小悪党の末路
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第二章
「それの何処が悪いのよ」
「だよな。あれ誹謗中傷だよな」
「アニメファンの何処が悪いっていうか」
「何か。最近クラスの面々への書き込み多いな」
「2ちゃんだけでなくて他のサイトでもね」
所謂闇サイトといわれるものでもだ。書き込みが相次いでいたのだ。
彼等はこのことについて苛立ちと怒りを感じていた。それでだ。
クラスの隅に蹲り何かの漫画を読んでいるを保谷を見てだ。こう囁き合った。
「あいつだよな」
「間違いないわね」
「あいつのことだけ書かれてないし」
「IDがどれだけ変わっても」
所謂一見IDでもだ。そうだったのだ。尚2ちゃん等で書く場合は相手の実名を出してはいない。しかし知っている者が見ればわかる様に書いているのだ。
だからだ。彼等も自分達のことが書かれているとわかってだ。それで言い合うのだった。
「あいつのことは絶対に書かれてない」
「で、あいつに何か言った奴だけが書かれる」
「あいつに軸があるな」
「どう考えても」
彼等は確信していた。保谷が書き込んでいるとだ。だが、だった。
証拠は何もなかった。何一つとしてだ。そしてだ。
保谷を囲んで問い詰めてもだ。彼は口の端を歪めて碌に歯も磨いていない臭い息を出しながら言うのだった。
「俺がやったって証拠は?」
「ないだろってんだな」
「そう言うのね」
「シラを切るのね」
「だから証拠は?」
シラを切るふてぶてしい顔でだ。彼は周りを囲む彼等に言った。
「どうなのかな。それは」
「おい、ふざけるなよ」
彼に書かれている一人がだ。保谷の胸倉を掴もうとした。だが、だった。
保谷はその彼にだ。席を座ったままこう言った。
「いいのかい?暴力振るったら先生に言うよ」
「手前・・・・・・」
「警察にも訴えるけれどいいかな」
警察まで出してだ。保谷はふてぶてしい態度を続けた。
「そうして」
「ちっ」
彼もだ。警察まで出されては怯むしかなかった。それでだ。
手を止めた。それでこう言うのだった。
「手前、本当にそんなこと続けてるとな」
「だから俺だって証拠は?」
「何時かとんでもないことになるからな」
「とんでもないことね」
「あのな、御前が相当ストレス溜まっててもな」
それはわかった。誰もがだ。
だがそれでもだとだ。彼は保谷に言ったのである。
「それは手前にあるし手前が下種なことしていいって理由にはならないんだよ」
「下種?」
「ああ、手前は本当の下種だよ」
彼は真実を言った。保谷に対して。
「本当に最低最悪のな。そうだよ」
「俺が下種ねえ」
「風呂に入れ。それで勉強してスポーツしろ」
具体的にだ。彼は保谷に言った。
「それで悪事は止めろ。明るくなれ」
「何で御前にそう言われないといけないんだよ」
「皆な。手前のそうした性格や行動が問題だってわかってるんだよ」
全ては保谷に原因があるというのだ。
「嘘吐くしものも盗もうとする。陰口は言う」
これは全部証拠があった。
「そんなことも止めろ。さもないと最後はとんでもないことになるからな」
「ふん、それでどうだってんだよ」
「忠告はしたからな」
彼は保谷を睨みながら告げた。
「わかったな。本当にとんでもないことになるからな」
「ふん、話は聞いたから行けよ」
陰気だがふてぶてしい態度、開き直ったそれで返す保谷だった。
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