リリカルなのは~優しき狂王~
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第九話~夢~
前書き
第九話です。
最近タイトルに悩んでいます。
機動六課隊長室
ギアスについての説明を終えたあと、ライはこの世界に来てからのことを説明した。しかし自分の泣き顔を見られてライは初めて味わう気恥かしさで顔を赤くし、少し俯きながら話していた。そしてライの姿を見ていた三人はライが見せた笑顔を見たあとにライのこの可愛らしい仕草を見たために、ライが説明している間悶えそうになるのを堪えていた。
そしてなんとか落ち着いた四人はライの表向きの扱いについて話していた。
ライ「保護観察?」
はやて「せや。ライがまた敵の元に戻らんよう、犯罪者にならんように指導・更生させましょう、ってことや。」
はやての言葉を聞き少し考える素振りを見せたあとライは質問する。
ライ「僕の言葉に重要性…この場合は信用性か、それをつけるために?」
はやて「そう考えた理由は?」
ライ「僕の持つ情報は本物ではあるけれど、僕のことを上層部が不審に思っている。もしくは信用はしていても僕の立場的な問題で鵜呑みにはできない。…こんなところかな?」
はやて「頭の回転が速くて助かるわ。ライの考えは半分正解。」
ライの返答に笑顔で返すはやて。
ライ「半分?」
はやて「ライに協力してもらうには、うちらが君の面倒を見る方が手間も少なくて早かったんや。それに君の経歴はあまり公にはできんと判断したからなんよ。」
ライ「?」
はやて「ライのいた世界の技術、ナイトメアフレームや兵器関連の情報はむやみに明かされていいモノとちゃう。だからあれはあくまで犯罪者である敵の技術として扱った方が無用な混乱がおきんと判断したんよ。」
ライ「犯罪者が作り使用した技術なら封印しやすいと?」
はやて「そういうことや。だからライの本当の経歴を知ってるのは今のところここにいる三人だけや。」
このことを聞いてライは安堵していた。自分の持つKMFの情報を管理局に引き渡さなくて良くなったからだ。しかし、疑問があったためライは質問する。
ライ「上の人間がそれで納得しますか?それに昨日僕が指示を出した四人は?」
はやて「上にはライのことを『事件に巻き込まれた一般人で次元漂流者。機動六課の隊長と同じ出身世界。』って報告する。まぁ、それでも疑う人間がいるから保護観察になるんやけど。それと昨日の四人には時期を考えて話すつもりや。それまでは『ライはたまたまKMFのデータを見る機会があってそのせいで事件に巻き込まれた』っちゅうことにしとく。」
ライ「彼らに事情を説明する時は全て僕が話す。だから……少し待っていて欲しい。」
はやて「…分かった。」
ライの雰囲気からはやてはまだライが何かを隠していることを察するが追求はしないでおいた。
ライ「これからの僕の経歴は?」
はやて「それはもう考えてあるよ。私の出身世界がライのいた世界と酷似してるからその世界出身の誰かの遠縁にするのが好ましいんやけど…」
表向き、隊員の中に知り合いがいればライを六課で引き取る理由ができる。その為はやてはある人にライの遠縁役を頼むつもりでいた。
はやて「これからここに来る人に頼むつもりや。」
ライ「その人は僕のことをどこまで?」
はやて「その娘が知っとるのはライが平行世界から来たこと、もう元の世界には帰れんこと、この事件に巻き込まれたこと、あとはライの判断で話したって。」
はやてがそう言うとちょうど部屋の扉をノックして二人の人物が入ってきた。
なのは・リイン「失礼します。」
はやて「ああっ、待っとったよ。」
ライ(この人か…)
前日の事件が終了したあとライは一度なのはと会っていた。その時はお礼を言われた後すぐに別れてしまったのでライはなのはの名前すら知らない。というのもなのはがライの顔を見た瞬間医務室での会話を思い出し逃げただけなのだ。
はやて「紹介するね。といっても顔見知りもおるかもしれんけど。まずはスターズ分隊の隊長兼戦技教導官の高町なのは一等空尉。」
なのは「こんにちは。高町なのはです。」
ライ「よろしく。ライ・ランペルージです。」
なのはがお辞儀をしてきたのでライもお辞儀で挨拶を返した。
はやて「ちなみに君を狙撃したんは彼女や。」
ライ「えっ…」
なのは「あははっ…。あの時はごめんね。」
ライ「いや、あれは元々僕が悪かったから謝る必要は…」
なのは「そう言って貰えると助かるけど、非武装のライ君を撃ってしまった事に変わりはないからちゃんと謝るね。」
そう言うともう一度頭を下げるなのは。ライはなのはの髪の色と今の言葉から「スザクに似ている人だな。」と思っていた。
リインフォース「リインフォース・ツヴァイです。階級は曹長です。先日の作戦ではお世話になりましたです。」
はやて「彼女にはこれからライに魔法の基礎を教えてもらうつもりや。リーン、ライのこと頼むな。」
リインフォース「了解です。これからよろしくなのです。」
ライ「………妖精?」
事件の時に通信は映像があっても顔のアップのみだったためライはリインフォースの姿を初めて見たのだ。なのでライはアギトの時と同じ反応をしていた。
リインフォース「……」
ライ(しまった、反射的に。アギトの時みたいに怒らせたか?)
リインフォース「そんな妖精だなんて恥ずかしいです~~~!」
ライ(……彼女はアギトとは違うようだ。)
リインフォースが恥ずかしがっている姿を眺めながらそう思うライであった。
その横でははやてがライの遠縁としての扱いの説明をなのはに行い了承をもらっていた。
はやて「ライには魔法が使えるようになり次第訓練に参加してもらうつもりや。これから何かあればここにいる五人を頼ればいい。私からは以上や。これからがんばってな。」
ライ「わかった。」
なのは「そういえばライ君の保有魔力ってどのくらいなの?」
なのはの質問にシャマルが答える。
シャマル「昨日測った時点ではAランクだったわ。」
なのははシャマルの答えを聞いて早速ライの訓練メニューを考え始める。
フェイト「はやて、デバイスはどうする?」
はやて「シャーリーに頼んであるから作ってもらえるやろ。」
その会話を聞いていたライは口を挟んだ。
ライ「デバイスの開発には僕も参加してもいいかな?」
はやて「え?」
ライ「これでも機械には強い。だから自分のデバイスの面倒は自分で見られるようになりたい。」
はやて「わかった。じゃあ担当の子にそう言っとくわ。」
はやては早速シャーリーに連絡をとっていた。
ライがこう頼むのには理由があった。ルルーシュが仕込んでいたデータチップの中身を一度確認していたライはそのデータをデバイスのシステムに組み込めないかと考えたのだ。
そして話は全て終わり。この日の話し合いは終了した。
その日の夜、フェイトとはやては夢を見る。
目の前に広がるのは広くて美しい学園の風景。あたりは赤く染まっているため時刻は夕方なのであろう。そんな風景の中に目を引く女性がいた。彼女の髪は綺麗な緑で腰に届くほどの長髪を首の後ろで白のリボンで束ね、服装はこの学園の制服らしき物を着ていた。しかし彼女は服装とは違い、その雰囲気は少女というよりも女性らしい。
その女性はどこか悲しい表情をして正門に立っていた。これから来る誰かを待つように。
少しするとその女性、C.C.は学園の校舎から姿をみせたライに声をかける。
C.C.『挨拶はすませてきたか?』
ライ『ああ。』
C.C.『そうか。もう未練はないのだな。』
C.C.は悲しげな表情でライに言葉をかける。
ライ『未練はある。だから、未練はない。』
この言葉を聞いたフェイトとはやては何故か胸に痛みを覚えた。
C.C.『意味がわからないぞ。』
ライ『簡単な話だ。』
ライは微笑みながら自分の決意の言葉を紡いでいく。
ライ『ここや騎士団ですごす日々を僕は失いたくない。
だから、この日々を失わせる僕は、ここにいるべきじゃない。
それがわかったから、僕はここを自分の意志で出て行ける。
ここに残ることに未練はない。』
C.C.『……それを未練という気もするがな。本当に行ってしまうのか?』
ライは迷わずに頷く。
この光景を前にはやてはかつて自らの主のために空に還っていった家族を思い出していた。
場面が変わり、今度は古い遺跡が映りだされる。
その遺跡の中にあるサークルにライが立っている。そしてそのサークルから少し離れたところに幼い男の子が立っている。金髪を足元まで伸ばしどこか威厳のある男の子であった。
男の子がライに話しかける。
???『その中央で君の願いを言うんだ。そうすれば願いが叶う。』
フェイトは「願い」という言葉に反応する。かつての自分の母が求めていたもの。それを手にしたライは何を望むのか気になった。そしてライは願いを口にする。
ライ『みんなが僕を忘れますように』
フェイト・はやて「「!!」」
その願いはどこまでも他人を思い、そして自分を傷つける願いだった。
自分が誰かを想うことはあっても誰かに想われることがない。
自分が覚えていても誰も自分を覚えていない。
そんな悲しい世界を願う理由が自分の大切な人々を傷つけないため。
このことを知った二人はライの覚悟に驚き、悲しみ、涙を流す。そして二人は想う。「彼を一人ぼっちにはさせない」と。悲しくてどこまでも優しい彼に残酷な決意をさせないために。
そして夢は覚めてゆく。
後書き
ライの待遇や扱いに違和感がありまくりですね(--;)
自分は裏設定とか細かい設定を付けるのが割と好きです。でも自分の文才がないためにそれを上手く表現できる文章を作れないのが悔しいです。orz
次回はやっと模擬戦に入れます。
感想版にありましたリクエストで、「Fate風のステータス情報」というのがありましたので作っています。
ご意見・ご感想をお待ちしております。
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