恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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801部分:第六十五話 孔明、姉と再会するのことその四
第六十五話 孔明、姉と再会するのことその四
「けれど。姉妹か」
「やはりいいものだな」
「全くだ。涙が出て来たぞ」
「むっ、御主は誰じゃ?」
黄蓋は涙ぐみ目尻を己の指で拭く公孫賛に声をかけた。
「見慣れぬ顔じゃが」
「そうか。揚州の者なら知らなくて当然だな」
公孫賛は顔を戻してこう黄蓋に返した。
「私は公孫賛だ。白馬長史と呼ばれている」
「白馬長史?」
「そうか、知っているか」
「いや、知らぬ」
はっきりと答える黄蓋だった。
「だから問うておるのじゃ」
「な、何故知らない?幽州の牧だった私を」
「幽州の牧なら袁紹殿であろう」
ここでもいつものやり取りであった。
「あの御仁がなるまであの州には牧はおらんかった」
「くっ、私は揚州でも無名だったのか」
「見たところ相当影の薄い御仁の様じゃが」
それは黄蓋にもわかることだった。
「頑張る様にな。人生色々とあるぞ」
「うう、私はこの世界では有名になれないのか」
「そうは言っても日々の方でも何かないがしろになってきていないか?」
容赦のない突込みを入れたのは関羽だった。
「私もあの世界のことは少しわかるような気がするが」
「否定できないぞ。今度は電車突き落としか」
「あれだけだったな」
「私の持ちネタはどうなるんだ。弟だけか」
こんな話を嘆きながらする公孫賛であった。そしてその間にであった。
孔明と諸葛勤は感動の再会を堪能していた。それは謁見の間で終わらずにだ。
使者を招待する宴の場においてだ。姉妹並んで仲良く話をするのだった。
「私達元々はこの州の生まれで」
「幼い頃は三人一緒だったんですよ」
こんなことをだ。周りに話すのだった。
「それが私達はそれぞれの主や先生のところに向かって」
「今に至るんです」
「そういえば朱里ちゃんのところって」
鳳統が言う。彼女も宴の場にいるのだ。
「三人姉妹だったよね」
「うん、そうなの」
孔明がその問いに答えた。
「実はね」
「私が長女で朱里が次女でね」
諸葛勤も話をする。
「それで黄里が末っ子でね」
「その人が三女さんですね」
「ええ、そうなの」
諸葛勤も鳳統に話す。
「あの娘は確か曹操殿のところにね」
「仕官するみたいですね」
「三人共別々ね」
「そうね」
姉妹でも話すのだった。
「生まれは同じだけれど」
「今はそうなっちゃったね」
「けれど今こうして会えるのは」
「やっぱり嬉しいし」
「わかります」
月がその二人を見て微笑む。
「私も今は兄さんとは一緒ですが」
「そうだな。だが楓はな」
「曹操殿のところにでしたね」
「その様だな」
その兄の守矢と話すのだった。
「この世界でも私達はな」
「別れ別れですね」
「何で弟さんは曹操のところにいるのだ?」
張飛はそのことがわからずだ。いぶかしんで言うのだった。
「それがわからないのだ」
「そこは色々とありまして」
「それでだ」
二人がこう張飛に話す。
「また縁があれば」
「会うと思うが」
「あっ、そういえばだけれどな」
馬超がここであることに気付いた。それは。
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