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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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791部分:第六十四話 公孫賛、誰からも忘れられていたのことその六


第六十四話 公孫賛、誰からも忘れられていたのことその六

 公孫賛はだ。司馬慰に追い出されだ。仕方なく洛陽を出てだ。
 何処かに向かおうとしていた。だが、だった。
「困ったな。どうしようか」
 都に行ってもどうにもならなかった。それで、であった。
 正直行く先に困ってしまっていた。白馬に乗って何処かに行こうとするがだ。
 何処に行こうか決めかねてだ。困惑していたのだ。
 それでも前に出ようとする。しかしここで、であった。
「待つのだ、そこの者!」
「むっ!?」
 声がした方に顔を向ける。するとそこには。
 洛陽の城壁の上にだ。仮面を着けた白衣の女が立っていたのだった。公孫賛はその彼女の姿を見てだ。顔を顰めさせながらこう言った。
「御前、趙雲だな」
「違う!」
 それは否定する美女だった。
「私はだ」
「何だというんだ、それで」
「愛と正義の戦士華蝶仮面!」
 それだというのである。
「それが私の名だ!」
「ああ、わかった」
 一応それは聞く公孫賛だった。呆れながらだ。
「そういうことか」
「そうだ。そして御主」
「公孫賛だが。知っているな」
「安心しろ、知っている」
 こう返すその美女だった。城壁の上でだ。両手を腰にやってそのうえで立ってその姿で公孫賛に対して告げているのである。槍はその背にある。
「それはだ」
「そうか。それは何よりだ」
 名前を知ってもらっていると聞いてほっとする公孫賛だった。しかしだ。
 ここでだ。美女はわざとこう言った。
「公孫白だな」
「御前、わざと間違えているだろう」
「気のせいだ」
 こう返すのだった。
「それはない」
「本当か?」
「そうだ。そして御主行き先に困っているな」
 話は本題に入った。
「そうだな」
「そうだ。一体どうしたものか」
「言っておくが袁紹殿や曹操殿だけではないぞ」
 美女の言葉は釘を刺すものになっていた。
「孫策殿や袁術殿もだ」
「まさか私のことを知らないのか」
「その通りだ。全く知らない」
 そう話すのであった。
「御主のことはな」
「だからどうして誰も私のことを知らないのだ」
 それがだ。公孫賛にはたまらなく嫌だった。顔にその苦悩が出ている。
「私はこれでもいつも頑張っているのだぞ」
「それは仕方ないとしてだ」
「おい、仕方ないのか」
「そうだ。だが御主に行く先が一つだけある」
「董卓殿か?」
 もう一人の群雄の名前がここで出た。
「あの御仁のことはよく知らないのだが」
「違う、御主はあちらでも知られていない」
 ここでも駄目出しであった。
「全くだ」
「全くなのか」
「そうだ。だからあちらにも行かない方がいい」
「ではあそこか」
 董卓も駄目となるとだ。公孫賛にもわかったのだった。
「桃香のところか。徐州の牧になったのだったな」
「その通りだ。そこに行くといい」
「ううむ、そうか」
「そうだ。それでどうだ?」
「わかった。桃香ならばな」
 公孫賛はようやく笑顔になって述べた。
 
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