「当たっていましたね扶桑姉さま」
「確かにね」

扶桑と山城と最上さんがそれで三人して笑顔を浮かべる。
だから、その顔は何なのよ。

「……あの、もっと詳しく説明してくれない?」
「そうよね。満潮姉、気づかない?」
「なにがよ、朝雲?」
「司令が急に練度を上げだしたら近づいてくるものはなーにかなって……」
「満潮姉ぇなら~、分かると思うわ~。だってタイミングよくって言葉も~変だけど~、演習で後少しで朝雲姉ぇが基準の70まで達しようとしている時に、急に演習のシフトを満潮姉ぇを旗艦にしてもう一人を朝雲姉ぇにするくらいなんだから~」

それでうふふふ~と笑う山雲。

「ま、これで気づかない満潮じゃないでしょう……?」

時雨がささやかな微笑みを浮かべながら私にそう言ってくる。
まさかね……。
私は少し考えて司令官へと顔を向けて聞く。

「まさか……また朝潮型の誰かが改二にでもなるっていうの……?」
「ああ。そのまさかだよ、満潮」

そう言って司令官はニヤリと笑う。
そうして語りだす。

「先日の大本営からの定期情報でな。わざわざ西村艦隊の事を言及しながらも今月の終わり頃に駆逐艦の改二改装の情報を提示して来たんだ」
「それって本当なの……? だったらもしかしたら朝雲か山雲って可能性もあるんじゃない……?」

私はわざわざいらぬ期待を持たないようにそう言ったんだけどそこで朝雲と山雲が真剣な表情になって、

「絶対に満潮姉よ!」
「そうよ~。今の今まで耐えてきたんだから絶対満潮姉ぇに決まっているわ~」
「別にそうと決まったわけじゃ……」
「いや、そうだと思うよ。だって……」

そう言って司令官は後ろに飾られている今年の秋刀魚漁での最終報酬である大漁旗を見ながら、

「今年の大漁旗は第八駆逐隊がモチーフになっている。そこには四人の姿が映っているが、一人だけまだ改二姿じゃないけど……きっと満潮が改二になったらこの大漁旗も再度修正されて贈られてくると思うんだ……多分だけどな」

そこには確かに第八駆逐隊の朝潮姉さん、大潮姉さん、荒潮とそして私の姿がプリントされていたけど私だけ初期の服装のままだ。
これだとなんか私だけハブられているみたいで見栄えが悪いわね。
でも、もしもだけど私が改二になったらこの大漁旗も変化するのかしら……?
わざわざ大本営がもう一つ用意しているとは思えないけど……。
でも、もしそうだったらサプライズにも程があるわ。

「……まぁ、それじゃ期待して待っていようかしら?」

私は照れ隠しのように後ろを向いてそう話す。
多分今の私の顔はみんなに見せられないと思うから……。

「ああ。だけど朝雲と山雲の練度も満潮の練度が85から88の間までになったら順次一応は上げていこうとは思っている。だから三人とも、誰が改二になってもいいように練度を上げておこうな」
「わかったわ、司令!」
「了解よ~司令さーん」

司令官の言葉は頼もしいものだった。
私達のために頑張ろうという気持ちが伝わってくるから。
でも、

「司令官? 調子に乗らないでね。私はこんなことじゃまだ喜ばないんだから! きっちり確かな情報が提示されるまで司令官の言葉に踊らされないんだからね!? わかった!?」
「はいはい、分かっているよ」

だけど司令官はどこも痛くも痒くもないという感じなのか余裕の笑みを浮かべてやんわりと私の発言を受け流した。くっ……悔しいわね。

「ひっさしぶりの満潮の照れ隠しだねー」
「この扶桑……満潮の愛らしさで感激で倒れそうだわ」
「あぁ、扶桑姉さま!?」
「満潮も嬉しいようだね。僕も嬉しいよ」
「山雲ー! こうなったら私達も練度を上げるわよ!」
「了解よ~、朝雲姉ぇ~。頑張るわ~」

西村艦隊の面々もどこか浮かれているのかそれぞれ楽しそうだわね。
……まぁ確かに私も嬉しいけどね。

「満潮、頑張って練度を上げていこうな」
「ふ、ふんっ!……まぁ期待しているから司令官も私を失望させないでね?」
「ふふっ。了解だ。みんなも頑張ろうな」
『了解』
「りょ、了解よ……」

私だけ遅れて返事を返す。
なんなのよ! なんでこういう時だけみんなはタイミングをばっちり合わせるのよ!? なんか私が司令官の手のひらで踊らされているみたいじゃない!?
くっ……こうなったら絶対に改二になって司令官を見返してあげるんだから!
私はそう誓いを立てたのであった。


 
 

 
後書き
急に運営から西村艦隊を言及しながらの改二の話で浮かれて頑張って満潮を80まで上げてしまいました。
朝雲は67、山雲は61。
三人とも月末までには十分間に合いますから頑張ります。
それと運営は朝潮型提督が多いのだと思いますね。これでもう五人目になりますから。





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