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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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746部分:第六十話 楽進、辛い料理を作るのことその六


第六十話 楽進、辛い料理を作るのことその六

「八神さんとは会われない方がいいですね」
「いや、けれどベースがな」
「そこまで因縁のある方ですと間違いなく修羅場になります」
 程昱の指摘は冷静なものだった。
「下手をすれば演奏どころではありません」
「そうね。風の言う通りね」
 曹操も彼女のその言葉に同意して頷く。
「殺し合いしながら音楽なんてできる筈がないわ」
「じゃあベースは抜きか?」
「そうなるのだ?」
 馬超と馬岱は眉を顰めさせて述べた。
「残念だけれどな」
「演奏できるのだけで」
「別にそれでもいけるわよね」
 曹操は草薙達にこのことを確認した。
「それで」
「不十分だけれどな」
「ベースがないとな」
「どうしてもです」
 草薙だけでなくテリーとナコルルも話す。
「けれどそう言うのならな」
「やっぱりここは」
「ベース抜きで」
「安心しろ」
 しかしだった。ここで、だった。
 その赤い髪の男が天幕の中に来た。徐晃が案内してきたのだった。
「俺は今は貴様とは闘わない」
「八神、来たのかよ」
 草薙はその彼に顔を向ける。警戒する顔になっている。
「手前もまた」
「久しいな、京」
 八神もだ。険しい顔で草薙に言葉を返す。
「貴様もこの世界に来ているのだな」
「そうだな。ここでもな」
「それでだ」
 八神からの言葉だった。
「俺の今の言葉だがな」
「俺とは闘わないっていうんだな」
「そうだ。少なくとも俺は嘘を言う趣味はない」
 それは確かだというのである。
「この世界には御前より先に俺に借りのある奴がいる」
「そいつ等を倒してからっていうんだな」
「そうだ。だから今は貴様とは闘わない」
 こう草薙に話す。
「それは言っておこう」
「それはわかった」
 草薙もだ。八神のその言葉を受けて述べた。
「手前は少なくとも嘘は言わないからな」
「そういうことだ」
「それでだ」
 ここまで話してだ。八神に対してあらためて言うのだった。
「何でここに来たんだ」
「そのことだな」
「そうだ。俺とやり合うつもりがないならどうして来たんだ?」
 二人の間には緊迫した空気が漂っている。それは誰が見てもわかることだった。見ている者達もだ。緊張した面持ちでことの成り行きを見守る。
 その中で徐晃がだ。こう曹操に話すのだった。
「何でも用があるとのことで」
「それでここまで案内したのね」
「はい、そうです」
「それはいいわ」
 曹操は徐晃のその判断はいいとした。しかしこうも言った。
「けれどね」
「けれど?」
「あの八神って男」
 その彼を見ながらだ。あらためて話すのだった。
「かなり危険な男ね」
「それは私も」
 感じていたというのだ。徐晃も彼を見ながら警戒する顔になっている。
「感じました」
「しかも強いわね」
「そうですね。それもかなり」
「草薙と同じ位ね」
 曹操はその強さの域も見抜いていた。草薙と同じ位だというのだ。
 
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