恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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757部分:第六十一話 袁術、歌で仕掛けるのことその五
第六十一話 袁術、歌で仕掛けるのことその五
「人を助けるものだからな」
「人の命を背負っているのね」
「それが医者だからな。背負っているさ」
「そういうことなのね」
「だから俺は戦う。病魔とな」
「天下の病魔ともね」
「そういうことだ。俺の背負っているものはそういうものだ」
笑顔でだ。曹操に話す。
「それじゃあ俺もな」
「ええ。行ってらっしゃい」
曹操は天幕を出る華陀を笑顔で見送った。そうしてだった。
車もだ。遂に完成したのだった。李典が皆に話す。
「遂に完成やで!」
「できたか」
「ああ、できたで」
こう楽進にも答える。
「ほな乗ってや。それで出発や」
「動かすのは誰なんだ?」
馬超が李典にこのことを尋ねた。
「それで」
「勿論うちや」
李典は満面の笑顔で馬超に答えた。
「それは決まっとるやろ」
「作った人間だからかよ」
「そや。ほな皆乗ってや」
「わかりました」
ナコルルが最初に応えた。
「では楽器を持って」
「ああ、そうだな」
「それじゃあな」
草薙とテリーも応える。
「それで行くか」
「すぐにな」
こう話してだった。彼等はまず楽器を乗せた。
演奏する人間とだ。三人も乗った。
「では行くぞ」
「はい、美羽様」
「それでは」
袁術に二人も続く。この三人も乗りだ。
他にはだ。劉備達もであった。
「私もなの」
「雛里ちゃんも歌えるっていうから」
「けど私」
鳳統は俯きながら孔明に答える。この二人も同行するのだった。
「歌はあまり」
「自信ないの?」
「いつも微妙に外してるって言われるから」
だから自信がないというのである。
「それでもいいの?」
「私もあまり自信はないけれど」
彼女もだった。それはだというのだ。
「けれどそれでもね」
「一緒になの」
「この策が失敗したら」
どうなるか。孔明はこのことも話した。
「すぐに戦になるから」
「戦になれば」
「うん、沢山の人が死ぬから」
「そうよね」
二人はこの話になると顔を曇らせた。二人は確かに軍師だが決して好戦的ではないのだ。むしろ戦いは嫌いと言っていい程だ。
だからだ。二人はその顔を曇らせて話すのだった。
「歌で済むなら」
「それに越したことはないよね」
「いざという時はね」
「私達も歌うのね」
その為の二人だった。そしてだ。
趙雲はだ。仮面を着けてだ。車の上にいた。馬超が彼女に突っ込みを入れた。
「おい星、何やってんだ」
「私は星ではない」
堂々と立ちながら馬超に返す。
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