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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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715部分:第五十七話 豪傑達、荘に戻るのことその五


第五十七話 豪傑達、荘に戻るのことその五

「私達に迷惑をかけまいとして一人だけで先に進んで」
「だがそれは」
「よくなかったの。それは」
 彼のそれをだ。否定する言葉だった。
「兄さんにとっても私達にとっても」
「御前や楓に。迷惑がかかっていたのか」
「結果としてね」
 そうだったというのである。
「けれど今の兄さんならね」
「それはないか」
「そうなったわ。だから安心して見られるわ」
「そうか」
「だから私も」
 上を見上げてだ。そうしてでの言葉だった。
「一人にならないわ」
「そうするといい」
 静かに酒を飲みながらの言葉だった。
「そういうことか」
「そうね。そうなるわね」
 彼等はそんな話をしていた。宴はそれぞれの話の中で行われていた。そしてだ。
 劉備がだ。香澄からこんな話を受けていた。
「色違いですか」
「そうなんです。色違いなんです」
 香澄は劉備に話す。
「私達の世界にはそういう人が多いんですよ」
「色が違って能力は同じなんですね」
「そうなんですよ。私達全員にいるんですよ」
「それも何人もですか」
「おかしな話ですよね」
「はい、そう思います」
 その通りだと答える劉備だった。
「そんなことがあるんですね」
「それで偽者がどうとかって話にもなって」
 香澄はさらに話す。
「結構複雑なんですよ」
「私もそっくりさんいましたけれど」
「誰ですか、その人は」
「はい、張角ちゃんです」
 やはり彼女であった。
「もう髪の毛の色と声以外は本当にそっくりで」
「それってそのまま色違いですね」
「そうですよね。私もびっくりしました」
「ううん、世の中って本当に」
「いや、そっくりではなかったぞ」
 ここで魏延が話してきた。
「私にはすぐにわかった」
「わかったんですか」
「桃香様のことなら何でもすぐにわかる」
 魏延はここでは断言してみせた。
「何故なら私は常に桃香様のことを想っているからだ」
「はい、ここ重要」
 お約束の馬岱の突っ込みであった。
「香澄さん、今こいつ想ってるって言いましたよね」
「はい、それは確かに」
「普通ここじゃ『思ってる』っていうけれど」
 馬岱が指摘するのはこのことだった。
「こいつ今『想ってる』って言いましたね」
「それが何か」
「つまりこいつは桃香様のことが」
「ば、馬鹿を言え」
 本人が顔を真っ赤にさせて文句を言ってきた。
「私はだ。あくまで桃香様の家臣としてだな」
「はい、じゃあ聞くわよ」
「むっ、何だ」
「桃香さんの今日の下着の色は?」
「白だ」
 すぐに答える魏延だった。
「上下共にだ。純白の木綿のものだ」
「昨日の下着の色は?」
「薄い青だったな。どんな下着もよく似合われる」
「寝る時どうなってたの?昨日は」
「随分と寝乱れてておられた」
 問われるままに話すのであった。
「おかげで太腿はおろかその薄い青の下着まで露わだった」
「こういう奴なんです」
 ここでまた香澄に話す馬岱だった。
「最後の一線を踏み越えないのはただ度胸がないだけで」
「度胸といいますと」
「あっ、まさか香澄さんも」
 馬岱は香澄もまた疎いことに気付いた。
 
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