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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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713部分:第五十七話 豪傑達、荘に戻るのことその三


第五十七話 豪傑達、荘に戻るのことその三

「イタリア人ですよね」
「それも大金持ちの」
「イタリア人なのは確かや」
 ロバートはそれはその通りだというのだった。
「そやけどや」
「日本の食べ物ですけれど」
「大好物なんやな」
「寿司は江戸前ちゃうで」
 しかも寿司に対してこだわりまで見せる。
「やっぱりあれや。上方や」
「大阪ですか?それだと」
「そっちなんかいな」
「そや、大阪や」
 やはりそうだというのだ。
「大阪の寿司が最高やで」
「そういえば焼きそばもそうですよね」
「大阪やな」
「大阪最高や!」
 挙句にはこんなことまで言い出す始末だった。
「食は大阪にありや!」
「それはいいんですけれど」
「ちょっとイタリア人には見えへんで」
「けどわいはれっきとしたイタリア人や」
「あの、ですけれど和食ばかり召し上がられて」
「イタリア料理あんまり食べとらんちゃいます?」
「そういえばそやな」
 言われてやっと思い出す始末であった。
「何かわい空手やってからこうなったわ」
「そうだったんですか」
「極限流空手なんですな」
「そや。空手からや」
 言うまでもなく日本文化である。空手もまた、だ。
「そっからやな。ここまで日本人になったんわ」
「日本人っていうか大阪人ですよね」
「もう骨の髄まで」
「ええこっちゃ」
 しかもそれを肯定するのだった。本人から。
「わいはイタリア人であると共に大阪人になったんや」
「それがロバートだな」
 リョウもここで言う。
「こいつはやっぱり大阪なんだよ」
「最近一段と凄くなってるし」
 ユリは甘口のカレーを食べながら話す。
「お兄ちゃんは普通なのに」
「俺は普通か」
「だってロバートさんみたいに骨の髄まで大阪じゃないから」
「そういう意味でか」
「かといっても高知の匂いもしないけれど」
 サカザキ家の出自はそこなのだった。ただしリョウはアメリカ人とのハーフでありアメリカでは日系人ということになっている。日系アメリカンなのだ。
「これといってね」
「鰹のたたきは好きだぞ」
「それでもよ。高知弁出さないし」
「そういえばそうだな」
「ロバートさんは大阪弁丸出しだけれどね」
「というか何でああなったんだ?」
 リョウは餅に納豆を食べながら話す。
「日本文化、いや大阪文化がそれだけあいつに合ったのか」
「やっぱりそうなるわよね」
「大阪か」
 かえすがえすもそれであった。
「大事なのは」
「そうなんでしょうね。大阪ね」
「大阪なあ」
「大阪ってどんな場所なのだ?」
 張飛は焼きそばを豪快にすすりながら二人に問うた。
「楽しいところなのだ?それとも美味しいところなのだ?」
「どっちもだな」
「大阪はね」
 これが二人の返答だった。
「美味いものは一杯あるし楽しい場所だらけでな」
「凄くいいところよ」
「それなら鈴々も行ってみたいのだ」
 それを聞いてだ。張飛は明るい笑顔で言った。
「是非共なのだ」
「そうだな。機会があればな」
「鈴々ちゃんもね」
「けれど他の世界には行けないのだ」
 ここで張飛の顔が困ったものになる。
「だからそれは」
「ああ、そういえばな」
「そうだったな」
 草薙と大門がふと言った。
 
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