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血の付いた大扉

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第三章

「しかしです」
「しかし?」
「それは病気か老衰ですね」
 そうしたものによってというのだ。
「そうなります」
「どうしてそれがわかるのですか?」
「あれで」
 今掃除されている扉の血を指差してミカエラに話した。
「わかります」
「血で」
「はい、ご存知ないですか」
「何も」
 そう言われてもだった、実際に。
 ミカエラは首を傾げさせてこう言うばかりだった。
「知らないですが」
「有名ですが」
「そうなのですか」
「はい、そうです」
「この地域ではですか」
「はい、アイスランド全体で」
 この辺り、ダブリン郊外だけでなくというのだ。
「有名ですが」
「そうなのですか」
「ええと、貴女のお仕事は」
「ハイスクールで数学を教えています」
 ミカエラは神父に自分の職業を素直に話した。
「この地域の」
「学校の先生ですか」
「ポーランドから来ました」
「そうですか、ではご存知ないのも仕方ないですね」
「私がポーランド生まれだからですか」
「はい」
 まさにその通りという返事だった。
「そうでしたら」
「そうですか」
「まあすぐにおわかりになると思います」
 警官はミカエラに微笑んでこうも言った。
「宜しければお話しますが」
「いえ、こうしたことは自分で調べます」
 これがミカエラの方針だ、生徒に聞かれたことは全て答えるが自分のことは自分で調べる主義なのだ。
「ですから」
「そうですか」
「はい、それでは学校に」
「今から授業ですね」
「仕事がありますので」
「では」
「こちらはお願いします」
「わかりました」
 とりあえずやるべきことはやったと思いミカエラは学校に向かった、いつもかなり早く、本来の勤務時間より早く出勤しているので今回はかなり時間がかかったがそれでも出勤時間の本来のリミットにはぎりぎりで間に合った。そして。
 勤務してからネットで血の付いた扉について調べるとだ、意外なことがわかりそれで校長のオーウェンに話した。昼の食事前に校長室に行って。
「実は今朝お隣の家の扉に赤い血がかなりかけられていまして」
「それは」
「はい、先日デュラハンのお話が出ましたが」
「それです」
 まさにとだ、オーウェンも校長の席からミカエラに話した。
「まさに」
「そうですね」
「はい、デュラハンは実は死を知らせる妖精で」
「死ぬ人が出る家の扉にですね」
「自分が持っている桶の中に入っている血をです」
 並々と入っているそれをというのだ。
「扉にかけます、しかし」
「もう一つ説がありますね」
「その家の人が扉を開けるとです」
 その人にというのだ。
「その血をかける」
「その説も読みました」
 ミカエラの方も調べて知っていた。
「確かに」
「そうですね」
「はい、しかし」
「血の付いた扉はですね」
「最初見て驚きました」
 その扉をというのだ。
「本当に」
「そうですね、ですが」
「このことはですね」
「実際にあります」
「このアイルランドでは」
「妖精の国ですから」
 微笑んでだ、オーウェンはミカエラに話した。 
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