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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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800部分:第六十五話 孔明、姉と再会するのことその三


第六十五話 孔明、姉と再会するのことその三

「我が主孫策から。そう伝えてくれとのことじゃ」
「有り難うございます」
 劉備も笑顔で黄蓋、そして彼女の主の孫策に応える。
「御礼を述べさせてもらいます」
「うむ。わしが伝えるのはそれだけじゃ」
 とりあえず仕事は終わったというのであった。しかし話はこれで終わりではなかった。
「さて、それでじゃ」
「それで?」
「孔明殿に用がある者がおってのう」
 こうだ。孔明を見ながら話すのであった。
「少しな」
「私にですか?」
「ここに呼んでいいかのう」
 黄蓋は孔明にこうも言った。
「御主さえよければじゃ」
「誰なんでしょうか」
 孔明は黄蓋の言葉の中身がわからず首を捻った。
「揚州の方なら」
「察しがつくか?」
「ふむ、そうか」
 ここで言ったのは厳顔であった。
「そういうことじゃな」
「おっと厳顔殿今は言わないでくれるな」
 黄蓋は微笑んで彼女に釘を刺した。
「それはな」
「うむ、わかっておるぞ」
 厳顔も含んだ笑顔で彼女に返した。
「それではな」
「そうしてくれ」
「揚州の方となると」
 孔明もだ。考えながら述べた。
「となると」
「おっと、察するのは止めた方がいい」
 孔明が答えに辿り着くと読んでだ。それは止めた。
「その前に呼ぶとするか」
「ええっ、今すぐにですか」
「そうじゃ。さあ入るがいい」
 黄蓋は部屋の入り口に顔を向けてその者に声をかけた。
「もう遠慮はいらんぞ」
「わかりました、それでは」
 その言葉に従いだ。入って来た者は。
 孔明はその彼女の顔を見てだ。飛び上がらんばかりに驚いたのだった。
「御姉ちゃん!?」
「朱里!」
 諸葛勤だった。彼女は孔明の方に駆けてだ。その小さな身体を抱き締めたのだった。
 そしてだ。驚いている妹に対してこう言うのであった。
「会いたかったわよ、ずっとね」
「揚州で孫策様にお仕えしてるのは聞いてたけれど」
「この前は会えなかったからね」
「けれど。まさかここで」
「会えるなんて思わなかったでしょ」
「ええ、とても」
 その考えに至る前にだ。相手が出て来たのである。
「それでも。会えて」
「嬉しい?」
「嬉しくない筈ないよ」
 孔明の顔がだ。次第に驚きのものから喜びのものになってきていた。
 そして姉を抱き締め返しながらだ。こう言うのだった。
「御姉ちゃんも元気よね」
「ええ、とてもね」
「よかった、また会えて」
「そうね、本当にね」
「あわわ、こうなるなんて」
 鳳統はだ。今の事態に慌てふためいていた。彼女にとっても思わぬ事態なのだ。
「感動の姉妹の再会ですか」
「そうじゃ。こうしたことはいきなりの方がよいのじゃ」
 満面に笑みを浮かべて言う黄蓋であった。
「奇襲は大成功じゃな」
「成功し過ぎて壊滅したのだ」
 張飛もこれには唖然となっている。
「朱里に御姉ちゃんがいるのは知っていたのだ。それでもなのだ」
「まさかここで会うなんてな」
「予想外にも程がある」
 馬超も趙雲もこれには驚きを隠せない。
 
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