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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1806話

「嘘……だろ……」
「あ、ああ……信じられねぇ……あの身体のどこにあんな量が入るんだよ」
「……マジ……?」

 周囲にいる客達や、俺をこの店に連れてきた不良、この店の店長……そんな者達の視線を向けられつつ、俺は丼にあった最後のスープを飲み干して丼を横に……同じ大きさの丼が3つ重ねられている上に、更に置く。
 1つの丼が5人前のラーメンが入るように出来ている巨大な丼。
 それが4つ。単純計算で20人前のラーメンを食い終わった事になる訳だ。

「ふぅ……」

 スープの余韻を楽しみなら、店主に視線を向ける。
 その店主は、荒垣並み……とまではいかないが、厳つい表情に汗を流している。
 冬ではあっても、ラーメンを作る厨房の温度は相当に高い。
 それだけに汗を流しても不思議ではないが……店主の流している汗が、そのような汗ではないというのは、俺から見ても一目瞭然だった。
 当然だろう。最初に俺がこの店の挑戦メニュー……5人前のラーメンを20分で食べたら賞金5000円というのに挑戦しようとした時、絶対に食べられないから止めておけと言われたのだから。
 だが、俺をここに連れてきた不良は俺なら食えると言い張り、結局挑戦する事に。
 その不良が何を思ってそんな真似をしたのかというのは、俺にも理解出来た。
 ようは、喧嘩で俺をどうにか出来るとは思わなかったので、搦め手を使ってきたという事なのだろう。
 だが……結局店の挑戦メニューは、4回連続で俺にクリアされ続ける事になってしまった。
 そして俺の表情を見れば、とてもではないがもう腹一杯だという風には見えない。
 もう1度挑戦すると言っても、おかしくはないと。
 店主はそう思ってるのだろう。
 実際、俺の腹の具合を考えれば、まだ挑戦出来ない訳でもない。
 そもそも、俺の腹の中に入った料理は全てが魔力として吸収されてしまう。
 人間的な意味で、食いすぎで腹が痛くなるという事は、ないのだから。
 本来なら、2杯程度で止めるつもりだったのだが……この店主、2杯目は明らかに1杯目よりも麺の量を多くした。3杯目にいたってはチャーシューの量が厚くなっていたり、メンマの量が多くなったりしていた。
 そして4杯目ではそれに追加してスープの量までもが多くなっている。
 ……正直なところ、セコいと言わざるを得ない。
 だが、それでいてスープの味付けを濃くしたり、麺をわざと長時間茹ででふやけさせたりといったように、ラーメンの味を壊すような真似をしなかったのは、褒められるべき事だろう。
 もしラーメンの味を壊してでも俺に対抗しようとしていた場合、ラーメン屋として失格だったと言えるだろう。

「ごちそうさん」

 俺の口から出た言葉に、厳つい顔の店主は安堵の息を吐き、周囲で様子を見ていた他の客達からは拍手と歓声が上がる。
 今は昼時な以上、当然のようにこのラーメン屋にはそれなりに客がいて、その殆どが俺が食う様子を見ていたのだ。

「しょ……賞金、2万円だ……」
「悪いな」

 丼と並んだ写真を撮って貰った後で、店主から封筒に入った賞金を貰う。
 2万円。空間倉庫に色々と金目の物が入っている俺にとっては対した事のない金額だったが、普通に暮らしている者にとっては2万円というのはそれなりに大きな金額だろう。
 腹一杯……って訳じゃないが、それでも20人前のラーメンを無料で食べ、それどころか2万円の賞金まで貰えたのだから、今日の俺に取ってはこの昼食は最高のものだったと言えるだろう。
 ラーメンそのものも、それなりに美味かったしな。

「……信じられねぇ……お前の腹の中は一体どうなってるんだよ?」

 俺をこの店に連れてきた不良が、文字通りの意味で化け物でも見るような視線をこちらに向けてくる。
 まぁ、その気持ちは分からないでもない。
 普通なら俺みたいな奴がこれだけのラーメンが食えるとは、とてもではないが信じられないのだろう。

「ま、世の中には色々と不思議な事もあるんだよ。……じゃあ、世話になったな。これからは無謀な真似はしない方がいいぞ」

 ラーメン屋から出ると、この店を教えてくれた不良にそれだけを告げ、別かれる。
 ……もうこの店の挑戦メニューに挑戦は出来ないだろうな。
 店の方でも、絶対に自分達が負けるという勝負はしないだろうし。
 もっとも、この店のラーメンは他の追随を許さない程に美味い! って訳でもなかったのを考えると、駅前から結構歩くんだし、わざわざ来る必要もないか?
 ともあれ、不良と別れると俺は次に何をするべきか考える。
 そして、ふと自分が初めてこの世界にやって来た時にいた神社を思い出す。
 別にそこに行けばホワイトスターに戻れるという訳ではないのだが、それでも何となくあの神社に行こうと思ったのだ。
 ただ、残念な事に、俺はあの神社がどこにあるのかというのを覚えていない。
 場所的に巌戸台だとは思うんだが、あの神社に転移してから色々と歩き回ったしな。
 そんな訳で、何となく……本当に何となくあの神社に行ってみたくなり、そのまま影のゲートに身体を沈み込ませていく。
 そうして巌戸台に……俺のアパートからは結構離れている場所にやってくると、そのまま周囲の様子を眺めながら歩くが……

「うーん、見つからないな」

 30分くらい腹ごなしに歩き続けてみたが、結局神社はどこにもない。
 自分だけで探すのは無理だったか?
 そう判断すると、俺は近くにあるコンビニに入り、ペットボトルのジュースを何本かと、おにぎり、雑誌といったものを適当に買い、店員にこの辺にある神社の場所を尋ねる。

「ああ、長鳴神社ですね」

 ……うん、どうやらこの辺りの人にとってはそれなりに有名な神社だったらしい。
 バイトの店員から話を聞き、そのまま聞いた通りに道を進む。
 すると、やがて神社に続く階段……石段? ともあれそれがある場所に到着した。
 それを上っていくと、やがて神社に到着する。
 うん、俺が転移してきた場所で間違いないな。
 こうして見る限り、結構寂れているが……これが普通なのか?
 2月でまだ季節的には冬だし、そう考えればおかしな事ではない……と思う。
 だが、神社には神主とかそういう人がいてもおかしくないと思うんだけど。
 それとも、ここには誰もいないのか?

「ワン!」

 神社の様子を眺めていると、不意にそんな鳴き声が聞こえてくる。
 うん? 犬?
 そう思って声のしてきた方に視線を向けると、そこには予想通り犬が1匹いた。
 何故か俺の方を見て、尻尾を振っている。
 白と灰色が混ざったような毛並みをしており、珍しいのはその眼だ。
 普通の犬とは違い、赤い。
 赤……つまり、深紅がパーソナルカラーの俺にとっては、馴染み深い存在だった。
 だからだろう。俺の方を見て尻尾を振って嬉しそうに吠えている犬を撫でたのは。

「クゥーン……」

 撫でられたのが気持ちよかったのか、犬は甘えるような声で鳴く。
 そうして撫でていて……ふと、目の前の犬に違和感を抱いた。
 うん? これは……いや、まさかな。
 恐らく気のせいだったのだろうと判断し、空間倉庫の中からソーセージを取り出す。
 犬に味の濃いものを与えるのは駄目って誰かから聞いた覚えがあったが……ソーセージは許容範囲内か?
 疑問を感じるが、実際犬は俺の手の中にあるソーセージを嬉しそうに食べている。

「お前、野良……いや、違うのか?」

 一応首輪を付けているところを見ると、恐らく飼い犬なのだろう。
 だが、犬を放し飼いにするというのは、少なくても日本ではかなり珍しい筈だ。

「クゥン?」

 首を傾げる犬を撫で、改めて周囲を見回す。
 2月の神社という事もあり、特に誰がいる様子もない。

「あー……まぁ、いいか。お前、今は暇か?」
「ワン!」

 尋ねると、まるで俺の言葉が分かっているかのように犬が吠える。
 吠えたタイミングから考えると、もしかして俺の言葉を理解してるんじゃないだろうな。
 ふと、言葉を理解しているという事でグリフィンドラゴンのグリを思い出す。
 そう言えば、あいつも俺の言葉を理解していたな、と。
 まぁ、今の状況で召喚とかをしようものなら、間違いなくこの犬が騒ぐだろうし……いっそタルタロスで召喚するか?
 そうも思ったが、グリの大きさを考えると、タルタロスの中では殆ど身動きが取れないだろう。
 そうして動けない状況でシャドウから魔法を食らうと、無駄にダメージを受けるだけになる。
 ……うん、グリが被害を受けるだけになりそうだし、止めておいた方がいいかもな。
 ああ、でも俺の正体を知っているゆかりになら、影時間に乗せて空を飛ばせても……駄目だな。影時間に地上を移動するといった真似ならまだしも、空を飛ぶなんて派手な事をすれば、間違いなく桐条グループに見つかる。
 けど、そうすると……俺が最初にこの世界に来て、シャドウに襲われているゆかりを助けた時って、結構危なかったのか?
 ゆかりを横抱きにして、空を飛んでたし。
 見つからなかったのは、運が良かったから……それとも、実は既に見つかって、泳がされているだけか。
 いや、後者なら気配や視線を感じてもおかしくはないな。
 もっとも、監視カメラの類を使っているのであれば、話は別だが。
 人の気配は感じ取れても、監視カメラとかだとこっちも存在を察知したりとかいうのは不可能だ。
 勿論スライムを使えばそういうのを見つけるのは難しい話ではないんだが……
 俺に頭を擦りつけてくる犬を撫でながら、そんな風に考える。

「ワン! ワンワン!」

 ふと、撫でられている状態から一旦離れた犬は、そのまま少し離れた場所に落ちていた木の枝を咥えてこっちに近づいてきた。

「うん? どうしたんだ? ……この枝を投げろってのか?」

 犬と遊んでいるイメージから考えてそう告げるが、その答えが正解だったのだろう。
 犬は俺の言葉に嬉しそうに尻尾を振る。
 いや、正確には元々尻尾を振っていたのだが、それまでよりも更に強く尻尾を振る……といった方が正しいか。

「ワン!」
「分かった分かった。……ほら、行くぞ!」

 そう叫び、枝を軽く投げる。
 もっとも、軽くではあっても、あくまでも俺にとってはの話だ。
 真っ直ぐに空を飛んでいく枝は、空気を斬り裂くかのような速度となっている。
 それを見た犬は、それこそ嬉しそうにしながらも、真っ直ぐに木の枝を追う。
 ただ、ひたすらに木の枝を追うその様子は、犬というよりどこか狼を連想させた。
 犬がこうして投げた木の枝やボール、フリスビーといった物を追うのは、半ば本能に等しく、狩りの練習でもある……というのは、誰に聞いたんだったか。
 ともあれ、今の犬はその本能を剥き出しにしたかのように木の枝を追う。
 当然ながら、俺が本気で投げた訳でもない木の枝は、いつまでも飛んでいる訳もなく地面に落ちる。
 そうして速度が落ち、地面との距離を縮めていった頃……犬は素早く跳躍し、木の枝を口で咥える。
 見事着地をすると、どうだ! と言わんばかりに俺に視線を向けてくる。

「おおー……うん?」

 犬の様子に思わず拍手していると、不意にこちらに近づいてくる気配を感じ取る。
 こんな人のいない場所に? もしかして桐条グループの奴か、もしくは俺に恨みのある不良が仕返しにでも来たのか……一瞬そんな風に思ったが、すぐにその考えを改める。
 何故なら、階段を上って姿を現したのは子供だったからだ。
 ……勿論子供というだけで油断はしない。
 シャドウミラーには、エターナルロリータと技術班に呼ばれているエヴァのような存在もいるのだから。
 ……当然それを実際にエヴァに言った者は、氷の棺に閉じ込められていたが。
 同じ棺でも、影時間が終われば元に戻る、棺とは大きく違うな。
 赤いランドセルを背負っているのを見ると、小学生くらいの年齢だろう。
 三つ編み? っぽい髪型を後ろで纏めている。
 シニョン……だったか?
 髪型には詳しくないが、確かそんな感じの髪型だったと思う。……多分。

「あ……」

 その子供は、俺と視線が合うと少しだけ驚いたように声を上げる。
 さて、どうしたものやら。
 一瞬そう思ったが、わざわざ神社までやってきた以上、何か理由があるのは間違いないだろう。

「どうしたんだ?」

 その子供を驚かさないように、出来るだけ優しく声を掛ける。
 それが幸いしたのだろう。その子供は特に逃げ出したり怯えたりせず、こっちに近づいてくる。
 いや、よく考えてみれば今の俺の姿は別に20代という訳ではない。
 だとすれば、この子供にとっては別に怖がられるような事もない……と思うんだが。

「お兄ちゃん、どうしたの? ワンちゃんと遊んでるの? 舞子も一緒に遊んでもいい?」

 ともあれ、その子供……舞子と名乗った人物は、犬と遊んでいる俺に対して羨ましそうな視線を向けながら、そう告げるのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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