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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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724部分:第五十八話 三姉妹、反乱を起こすのことその五


第五十八話 三姉妹、反乱を起こすのことその五

 しかしだ。これは大きな問題であった。
「やっちゃった?」
「うん、やっちゃったわ」
 張宝が次姉に言う。二人は今楽屋にいる。舞台の休憩時間だ。
「お役人をああしたら」
「まずいわよね」
「下手したら打ち首」
 張宝はぽつりと怖いことを口にした。
「恐ろしいことになる」
「な、何よそれって」
「そうよ、とんでもないことじゃない」
 張梁だけでなく張角も言う。
「どうしよう、これって」
「お姉ちゃん打ち首になんかなりたくないわよ」
「そんなのあたしもよ」
「私も」
 張宝も言う。口調は同じである。
「だからここはどうするか」
「あたし打ち首だけは嫌だからね」
「お姉ちゃんもよ」
「だから絶対によ」
「どうしよう、本当に」
「もう。こうなったら」
 また言う張宝だった。
「やるところまでやるしかないかも」
「ううん、じゃあこうなったらね」
「どうするの、地和ちゃん」
「反乱よ、反乱」
 張梁は半ばやけくそになって言った。
「それしかないわよ」
「そうね、それじゃあ」
 張角が最初に乗った。
「お姉ちゃんも打ち首は嫌だからね」
「仕方ないのね」
「そうよ、打ち首は嫌だから」
「もっともっと楽しいことしたいのに」
 張角はここでもこんなことを言う。しかしだった。
 それでも実際に反乱になったのであった。三人は忽ちのうちに観客、最早信者となっている彼等を集めてだった。
 徐州で兵を起こした。そうして忽ちのうちに一大勢力となったのだった。
 それはだ。すぐに都にも話が届いた。
 それを受けてだ。大将軍である何進は周りにいる側近達に話した。
「それではすぐにじゃ」
「討伐軍を差し向けますね」
「そうじゃ。ここは」
 そしてだ。その将はというとだ。
「袁紹と孫策はあれじゃからのう」
「はい、お二人はどちらも異民族の征伐と後の処理にかかっておられます」
「ですから今は」
「だから二人はまず外す」
 こう言って二人をまず除外したのだった。
「仕方ないがのう」
「そうですね、ここはです」
「お二人はです」
「統治に専念してもらいましょう」
「ましてやじゃ」
 何進はさらに言った。
「二人はそれぞれ異民族の統治もあるしこれから他の州の牧にもなる」
「袁紹殿は幽州、孫策殿は交州」
「そこにですね」
「ですから」
「そうじゃ。今動いてもらう訳にはいかぬ」
 つまり政治的な事情であるのだ。
「どうしてもじゃ」
「はい、その通りです」
「どうしても」
「二人にも伝えよ」
 何進はこのことも述べた。
「今は異民族の統治と新たに治める州の牧になる用意をしておれとな」
「はい、わかりました」
「それでは」
 周りの者達も頷く。そうしたのだった。
 しかしここでだ。そのうちの一人が言ってきた。
「しかし孫策殿はいいとしてです」
「袁紹じゃな」
「はい、あの方はです」
 まさにその袁紹のことだった。
 
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