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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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794部分:第六十四話 公孫賛、誰からも忘れられていたのことその九


第六十四話 公孫賛、誰からも忘れられていたのことその九

「何という方かは」
「知らないんだよな」
「前に会った気がするな」
「そういえばそうだな」
 二階堂と大門は今度はこんなことを話した。
「何処だった?それで」
「思い出せん」
「そうですよね。かなり影の薄い人で」
「どうしても思い出せないわ」
 真吾と香澄もであった。とにかく彼女の存在はここでも同じだった。
 しかしだ。孔明と鳳統はだ。笑顔で劉備に話していた。
「公孫賛さんは武も文もされます」
「派手さはありませんが堅実です」
 こう劉備に話す。二人は今は執務用の机に座っている劉備に対して話している。劉備はその手に筆を持って木簡に書いている。
 そうしながらだ。二人の話を聞くのだった。
「立派な方です」
「安定感は抜群です」
「けれどどうしてなのかしら」
 首を傾げさせてだ。こう話す劉備だった。
「白々ちゃんって皆目立たないっていうけれど」
「ですから白蓮さんですよ」
「真名は」
 軍師二人も突っ込むことだった。
「間違えられると」
「幾ら何でも」
「けれど。何となくわかります」
「公孫賛さんのことは」
 軍師二人は劉備に述べてから公孫賛についてまた話した。
「あの人は。何でも問題なくこなされます」
「安定してです」
「ですがそれがあまりに安定していますので」
「結果として目立たないんです」
「何でも安定してこなすからなの?」
 劉備は二人の話にきょとんとした顔になって返す。
「それでなの」
「はい、それでです」
「そのせいでかえってなんです」
 これが軍師二人の見たところだった。
「あの方を目立たなくさせています」
「そうしているんです」
「多分。桃香さんと一緒にいらした時もそうだったかと」
「何でもそつなく安定してこなされるので」
「あっ、そういえば」
 二人の話でだ。劉備も思い出した。
「白々ちゃんって塾でも成績はよかったけれど」
「どんなものでもまんべんなくですね」
「けれどトップクラスにはなれませんでしたね」
「ええ、そうだったわ」
 このことを思い出してだ。孔明と鳳統に話した。
「そういえばね」
「それがかえって目立たないんです」
「そうなってしまうんです」
「その辺り難しいのね」
 劉備は眉を顰めさせて述べた。
「とても」
「あとは運命の星です」
「それも関係あります」
「運命?」
「目立てる人と目立てない人がいます」
「そうした人もいます」
 孔明と鳳統はまた話す。
「目立てる人は何をやっても目立てますけれど」
「目立てない人は本当に何をしても」
「じゃあ白々ちゃんは」
 ここでまた真名を間違える劉備だった。
「そういう運命の下にあるのかしら」
「絶対にそうだと思います」
「確かめてはいませんけれど」
 それでもだ。おおよそわかるというのだった。それは普段の彼女を見ればわかることだった。とにかく何をしても目立たないのである。
 ただしだ。二人は劉備にこんなことも話した。
「ただ。桃香様はそれでも」
「ずっと公孫賛さんのことは覚えておられているんですね」
「だって。友達だから」
 にこりと笑って答える劉備だった。
 
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