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ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで

作者:迷い猫
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幻影の旋律
  お人好しとの談笑

 「ああ、尊い……」
 「ボクより似合うってどう言うこと……」
 「似合いすぎてて怖いです……」
 「フォラスさんは女性だったんですか?」

 料理組を除いた女性陣の反応はそんな感じだった。 ちなみに、上からリゼルさん、レイさん、ニオちゃん、ティルネルさんだ。 リゼルさんは感極まっている風だし、レイさんは悔しそうだし、ニオちゃんに至っては完全に引いている。 こうなるとティルネルさんのキョトンとした顔が救いだ。

 「お前、本当に男なのか?」

 そしてこのメンバーで唯一の純粋な男性プレイヤー、リンさんの疑問は冗談の色が薄く、割と真剣だった。

 「ええ、男ですよ」
 「そうか……」

 ニコリと笑った僕に苦笑いすら浮かべずに慄くリンさん。 失礼な反応ではあるけど、原因は確実に僕にあるので気にしないでおこう。

 「マスター。 ご満足頂けたでしょうか?」
 「まさか、さっさと脱ぐつもりか? だったら満足してねえ」
 「ご安心を。 折角リゼル様が用意してくださったのですから、最後までいかせて頂きますよ」
 「最後……100層までか⁉︎」
 「休憩が終わるまでだよ」

 錯乱状態のリゼルさんを前に、折角作っていた口調が早々に崩れてしまう。 やれやれ、これではメイド失格だ。
 どうせやるなら徹底的に。 口調や仕草も女の子そのものにならないと意味がないのだ。 この状況では楽しまないと損だし、自分の外見を利用した悪戯は割と好きなので実を言うと結構ノリノリだったりする。

 さて、このミニスカメイドは《サブカルチャーとしてのメイド》であって、決して《本物のメイド》ではない。 僕個人の趣味としては装飾が少なく丈の長いメイド服の方が好きで、そっちであれば完璧なメイドを演じるところだけど、今回はそこまで畏まりすぎず、かと言って砕けすぎない微妙なラインを探っていかないといけない。
 《笑顔を絶やさないけど少しクールな萌えメイド》。 果たしてそれがリゼルさんのご所望かはわからないけど、僕の趣味との妥協点はその辺りだろう。

 「ところでレイお嬢様。 装備品のメンテナンスはよろしいのですか?」
 「お、お嬢様⁉︎ うわ、響きが新鮮すぎてちょっと戸惑っちゃうよ」
 「ティルネル様も調合があったのではありませんか?」
 「あ、そ、そうでした!」
 「ニオちゃんは……そのままマスターに愛でられてください」
 「ちょっと待ってください! 《マスター》《お嬢様》《様》の並びで来て私だけ《ちゃん》なんですか⁉︎」
 「ああ、これは失礼を。 では、ニオたんに慎んで変更させて頂きます」
 「それは少しも慎んでいませんよ!」
 「では、ニオちんに……」
 「繰り返すごとに酷くなっています!」
 「まったくもう。 何をしているの?」
 「わわっ、フォラス君がメイドさんだよ、燐ちゃん」
 「うー、うるさいですよー」
 「ニオちゃん、ニオちゃん……私、年上なのに……」
 「あはー、フォラスくんがメイドさんですー」
 「フォラス! 頼むから1枚だけ撮らせてくれ!」
 「うがー、メンテが終わらないよー!」
 「スリスリダキダキするですよー」
 「フォラスさん、手伝ってください!」
 「だー、お前ら落ち着け!」

 クーネさんとヒヨリさんの合流、そしてアマリが起きたことによって、場が更にカオスと化してきた。
 正直に言おう。 滅茶苦茶楽しい。












 「さて、まずはこれからの方針を決めましょう」

 混沌に満ちた休憩時間と食事を終えた僕たちは、クーネさんの切り出しでようやく真剣な話しを開始した。
 そこで真っ先に口を開いたのは僕だ。

 「みんなはどうするか知らないけど、僕たちはこのクエストを譲るつもりはないよ」
 「それは絶対に、かしら?」
 「うん、絶対に。 ヴェルンドさんと約束したしね」
 「わかったわ。 ねえ、リン君。 あなたはどうするの?」

 あっさりと頷いたクーネさんの矛先が、今度はリンさんに向かう。
 この一幕はつまり、クーネさんが中立の立場を宣言したに等しい。 どう言う経緯と目的でかは知らないけど、元々はリンさんたちに同行していたと言うのに、だ。
 とは言え、それを薄情だと責めることはできないだろうし、リンさんも責めるつもりはないらしい。 軽く頷くと苛立ちもない素の声音で答えを返した。

 「俺たちはクエストを破棄する」

 その予想外の答えに驚いて固まる僕を半ば無視する形でリンさんは後ろを振り返る。 そこにいたのはヒヨリさんとティルネルさんだ。

 「ヒヨリはそれで構わないか?」
 「ほえっ?」
 「……話しを聞いておけ。 クエストを破棄して良いか聞いたんだ」
 「えっと、うん?」
 「その首の傾げ方は何もわかってないだろうが、まあいい。 ティルネルもそれで良いか?」
 「ええ、もちろんです」
 「いや、ちょっと待ってよ」

 この人たちは一体何を言っているんだろう?
 リンさんたちが受けているクエストは、ほぼ間違いなく未踏破の隠しクエストのはずだ。 未踏破クエストは《誰も知らないリソースの宝庫》と言うことに他ならない。 クエストは誰かがクリアした時点で次が発生しないものもあり、高度なクエストであればあるほどその傾向は顕著になっていくし、クエストの成功失敗問わず再挑戦不可、なんて言うクエストだってある。
 攻略組トップクラスと言って過言ではないほど優秀なステータスを有する僕たちだからこそここまで簡単に進んでいるけど、それでもこのダンジョンの難易度は異常に高い。
 索敵使用不可。 パーティーの強制分断。 ボスのレベルと強度。
 どれを取っても最前線以上に悪辣な難易度のここを舞台にしているのだ。 リンさんたちのクエストが高難易度であることは言うまでもない。 そしてそれは、そのクエストに再挑戦できない可能性が大いにあると言うことに他ならない。
 だと言うのに、リンさんは平然とクエストの破棄を申し出て、ティルネルさんまでそれを支持している。 ヒヨリさんに関しては、そもそも状況を理解しているのかが微妙だけど、それでもリンさんの決定に逆らうつもりはないらしい。

 「お前たちが受けているクエストの詳細は知らないが、少なくとも俺はこのクエストから降りる。 そちらのルートに従おう」
 「……正気?」
 「正気も正気だ」
 「理由を聞かせてもらえるかな?」

 僕が受けているクエストの詳細は何も語っていない。 クエストに拘っている理由も『約束』とだけしか言っていない。 だと言うのに、自分たちが受けているクエストを平然と破棄すると言うこの人たちは、一体どう言うつもりなのだろう?
 お人好しの雰囲気があるティルネルさんと、そもそもクエストの重要性を理解していない風のヒヨリさんがそれを受け入れる理由もわからなくはない。 けど、リンさんは違う。
 クエスト攻略に血道を上げているリンさんが、高々共通の知り合いがいる程度の仲である僕にクエストを譲る理由が全くわからない。
 ヒヨリさんたちを助けたことのお礼? クーネさんたちに義理立てして? 譲るだの譲らないだのと言う話しが面倒だから? 元々そのクエストに乗り気ではない?

 全くわからない理由を問うてみると、答えはとてもシンプルかつ予想外のものだった。

 「約束だと言ったな。 約束は守るべきだろう?」
 「……えっと、それだけ?」
 「ああ。 もちろん、ヒヨリたちを助けてくれた礼の意味もあるし、クーネたちに普段から世話になっているからその返礼と言う意味もある。 このまま話しが長引くのが面倒だと思っているのも確かだ。 正直な話し、あまりクエストに乗り気じゃなかったてのもあるしな。 けど、それらを差し引いても約束したって言うなら俺たちが退くべきだろう?」

 捲し立てられたあれやこれやの理由はどうにも後付けくさい。

 約束。
 僕がヴェルンドさんとした約束を破らせないためだけに退くと、そう言っているのだろう。

 常に余裕を持ち、合理的かつ効率的な選択をする人。
 色々な人から聞いて、それから実際に会ってみて抱いていたリンさんのそんな人物像に、僕はひとつの項目を書き加える。

 《実はお人好し》








 「リンさんはさ、結婚してるプレイヤー2人パーティーだけで受けられるクエストがこの層にあるって話しは知ってるかな?」

 あれからクーネさんたちも僕のクエストに従う旨を宣言してくれたので、僕は現在進めているクエストの詳細の説明を始めた。
 クエストに関しては僕以上どころか、SAO随一と言ってもいいだろう知識と情報を有しているリンさんなので、先ずはそう切り出す。 案の定返ってきたのは肯定だった。

 「ああ。 この層の南東に位置するダンジョンの最奥にいるNPCから受けられるクエスト、だったか? 確か未だにクリアしたプレイヤーはいないと聞いていたが、まさか……」
 「ふふ、察しの良い人は大好きだよ。 話しが早く済むからね」

 ニコリと笑って言うと、どう言うわけかリゼルさんがニヤニヤ顏でリンさんの肩を叩き、当のリンさんは実に嫌そうな、あるいはバツが悪そうな苦笑いを浮かべる。 この辺りは僕では推し量れない2人だけのやりとりなので何も突っ込まないで、僕はそのまま説明を繋げる。

 「クエスト名は《龍皇の遺産》。 とんでもないレア素材が報酬のクエストで、その難易度があんまりにも高くてね。 アルゴさんに口止めまでお願いしてるクエストだから詳しく話せないけど、今回はそれの続きだよ」
 「続き?」
 「《鍛治師の願い》。 森の奥深くに今は亡き龍皇の居城があり、とてもとても大きな宝物庫がありました。 しかしある日、宝物庫が何者かに荒らされてしまったのです。 盗まれた品の中には龍皇とその妻との思い出の品や、龍皇家に代々伝わる秘宝、そして先代鍛治師が打った剣までもが含まれていました。 その剣は《災厄の魔剣》と呼ばれ、持つ者の心を蝕む大層危険な剣です。 剣士たちよ、その剣をどうか取り戻してください……って言う、まあ王道ファンタジーのクエストだよ。

 僕はそう言いつつリンさんにニコリと笑いかけた。
 常時着用型の猫の皮を何枚も被っているリンさんのポーカーフェイスは小揺るぎもしないし、僕の中では腹黒疑惑のあるクーネさんや踏んでいる場数が違う感のあるリゼルさん辺りは完全に無反応を貫いているけど、正直者なヒヨリさんやティルネルさん、レイさんとニオちゃんの肩が同時にピクリと揺れる。

 「ねえ燐ちゃん。 もしかしてその魔剣って……」

 更にお利口さんなヒヨリさんの一言で確定した。 この人たちは何かを知っているらしい。
 相棒の不手際に一瞬だけ苦い顔をするリンさんに僕はもう一度笑いかける。

 「そのリアクションは心当たりがあるみたいだね。 説明はしてもらえるのかな?」
 「…………」
 「…………」
 「…………」
 「…………」
 「……わかった。 説明しよう」

 無言での交渉は僕の勝ちだ。
 長く続いた無言を打ち破ったリンさんは、ヒヨリさんの頭を軽く叩いてから深い溜息と共に首を振る。 なんて言うか、こうして接してみると結構ちょろい。
 先ほど付け加えたリンさんに対する《実はお人好し》の項目はどうやら間違いないようだ。

 「俺が……いや、俺たちが受けているクエストは《反逆の狼煙》。 とある城の宝物庫に侵入して財宝を盗み出すことが目的だ」
 「なるほどね。 で、その財宝はリンさんたちが持ってるの?」
 「いや、既にクエストの依頼主に引き渡してある。 渡した直後に『お前たちは用済みだ』と言われて強制転移させられて今に至るわけだ」
 「へえ……」
 「ちなみに、クエストログには【仲間たちと合流して洞窟を脱出せよ】と書かれているから、恐らくここを出ると次のシナリオに進むことになるんだろうな」

 やれやれと肩を竦めてみせるリンさんだけど、話し振りからどうやら脱出するつもりはないらしい。 自分たちのクエストは既に諦めているのだろう。
 これがリンさんたちでなければ、破棄すると宣言しておいて土壇場で裏切ると言う可能性を憂慮するところではあるけど、この人たちに限ってそれはないと思う。

 「うーん。 話しを聞いてると、僕たちのクエストはリンさんたちのクエストと対応してる感じだけど、クエストってこんな風に被ったりするものなの?」
 「かなり珍しい部類ではあるが、絶対に被らないとは言えないな。 これも恐らくだが、こちらのクエストの進み具合に応じてそちらのクエストが解放されたんだろう。 いや、順番としては《龍皇の遺産》がクリアされてから《反逆の狼煙》が解放されて、次に《鍛治師の願い》という順番か」

 へえ、と返しながら、僕はそれから幾つかの質問を重ねた。 時折嫌そうな顔をしたり鋭い目をこちらに向けたりするリンさんだけど、なんだかんだと質問には全部答えてくれた。






 さて、今回のクエストを纏めよう。

 《反逆の狼煙》。
 リンさんたちがここの内部構造を知っていたり、途中で現れる中ボスクラスのモンスターを知っていたりしたのは、このクエストの発生地点がここの最奥部だからだそうだ。
 クエストの依頼主は《ケクロプス》。 龍皇(つまりは《スヴァローグ》)との政治的な抗争に負けて龍人族の国を追われた男らしい。 ギリシャ神話の神様がスラヴ神話の神様に負けると言うのも中々面白い話しではあるけど、それについては置いておこう。
 国を追われたケクロプスはこのダンジョンに逃げ込み、虎視眈々と反撃の機会を窺っていたらしく、ダンジョン内にいるモンスターはケクロプスが各地から集めた戦力なのだとか。 ドラゴンタイプのモンスターしかいないはずの70層にそれ以外のモンスターがいたのはそれが原因らしい。
 反逆の機会を窺っていたケクロプスだけど、肝心の龍皇が僕たちプレイヤーに討たれ、その機会は永遠に奪われてしまった。 ならば龍人族の国を襲ってその埋め合わせをしようと企んだケクロプスは、戦力増強と国の弱体化のためにリンさんたちに財宝の窃取を依頼したと、大まかな流れで言えばそんな感じだそうだ。
 ちなみに、ケクロプスにはこのダンジョンを防衛している中ボスクラスのモンスター以外に《四天王》と呼ばれる部下(安直なネーミングだ)がいて、彼と敵対するつもりならその4人とも戦う必要があるだろうとリンさんは言う。 クエストの進行中に垣間見た四天王の実力や詳細な情報については追い追い説明するとして、僕たちの目的である《財宝の奪還》にしろ、リンさんたちの目的である《強制転移に対するお礼》にしろ、とりあえず利害が一致したので協力することとなった。

 と言うわけで、今回の戦力について並べようと思う。
 僕、ヒヨリさん、ティルネルさん、クーネさん、ニオちゃんの5人とアマリについては必要ないと思うので、途中合流を果たした3人に関してだ。

 兎にも角にも先ずはこの人、リンさん。
 本来のアバターネームは《スレイド》さんと言う、隠しクエスト攻略の専門家。 実際のフロアボス攻略にも参加してはいるけど、普段の迷宮区攻略には殆ど参加していないため、その立ち位置を攻略組と言っていいのかは微妙だろう。 とは言えその実力は一級品だ。
 目立たない灰色のインナーに黒コート。 所々にプロテクターを重ねただけの盾なし軽装片手剣士。
 フロアボス攻略の際に盗み見た戦闘スタイルは片手剣と体術を器用に使い分け、軽業と隠蔽をフルに利用した足止めがメインだと思われる。 何しろ相棒が高機動高火力殲滅型のヒヨリさんなのだ。 それでも本人の火力もかなり高いので、割とオールラウンダー型なのかもしれない。 通常クエストに比べると遥かに難易度が高い隠しクエストの専門家だけあって、色々な状況での戦闘を経験しているのだろう。 SAOではかなり稀有な対多数戦闘をもこなす、はっきり言ってこのメンバーの中では最も警戒しておかないといけない人だ。
 服装がどことなくキリトに似ているせいもあって、勘違いから結構な数のプレイヤーにデュエルを申し込まれ、しかもそれらを全て退けているらしいとアルゴさんから聞いている。 ちなみにその勝ち星はキリトの不敗記録にカウントされていると言うのだから、弟としては非常に申し訳ない限りだ。
 ヒヨリさんを冷たくあしらったりしているくせに大事にしているのが見え見えで、彼女にストーカー紛いの蛮行を仕掛けたプレイヤーが襲撃されると言う噂の犯人はきっとリンさんなのだろう。 いやはやツンデレさんである。

 次にリゼルさん。
 女マフィアなんて言われているように、まず目につくのはその堂々とした立ち姿だ。 180cm近い慎重に鋭い眼光から恐れられがちではあるけど、話してみると実はかなり優しい人だったりする。 まあ、色々とあれな性癖の持ち主なので、警戒しておかないと危険ではあるけど。
 金属装備一切なしの全身布装備、なんて言う僕以上の軽装。 軽くて丈夫なサバイバルナイフ状の短剣と体術と隠蔽と軽業とを巧みに使って戦場を駆け抜けるスタイルは暗殺者とでも言えばいいのだろうか。 隠密性はリンさんも同様だけど、リゼルさんの場合はスピードが桁違いに速い高機動隠密戦闘がその戦闘スタイルだ。 気がついたら背後からブスリ、なんて実に恐ろしい。
 威圧的な雰囲気を放つリゼルさんだけど、《片翼の戦乙女》のメンバーだったり友人だったりには優しく、砕けた雰囲気でありながら常に仲間に気を配っているお姉さん……否、姐御だ。 クーネさんの指示を忠実に全うし、並み居る敵を容赦なく切り捨てる様から《姫の懐刀》なんて呼ばれたりもしている。

 最後にレイさん。
 SAO最初期から鍛治師を続けている非常に珍しいプレイヤーで、非常に優秀な両手槍使い。 浅葱色の大正袴を着て長大な槍を振るう姿は凛々しく、清廉な印象を見る者に与える美少女。 もっとも本人はアッパーテンションのボクっ娘であり、ギルド内でも有数のボケ担当であるため、凛々しいとか清廉とかそんな印象は交流を持つと一瞬で消え去るので注意が必要だ。
 それでもそんな性格でありながら、両手槍ソードスキルの特徴である移動阻害や行動阻害などの各種デバフをばら撒く戦闘を得意としていて、仲間にするとこれ以上ないほど頼れる存在だったりする。 攻撃がメインの僕とは同じ長物武器使いではあるけど対極のスタイルだ。
 僕が偶にする、アマリの攻撃を確実に当てるために僕が敵の動きを止める、と言う戦い方は実を言うとレイさんに教わったもので、そう言う意味では僕の師匠なのかもしれない。
 例に漏れず非常に仲間思いで、《片翼の戦乙女》のメンバーを集めたのはレイさんだ。 ギルドメンバーを《家族》とまで呼び、そんな家族と共に戦う彼女に付けられた二つ名は《勝利の槍》。

 これで今回のクエスト関係者が揃い踏みなわけだけど、改めてメンバーを見渡すと恐ろしく練度が高い面々が揃ったものだ。

 薙刀と双剣と体術を使った高機動広範囲殲滅を得意とする僕。
 一撃の威力に全てを賭ける超高火力、《惨殺天使》アマリ。
 頭脳派にして武闘派な万能型のリンさん。
 僕以上のスピードで戦場を駆け抜け、飛び抜けた火力を持つレイピアで敵を穿つ天然系美少女細剣士、《流星》ヒヨリさん。
 SAOで唯一の弓使いでありながら各種秘薬を精製する薬師、《黒の射手》ティルネルさん。
 ギルド片翼の戦乙女のギルドマスターにしてみんなのオカン……もとい、有能な司令官、《騎士姫》クーネさん。
 攻撃の起点や補助に徹する仕事人兼ムードメーカー、《勝利の槍》レイさん。
 おっかない風貌だけど実は優しい変態姐御な暗殺者、《姫の懐刀》リゼルさん。
 高火力な盾の一撃をも使いこなす見た目は幼女でやっぱり幼女な重装タンク幼女、《ロマン盾》ニオちゃん。

 ……あれ、このメンバーだったらフロアボスにだって勝てるんじゃないかな? と思ったのは多分、僕だけではないはずだ。 それはまあ言い過ぎにしても、フィールドボスくらいなら余裕で殲滅可能なメンバーが集まっているのは否めない。 ジルと戦う時にも思ったけど、なんて言うか敵に同情さえしてしまう。 もっとも、だからと言って手加減する気も見逃す気も更々ない。

 さあ、殲滅の時間だ。 
 

 
後書き
 ネタ回(2回目)とメンバー説明回(2回目)
 と言うわけで迷い猫です。 どうも、とてもお久しぶりです。

 これでようやく今回のコラボも佳境に入りました。 次回からはようやくクエストボス戦ですね。 つまりこれで第2部が終了し、第3部に入るわけです。
 実を言うと第2部はもう少し尺を取ってネタ回を何話かやろうと思っていたのですが、さすがにそろそろ飽きられてしまうだろうと泣く泣くカットいたしました。 《マッドサイエンティストたちによるドキドキ毒物講座》とか《姐御主催、ウハウハコスプレファッションショー》とか《フォラスのポイズンクッキング》とか《ボクっ娘ペアとツッコミの伝道師による漫才》とか《天然系ペアによる恐怖のお胸様事件簿》とか、それはもうネタが色々とあったわけです。 全部やると文量が途轍もないことになりそうなりそうですけどね。 多分、ネタだけで10話以上書けます。
 まあ、その辺りは私の脳内補完と言うことで。

 ではでは、迷い猫でしたー 
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