Re:童話姫たちの殺し合いゲーム
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竹林の賭博 (2)
一回戦。
『さあ、始めましょうか。どなたをどんな刑で遊びます? ツギハギさま…うふふ』
「そうだな…じゃあ最初は試しで…」
ちらりと竹美姫の後ろにいる豚山羊を見まわす。どいつもこいつもガクブル震えている。一度現世で"死”を迎えたモノでもやはり、"死”の恐怖からは逃れられないということか。
「豚三を【異端者のフォーク】で固定」
『ブヒィィィィ!!?』
『まあ痛みを与えるだけ?』
「賭ける内容は、俺が自由に決めていいんじゃなかったのか?」
『ええ、それはもちろんですが…あまりにもつまらなかったものですから』
拷問好きの変態が。竹美姫は不満そうな表情なまま『仕方ありません、私も山羊四を【異端者のフォーク】で固定にします』と言った。
それを合図に観客はカードに【グー】 【チョキ】 【パー】のどれかを書いて順番に投票箱の中へ入れていく。
このじゃんけんで【グー】 【チョキ】 【パー】すべてが揃うことは稀だ。三枚しか引けないのだから、【グー】二枚で【パー】一枚で、偏ることがはるかに多い。もし自分の手札に【グー】が多ければ、全体的に【グー】が多いということになる。
相手も【グー】が多いからこちらは【パー】を出す。大体そんな不確かな読み合いのギャンブルだ。
『決めました? では合図で同時に出しましょう』
「『じゃんけん、ポン!』」
―俺は【グー】 竹美姫は【チョキ】
『……ぁ。まずはツギハギさまの一勝です。おめでとうございます』
「どうも」
『ブヒィィィィ!!』
上の豚達が末の豚の両脇を掴み抑え込み縄で縛りあげる。豚三の顎の下と胸骨に、フォークのように先端が裂けたものを突き刺す、激痛が伴い『ブヒィィィィ!!』鳴き暴れる豚三を抑え込み、【異端者のフォーク】が首から外れないように短いベルトで固定する。
「わぁああ♪」
「ひいい…うう」
楽しそうに瞳を輝かせ、食い入るように見つめる赤ずきんとその対照的に、引きつった顔で顔を逸らしながらも視線が釘付けのピノキオ。
『要領はこれで分かりましたでしょう。さあ、どんどんまいりましょう』
二回戦。
「そうだな…じゃあ次は……山羊二を【アイアンメイデン】に入れる」
『まあ…』
『メエエエエェェ!!?』
『……え』
さすがに山羊七も反応するか。自分の兄が目の前で殺されるかもしれないんだからな。でもお前の主は『やっとこのゲームの趣旨を分かっていただけましたか、うふふ』とでも言いたげな、笑みを浮かべているけどな。
『では、私は…山羊六を磔にしましょうか』
竹美姫の言葉を合図にまた、観客達がカードを書き順番に投票箱に入れていく。それを互いに三枚ずつ引く。
―この勝負で二か六、どちらかの山羊が"死ぬ”
『では準備はよろしいかしら?』
「『じゃんけん、ポン!』」
―出した手は互いに【グー】 【あいこ】だ。
『あら…【あいこ】です。もう一回ですわね』
「『あいこでっしょ!』」
―俺は【チョキ】 竹美姫は【グー】
『『ベェエエエ!!!』』
『やりました、私の勝ちです♪』
「ツギハギさん…」「あーあ」
「負けたか。ま、どちらにしろ負けだったけどな」
と言いながら竹美姫に二枚の【チョキ】見せる。
『うふふ。大きな勝負をとれて良かったですわ』と言う竹美姫をよそに、処刑の準備が進められる。『メェェエ』と鳴いて暴れる、山羊六は無理やり十字架を模した丸太に縛り付けられ、磔にされた。そして黒羊達が火の矢を放った。
『メメェエエエ!!』と鳴く山羊六の断末魔とボウボウ勢いよく燃え上がる炎。その光景を見る他の黒羊達は拍手喝采。『やはり、見てるだけ…なんてつまらないですもの。参加するほうが楽しいですわ』と竹美姫は瞳を紅く輝かせる。
三回戦。
『では次は誰をお賭けになります?』
「じゃあ、豚一の右ひずめを切り落とす。親指つぶし機が使えないから、その代わりに」
『ナイスアイディア! ですわね。では私も真似して、山羊四の両手足のひずめを切り落としましょう♪』
観客達がカードを書き、投票箱に順番に入れて、俺達が引く。
「『じゃんけん、ポン!』」
―俺が【パー】 竹美姫は【グー】
『おめでとうございます。ツギハギさまの勝ちですわね』
『ブヒィィィィ!!』と暴れる豚一の右ひずめを切り落とす。
四回戦
『次はどうしましょう?』
「そうだな…じゃあ…もう一度、アイアンメイデン。今度は山羊三を」
『まあ面白い♪ ツギハギさまのそうゆうところ好きですわ』
「どうも。で、あんたは」
『では私もアイアンメイデン。今度こそ山羊四を♪』
『メェエエ…』
観客達がカードを書き、投票箱に順番に入れて、俺達が引く。
「『じゃんけん、ポン!』」
―互いに出した手は【パー】 【あいこ】だ。
『ふふっ気が合いますわね、私達。次、いきましょうか』
「『あいこでっしょ!』」
―俺が出したのは【グー】 竹美姫は【パー】
『やりましたわ! また私の勝ちですわね♪』
嬉しそうに喜びの笑みを浮かべる竹美姫。その横では山羊四が、聖母マリアをかたどったともいわれる女性の形をした、高さ二メートルほどの大きさの、中が空洞の人形に吸い込まれていく。左右に開く扉からは、長い釘が内部に向かって突き出している、本体の背後の部分にも釘が植えられているようだ。この中に入れられた犠牲者の悲鳴は外に漏れないように工夫されている。中に入れられた山羊の鳴き声はもう聞こえない。あるのは底からじわじわと流れ出る真っ赤な血くらいだ。
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