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鋼の錬金術師 貴方を守りたい――12人の巫女と1人の神――

作者:猫丸
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第三章 過去そして未来

独り寂しく、結晶で出来た森の中を走っていたエド。しばらく何処からか射してくる光を結晶を通して光っている薄暗い道を進んでいると、少し前までは当たり前の光景だったとある少女の後ろ姿が見えてきた……エドはその少女に向かって
エド「シレーナ!無事だったんだな!!」
と言う。エドはゆっくりシレーナに近づく・・・シレーナが振り返るとなんと・・・・・・
エド「シレーナ・・・お前・・・どうしたんだそのケガ?!」
シレーナは頭から血を流し、右腕につけていた機械鎧はなくなっていた。そしてそこから、大量の血がドボドボッ出ていた・・・。
シレーナ「・・・エ・・・ド・・・。」
と言いながらシレーナはゆっくり近づいてくる・・・。エドはそんなシレーナをただただ見るていることしかできなかった。
シレーナ「・・・エ・・・ド・・・エ・・・ド・・・聞・・・い・・・て・・・」
エドの1mくらい離れたところで止まった。そして、シレーナは自分の過去を語り始めた・・・・・・


過去(ある日の家の風景)

シレーナ「私……は……小さな……村で……生……まれ……育った……お……父……さんと……お……母……さん……は……有名……な……錬金……術師……で……小さい……ころ……から……たくさん……錬金……術師……に……なる……ため……の……勉強……を……させ……られた…………

幼シレーナ「お父さん、お母さん、見てみて!!錬金術で、パンダの置物を作ってみたの!!」
父「おお、シレーナ!!すごいじゃないか!」
母「ほんと、すごいわ!シレーナ!今日は、特別にあなたの好きなものを作ってあげましょう♪」
シレーナ「本当?!やった!!」

私が……錬金……術……で……作った……物……を……見……せる……と……お……父……さん……と……お……母……さん……は……いつも……喜んで……くれ……た……私……それが……嬉し……くて……い……つも……たく……さん……勉強……した…………

過去(ある日の散歩風景)

悪ガキ「あっ、家女だ!!今日はどこに行くんだ、窓女!!」

私……が……いつも……家……に……閉じ……こも……って……錬金……術……の……勉強……ばかり……して……いた……から……村の……人……たち……から……は……すごく……嫌……われて……いたの……それに……同じ……歳……くらい……の……子供……たち……から……は……ずっと……家……に……いて……窓……から……外……を見て……いた……から……窓女……と……言われ……てい……て……大人……たち……から……は……魔法……みたい……な……錬金……術……を……使え……る……から……魔女の子……って……言われて……た…………

幼シレーナ「・・・・・・・・・・・」
大人「いやぁ~ね。見てくださいよ、リブスさん家のお子さんが外に出てますよ1。」
大人2「本当ですね。まったく、汚い菌をこっちに移さないで欲しいね、魔女の子が・・・。」
大人1「本当ですよねぇ~。」
幼シレーナ「・・・うっ・・・。」
『タタタタタタッ』
悪ガキ「あっ、家女が逃げたぞ!!ははっ、そのまま森の化け物に食われちまえ!!」

す……ごく……つら……い……けど……でも……私……には……お……父……さん……と……お……母……さん……が……いて……くれ……る……から……大……丈夫……って……その……時……の……私……は……思……い……こん……で……いた……のに……あれ……から……たった……3年……で……すべて……が……壊……れて……しまう……の……に…………

【今】

シレーナが過去を話してる最中でも、シレーナの体は『ピシッピシッ』と音を立てながら皮膚が切れていく。シレーナの心が今まさに壊れ始めているのだろう。シレーナは、そんな痛みをこらえながらまだ過去のことを話し続ける…………



シレーナの過去(喧嘩)

シレーナ「あれ……から……3年後……私……が……10歳……に……なった……頃……から……家族……の……絆……が……脆く……も……崩れ……よう……と……して……いた…………

父「なぁ、シレーナにはやっぱり友達を作らせてあげたほうがいい。でも、この村じゃ友達は作れないだろうし、だから村を出よう!」
母「何言ってるの?!友達なんて人必要無いわよ!!人なんて、いつかは裏切るんだら友達なんていらないわ!!あの子は、勉強だけしてればいいのよ!!」
父「どうしたんだ?最近のお前はなんか変だそ?勉強、勉強って・・・昔は村のみんなと、仲良くしたいって言ってたじゃないか?!」
母「そんなの昔の話よ!!人は絶対裏切る・・・貴方だって本当は、もう私を裏切ってるんじゃないの?!」
父「何を言ってる。そんなわけないだろう?」
母「ウソ嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘・・・!!」
父「おい、落ち着け!!」

過去(捨てられた)

お……父……さん……と……お……母……さん……は……私……の……こと……で……毎晩……毎晩……ケンカ……して……た……ある……日……お……母……さん……と……デパート……の……屋上……に……ある……遊園地……に……遊び……に……行って……ジュース……を……飲ん……でる……とき……お……母……さん……が…………

母「ねぇ、シレーナ。」
幼いシレーナ「なに?お母さん?」
母「もし、お父さんとお母さんが別々に暮らすことになったら、シレーナはどっちと暮らしたい?」
幼シレーナ「・・・・・・」

私……は……今……の……お……母……さん……は……大……嫌い……だった……から…………

幼シレーナ「・・・お父さん・・・。」
母「・・・そう・・・シレーナもお母さんを裏切るのね・・・。」

それ……から……一週……間後……お……母……さん……は……突然……家……を……出って……行った…………村の……人……たち……の……陰口……は……さら……に……ひどく……なった……けど……私……と……お……父……さん……は……それ……なり……に……楽しく……暮ら……して……いた…………

過去(楽しい親子の風景)

……ある……日……お……父……さん……が…………

父「なぁ、シレーナ。旅行に出かけないか?」
幼シレーナ「旅行?行きたい!!あっ、でもお金は??」
父「大丈夫だ、お父さんの親せきのうちに遊びに行くだけだから、その親戚の人が払ってくれるんだよ・・・あっ!」
幼シレーナ「ああ!お父さん今親せきの家に、遊びに行くだけって言った~。もう、旅行じゃないじゃん、ぷ~。」
父「ごめんごめん、でも遠くに行くから少しは旅行っぽくなるよ。」
幼シレーナ「本当?」
父「ああ、本当だとも。」
幼シレーナ「分かった。準備してくるね♪」

今……思え……ば……あの……時の……私……は……幼すぎ……たんだと……思う……お……父……さん……に……行き……先……を……聞い……て……いない……し……それに……お……父……さん……は……私……の……荷物……だけ……用意……して……自分……の……荷物……は……用意……して……な……かったのに…………

過去(別れ)

……それ……から……何日……か……経って……やっと……シン……国……に……ある……親せき……の……家……に……つい……て…………

幼シレーナ「大きなお家だね、お父さん。」
父「あっ、ああそうだな・・・」
幼シレーナ(なんか、今日のお父さん変だな~。)
『ガチャ』
親せき「おおよく来たな!」
父「お久しぶりです。」
幼シレーナ「こっこんにちは・・・。」
親せき「おお、大きくなったねぇ~シレーナちゃん・・・。」
幼シレーナ「はっはい!」
父「・・・・・・よろしくお願いします・・・。」
親せき「ああ、シレーナちゃんのことはワシに任せなさい・・・。」
幼シレーナ「えっ?任せるって?ねぇ、何話してるの?お父さん・・・」
父「さようなら、シレーナ!!」

お……父……さん……は……そう……言って……私……の……もと……から……去って……行った……村の人……たち……や……お……母……さん……みたい……に…………

幼シレーナ「お父さん!!お父さん!!捨てないでよ!!私を一人にしないでよ!!お父さん!!」
親せき「シレーナちゃん、行っちゃだめだ!!」
幼シレーナ「お父さん!!お父さん!!」
父(すまない・・・すまない・・・シレーナ・・・)

私……は……親せき……の……家……に……捨て……られた……信じ……てた……お……母……さん……に……捨て……られ……た……信じ……てた……お……父……さん……に……捨て……られ……た…………心……の……中……に……ぽっかり……と……穴……が……開……いた……よう……だった…………



過去(会いたい)

あの……日……から……三年……たった……ある……秋の・……こと……私……は……錬丹術……を……マスター……して……イシュヴァール……に……いる……お……父……さん……に……会い……に……行っ……た…………

【今】

シレーナがよくわからないことを言ったので、エドが聞き返した。
エド「イシュヴァールに、会いに行ったってどういう事だ?!」
シレーナは前髪で隠れていた右目を見えるように前髪をどけた。なんとそこには、イシュヴァール人特有の赤い目があった。
エド「シレーナ・・・、まさか、おまえ・・・。」
エドは目の前にいるシレーナを見て思わず後ずさりをしてしまった。
シレーナ「私・・・の・・・お・・・母・・・さん・・・は・・・アメストリス・・・人・・・お・・・父・・・さん・・・は・・・イシュヴァール・・・人・・・」
とシレーナは静かに言った。
エド「シレーナ・・・・・・。」
そしてまた、シレーナは自分の過去のことを語り始めた・・・。

過去(悲しみの再開)

イシュヴァール……に……行く……と……小さい……頃……見た……光景……は……全然……なかった…………そこは……大きな……戦争……が……通り……すぎ……去った……後だった…………

シレーナ「お父さん!!お父さんどこ?!返事して!!」

砂漠……を……探……し……回って……やっ……と……見つ……けた……お……父……さん……の……死……体…………

シレーナ「お父さんっ、うっわわわ~ん、お父さーんー」

【今】
シレーナ「私・・・は・・・お・・・父・・・さん・・・に・・・また・・・会・・・い・・・たく・・・て・・・また・・・笑い・・・ながら・・・楽し・・・く・・・暮ら・・・し・・・たくて・・・・・・」
シレーナは、泣きながら言う。そして
シレーナ「13歳の・・・秋・・・人体錬成・・・をした・・・。」
と言った。
エド「くっ」

過去(人体錬成)

幼シレーナ「お父さん、これでまた会えるよ。」

錬成陣……を……発動……させる……と……大きな……目玉……みたい……なの……が……出て……きて……その……目玉……に……吸い……込ま……れる……ような……感覚……が……した…………気が……つく……と……そこ……には…………

???「ガウッグチャッバクッバクッウグッ」
幼シレーナ「なっ、なにあれ・・・?」

見……た……こと……の……無い……バケモノ……が……お……父……さん……の……死体……を……食べて…………

シレーナ「やめて、お父さんを食べないで!!痛っ、なに?え?うっわわわわぁぁぁぁぁ!!」

痛み……を……感じ……て……右腕……を……見て……みる……と……右腕……が……無く……なって……いた…………

幼シレーナ「無いっ、私の腕が無いっ!!」

【今】
シレーナ「こ・・・れ・・・が・・・そ・・・の・・・と・・・き・・・の・・・す・・・が・・・た・・・」
もう言葉を話すことでさえできなくなってきた。シレーナはそれでもエドに伝えようとする…………



 
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