奇妙な暗殺教室
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反省の時間
前書き
月一投稿に落ち着いているけど、ほぼ毎日投稿している人の凄さをこの小説を書きながら真摯に感じる今日この頃
撮影会場を抜け出した後、殺せんせーは三班のいる清水寺にマッハで飛び立った。まぁ俺達のやるべき仕事も終わり、時刻もちょうど昼頃だったので、俺達は映画村の喫茶店で軽食を食べていた。
「しっかし…結局殺せんせー一発も当てられなかったね」
「あぁ…良いところまで追い詰めたと思うんだけどな」
そう言い不破と三村はタマゴサンドを頬張りながら悔しい気持ちを零す
「まぁ確かに悔しいが気長にやるしかないだろ…今回みたいな搦め手が有効なのが実証できただけでも良しとしよう。」
「それもそうね…まだチャンスはある」
「まぁそうなんだけど…普段の暗殺であそこまで追い詰める事なんてほぼないからちょっと凹むよねぇ〜」
中村達も渾身の手応えがあった作戦で殺せなかった事に凹んでいる。
「やれやれ…まぁ最初から出来るとは思ってねぇ…千葉の言う通り貴重なデータが取れたんだ。もっと殺せんせーの弱点を知り『忍者パフェをご注文のお客様!こちらをどうぞ!』あ、どうも」
そう言いバケツの様な容器に入れられた…ボリュームもインパクトも特大でデラックスなパフェが丈一郎の前に現れスプーンで『忍者パフェ』を頬張る
「中々美味いな。……ん?どうした?得体の知れない奇妙な現象を間近で見てしまった時みたいな神妙な顔してるぞ?」
「「「「いや、その通りなんですけど!」」」」
いや、そんなに驚く事なのか?俺が忍者パフェを食うのはそんなに信じられないのか?あと、中村テメーはゲラゲラと腹を抱えて笑ってるがそんなに面白いのか?
「あ…ありのまま 今起こった事を話すわ!私達は今まで行った暗殺作戦の中でも最高の手応えを感じたけれども失敗に終わりナイーブな気持ちになっていたのだけれども、ジョジョの目の前に特大の置かれて彼はそのパフェをばくばくと食べ始めたの…な、何を言っているのかわからないと思うけど、私もなんでそんな状況になったのかわからなかった… 頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超能力だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてないわ…もっと恐ろしいものの片鱗を味わった気がする」
「不破…どうでも良いが前置きが長くないか?」
不破はわけのわからない状態に陥り目の前の現実を理解できない呆然とした状態となっていた。…そんなに衝撃的なのか?この忍者パフェ
「つか、そのデラックスなパフェは!?明らかに3.4人前はあるよな!」
「プロレスラーの真壁◯義さん並みのスウィーツのバカぐいはジョジョには致命的に似合わないな」
こいつら失礼な奴らだな…別に良いじゃあねーかよ俺がデラックスなパフェを食ってもよ…しかも、中村に至っては払いすぎて死にそうだ…
「ジョジョ止めて!中村さんのライフはもうゼロよ!」
「不破…そう思うのなら止めてやれよ…大丈夫か?中村」
そう言い俺は中村の背中をさする。少しの間背中をさすっていると落ち着いて来たのか笑いすぎてヒィヒィ言っていた呼吸が落ち着いて来た。
「はぁ……はぁ……ありがとジョジョ…でも、マジで最高」
「そりゃあ良かった……知り合いが笑い死にとか、シャレにならないが問題ないな」
この世界にはマジで笑い死んだ奴がいるんだからな……そう言えば師匠も俺の地獄の修行見てゲラゲラ笑って過呼吸になって死にかけてたな…地獄を提供される俺はコッチはたまったもんじゃあなかったけどな
「しっかしそんなに意外か?…昔からこういうドカ盛りのメニューに対して目がなくてな、旅行に行った際なんかはこういうドカ盛りメニューを必ず食べる様にしている」
普段は健康的でヘルシーな精進料理とかにくみたいな大豆製品とかで坊さんみたいな食生活なんだ…旅行の時ぐらいやけ食いしても問題ないだろ
「烏間先生も三日月まで吹っ飛ぶこの衝撃の出来事を前に流石に度肝を抜かれたわね」
「あぁ…ちょっとナイーブになっていた気持ちなんて何処か遠い彼方に吹っ飛んだな」
いや、速水に千葉…お前らはそういうほど驚いてもねーだろいつもの様に冷静沈着だろうが
「まぁ…実の所俺もヘコんではいるがいつまでも落ち込んでいても何も始まらんし、貴重なデータも取れた。『次は殺る』ただそれだけだ。」
そう言う丈一郎の執念に速水達は息を呑む。
まるで、何日も餌にありつけず神経が極限まで研ぎ澄まされた飢えた猛獣の様に彼はギラギラしていた。
「成る程…何が何でも殺ってやるという『断固たる決意』が必要ってことね!」
「…まぁそんな感じだ。」
まぁその言葉は概ね正しい…だが、今のこいつらに決意なんかよりも……いや、止めておこう今のこいつらにはまだ出来なさそうだし言わなくても良いか
「1つ聞きたい事があるんだが良いか?」
「良いぞ。俺が言える事なら答える。俺に何が聞きたいんだ?千葉」
「なんでお前はそんなにも強くあり続ける事が出来るんだ?」
「ほぅ……」
そう言う千葉の表情はとても真剣なものだった。なら、俺もそれ相応の解答をするとしよう
「成る程…その問いに答える前に1つ言っておくが、俺は別にお前らが思っている程強い人間ではない。むしろ俺は臆病な人間だと思っている。」
「臆病?お前が?」
「あぁ…俺は俺で無くなるのが怖い。負けるのが怖い。死ぬのが怖い。夢を達成できなくなるのが怖い。俺が俺で無くなるのが…怖い」
俺が愛読している書物の中で『人を動かすのは恐怖』と指摘した人がいた。
例えば『勉強はしたくないけど、お母さんに怒られるから仕方なく勉強する』
誰もが一度は思った事だろう。
『断ればどうなるか分かっているよな?』
カルマや俺が不良との喧嘩や正当防衛などで決まって言う殺し文句だ。当然相手は自分が辿る末路を想像し言う事を簡単に首を縦にふる
『結果を出せなければエンドのE組行きになる』
という最低な末路を想像して躍起になりながら勉強し、見下し続ける本校舎の連中。
全ては『恐怖』が人を動かしているという典型的な例だ。
「だからこそ俺は『安心する為に』生きている。生きる為に…自分の夢を叶える為に…親友との約束を果たす為に…色々な事を叶える事で俺は『安心できる』と思ったからそう思った通りに生きているだけだ」
事実、俺は人間という生き物は誰でも不安や恐怖を克服して安心を得るために生きていると思っている。
名声を手に入れたり人を支配したり金もうけをするのも安心するためだ 。結婚したり友人をつくったりするのも安心するためだ 。
人のため役立つだとか愛と平和のためにだとかすべて自分を安心させるためだ。安心を求める事こそ人間の目的だ。
故に、安心とは対極にある恐怖によって人は動かさせる。
「だからよ千葉、お前がなんでそんな事を気にして俺に聞いたのかは分からないが別にお前らしく生きていれば別に良いんじゃないか?」
「俺……らしく?」
「あぁ…それはとても難しい事だ。この世の中に蔓延ってるふざけた不条理がある中で自分…いや、千葉龍之介たる確固たるナニカを貫きながら生きるんだからな。当然難しいが、そう生きられたなら最高じゃないか?」
そう言うと丈一郎は山盛りに盛られていたパフェの最後の一口を食べ終える
「ご馳走様でした。まぁ、これはあくまで俺の持論だから別にそう生きろって言ってるわけじゃあねーからそこんところは勘違いすんなよ?」
「あぁ……でも、俺もそう生きられたのなら最高だと思うよ」
「だろ?あぁ…そう言えばこんな感じの答えになったが問題ないか?」
「あぁ…充分だ。」
そういう千葉の表情は彼なりに納得できたお陰なのか朗らかなものになっていた。
「そりゃあ良かった。さて、そろそろ移動しますか」
そう言い丈一郎は席から立ち上がり勘定の用意を始める
「え〜〜〜〜もうちょっとゆっくりして行こうよ〜〜ジョジョ〜〜」
そう言う中村はまだこの場所でダベって居たいのか机の上に寝そべる
「おいおい…お前ら気づいてないのか?そろそろ行かなきゃ次に来るバスに遅れるぞ」
「「「「「…………え?」」」」」
空気が、凍った。厳密にいうと丈一郎の以外の2班のメンバーの時間だけが一瞬止まった。
「因みに…このバスを逃せば俺達が暗殺終了後に楽しみにしていたイルカショーは見れないんだが……どうする?」
自分達が置かれている状況を瞬時に理解した中村達のとる行動はただ1つ。
「「「「「間に合えええええええええええええ!!!!」」」」」
と、テーブルに残っていた食べ物やドリンクを急いで平らげ、勘定を済まし、今の自分達が出せる最速でバス停まで駆け抜ける
「やれやれ…やっぱりこうなるのか」
余談だが、この時の中村達の走る速さは人生でも最速だったらしい。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「ぜぇ…ぜぇ…ま、間に合った…」
「時間ギリギリだけどね」
「なんで京都に来てまで全力疾走してんだろ…俺たち」
「流石にゆっくりし過ぎたな」
なんとかショーが始まる時間ギリギリに京都水族館のイルカショーの会場に着いた中村達はノンストップで走り続けたせいか肩で息をしていた
「やれやれ…お前らだらしねーぞ」
だが、ジョジョだけは先ほどまで全力疾走していたとは思えないほど平然としていた
「いや、あんだけ大盛りのパフェ食っておいてなんでジョジョは息1つ乱れてねぇんだよ!」
「おいおい波紋使いの肺活量をなめてんじゃあないぜ……最近サボり気味だったから大分鈍っているがそれでもこの程度のランニングじゃあ息は乱れねーよ」
それに俺は全力で走っていた訳じゃあない。
むしろ加減している方だ。俺にとってはあの程度のスピードじゃあ全力疾走には程遠い
歩く程度の運動で息がきれる奴が果たしているだろうか?いや、いないだろう。
「相変わらずジョジョはスタミナの化け物だな」
「確かに…今思えば体育でも烏間先生との模擬戦以外は息1つ乱れずに訓練してるしな」
そう言い三村と千葉は普段の体育の丈一郎を思い出す…体育の初めに行われるランニングでは息1つ乱れずにほぼ独走状態を維持し続け、訓練でクラスの男子総掛かりでナイフを当てに行ってもナイフをはたき落とし背負い投げで一蹴されるなど、例を挙げるのならキリがない。
「培ってきた物が違う。なんなら俺がやってきた同じメニューでもこなしてみるか?」
「……因みに聞くがどんなメニューなんだ?」
そう言い三村は恐る恐る聞く…いや、そんなにビビら無くても良いだろうよ
「まぁ……そうだなぁ学校があった平日は
①4時に起床してランニングを10キロと朝の軽〜い組手(側から見れば思いっきしハードな奴)
②6時半から朝食と学校に行く準備
③8時から17時まで地元の学校に通う
④17時半から格闘技、波紋を使った戦い方など自分が思いつく限りの辛い事が天国に感じる様な地獄の授業を師匠が良いと言うまで続ける
⑤21時に夕食。夕食が済んだ奴から風呂に入り身を清める。
⑥大体22時頃に死んだ様に眠る。場合によってはこの時間から地獄の修行part2が始まる。
こんな感じのメニューだけど…やるか?」
「謹んでお断りします」
「それが良い…誰だって断る。俺だってお前の立場なら断る」
因みにこれは平日のメニューだ…休日は学校に行く時間も修行に当てられる。即ち、その分修行も3回に1度は確実に臨死体験をする魔王も泣いて逃げる様なエゲツない修行をすると言う訳だ。
どんな事をするのか?止めろ思い出したくもないからそんな事聞くな
「しっかし、ショーが始まる直前だとはいえ、人多すぎだろ」
三村がそう言うのも無理は無く、時間ギリギリに到着してのもあるが、客席へ着くとほとんどの席が埋まっていてた。
「まぁ…休日だから子供連れの家族やデートに来たカップルばっかりだな」
「お陰で上の席しか取れなかったね…まぁ遅れちゃったのが一番の敗因なんだけど」
不破がそう言うと全員がチラッと俺の方を向く、ちょっと待なぜ俺が悪くなる。
「はぁ……やれやれだぜ」
そんなやりとりをしていれば、会場に突然陽気な音楽が流れ始める。それはイルカショー開始の合図だった。
男性、女性のスタッフが出てきて、彼らの笛の音でイルカ達は多彩な技を見せていく。
「今の見たジョジョ!?イルカってあんなに飛ぶの!?」
躍動感あふれるイルカ達を見て、中村も目を輝かせていた。
「そりゃあここのプールは恐らく水深4メートルのプールだから6メートルはジャンプできるし、中には8メートルの高さのボールに届くイルカショーを行っているところもあるぐ位だからな」
「へぇージョジョ詳しいね」
「知り合いからの受け売りだ…大した知識じゃない。少しイルカが、好きな奴なら誰だって知ってるレベルの知識だ。」
ネットで調べれば簡単に分かる程度の知識だしな
「じゃあ他には何がイルカの雑学ってあるの?」
「そうだな…あんなに泳ぎが上手で知識も高いイルカだが、実は溺れる」
「へー溺れるのか…って溺れるの!?」
「あぁ。イルカは哺乳類だから肺呼吸だ。そのため息継ぎが必要なんだ。だから海面に出てきて背中についてる気孔から酸素を取り入れる。呼吸の周期は約40秒。呼吸をするために海面に出なきゃだから人間が仕掛けた網にかかってしまうと酸素を吸えないから溺れて死んじまうんだよ。」
「へぇ…可哀想だね」
「あぁ…人の身勝手さのせいで死んでいく…儘ならない話だ」
そう言うと丈一郎の表情が暗くなる。
「ジョジョ…?」
「なんでも無い…それよりも見てみろ…あのイルカ大技を出すみたいだぞ?」
そう言い指を指す丈一郎は何時もの丈一郎に戻っていた。まるで何事もなかったかの様に
「え?…あ、うん」
だが、中村には一瞬見せた丈一郎の表情が鮮明に脳裏に焼きついていた。何故脳裏に焼き付いたのかは中村自身に全く分からない。ただ、忘れてはいけないと彼女のが悟ったのかもしれない。
「ほぉ……中々やるもんだな」
だが、丈一郎はいつもの無愛想な表情このイルカショーを楽しんでいるようなので中村も深く考える事をやめそっと頭の片隅に置いた。
そこからは色々技を見せるイルカたちに釘付けになった。女性スタッフが持っていたフラフープをくぐり抜けたり、ボールを使った多彩な芸に何度も会場に沸いた拍手喝采と共にイルカショーは終了した。
後書き
カナメ「なぁジョジョ…地獄の修行part2をやった場合どんなスケジュールになるんだ?」
丈一郎「あぁ…大体こんな感じだな」
⑦修行part2を終えると再び風呂に入り身を清める。
⑧深夜0時には猫型ロボットのメガネをかけた親友並みの早さで眠る
⑨師匠からの慈悲があるわけでも無く、更に凶悪な地獄が俺を待っている。
カナメ「お、おう…これは酷い」
丈一郎「まぁな…お陰で相当タフになったけどな」
カナメ「ご愁傷様です。」
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