提督はBarにいる。
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
夏の素麺レシピ特集・その4
「はいお待ち、『じゃじゃ麺風そうめん』だ。見てわかると思うが、上にかかってる肉味噌と麺をよく絡めて食ってくれ……あぁそれと、おろしにんにくとか生姜、酢、ラー油なんかを加えて自分好みの味付けに変えて食うと更に美味いぞ」
俺の説明を聞いて、まずは味見を……と麺をかき混ぜ始める一同。キュウリと素麺、肉味噌がよく絡まったらズルリと一口啜り上げる。
「うん、美味いな」
「少し甘めの肉味噌がいいですね」
「でももう少しパンチが欲しいかな?」
わいわいと味の印象を語りつつ、めいめいニンニクやラー油、酢を加えて自分の最高の味付けにしていく。味が決まればそこからは早かったけどな。本来のじゃじゃ麺は太くてコシのある饂飩であるために一気にズルズルと啜るのは難しい。しかしコイツは細くて喉越しの良い素麺だ。無くなるのも早い。どいつもこいつも一気に完食してしまった。
「さて、じゃあコイツのシメをやるとするか。全員、皿をこっちに寄越しな」
俺は受け取った皿にお湯を注ぎ、取っておいた肉味噌を投入。そこに生卵を1人につき1個、落としてやる。
「はいよ、じゃじゃ麺のシメの定番、鶏卵湯(チータンタン)だ。皿にこびりついてる肉味噌なんかも一緒に混ぜて溶かしながら、卵をかき玉にして飲むんだ」
そうしてやれば皿の汚れもある程度落ちるし、店にとっても一石二鳥のメニューだったりする。それに、じゃじゃ麺を食う時に加えた調味料によって、スープの味が変化する。酢とラー油を加えていれば酸辣湯風に、ニンニクや生姜を入れていれば身体の温まる薬膳スープ風とかな。
「うぅむ、麺も美味かったがスープも美味い。一度に二度美味しいとはお得に感じるな」
「飲んだシメに食べたくなりそう!」
「あ、それわかる!」
「これはいいかも知れませんね……肉味噌はある程度作り置きも出来るでしょうし」
鳳翔も気に入ったらしい。ならこの調子でどんどんいこう。
《ゴマドレッシングで!?冷し担々麺風そうめん!》※分量3人前
・めんつゆ(3倍濃縮):150cc
・水:450cc
・ゴマドレッシング:150cc
・そうめん:300g
・チンゲン菜:2株
・挽き肉:200g
・白すりごま:50g
・ラー油:適量
さぁて、作っていくぞ。まずは1分で出来る担々麺風のタレの調合から。ボウルにめんつゆ、水を入れて少し濃い目のつゆを拵える。そこに加えるのがサラダにかけるゴマドレッシング。めんつゆと同じ量にしてあるが、メーカーによって味が違うからそこは自分の家にある奴を使って調整してくれ。更にすりごま、ラー油を加えたらタレの完成。すりごまも好きな量に調節してOKだ。
タレは出来たら冷蔵庫に入れてキンキンに冷やしておくと美味さ倍増だ。その間に具材の支度をする。チンゲン菜はしなっとするまで茹でておき、挽き肉は炒めて塩コショウや醤油、酒などを使って軽く味付けしておく。あんまり味を濃くすると、タレのバランスが崩れるからな。他にもモヤシをサッと茹でて乗せたり、高菜を刻んで乗せたりしても美味いぞ。
さぁて、仕上げだ。素麺を茹で上げて流水で洗って〆たら、スープを器に盛ってそこに水気を切った素麺を入れる。炒めた挽き肉やチンゲン菜等のトッピングを乗せ、仕上げにお好みでラー油を垂らせば完成だ。
「あいよぉ、『冷し担々麺風そうめん』お待ち」
よく冷えたゴマの風味たっぷりのスープが素麺に絡み付き、挽き肉やチンゲン菜がそれを盛り立てる。このスープに浮かんでいると、素麺もさながら細麺タイプの中華麺に見えてくるから不思議だ。
「ん~!ゴマたっぷりで最高だね!」
「さっきのじゃじゃ麺はシメに食べたいですが、これならランチでもイケそうです」
大和の一言に俺は閃いた。そうか、ランチにだすならお洒落にパスタ風ってのもアリだな。どれ……作ってみるか。
《冷製パスタ風そうめん3種!》※分量はそれぞれ2人前です
(和風バジリコ風そうめん)
・素麺:200g
・大葉:12~14枚
・めんつゆ(濃縮タイプ):大さじ2
・トマト(小さめの奴):2個
・ツナ:お好みで
・オリーブオイル:大さじ2
・塩:適宜
(スパイシーアンチョビそうめん)
・素麺:300g
・トマト:1個
・アンチョビ:10切れ
・レモン汁:大さじ2
・塩:少々
・チリパウダー(無ければ一味):適量
・オリーブオイル:大さじ1
(ツナマヨパスタ風そうめん)
・素麺:200g
・ツナ缶:2缶
・めんつゆ(ストレートタイプ):大さじ2
・マヨネーズ:大さじ4
・玉ねぎ:1/2個
・梅干し:2個
・白いりごま、ブラックペッパー:お好みで
(和風バジリコそうめんの作り方)
まずは大葉で作るバジリコパスタ風の素麺から。大葉を細かく刻み、オリーブオイル、めんつゆと和える。塩加減は適宜塩を加えて調整。
トマトを食べやすい大きさに切り、素麺を茹で上げて流水で〆たら、しっかりと水気を伐った後で大葉のソース、トマトと和える。
器に盛って、油切りしたツナを乗せたら完成。お次はアンチョビを使ったスパイシーな一皿を。
(アンチョビそうめんの作り方)
トマトを角切りにして、アンチョビも刻む。素麺を茹で上げて流水で〆て、暫く水に付けて置いておく。
ボウルにレモン汁、塩、オリーブオイル、チリパウダーを加えて混ぜ、ソースのベースを作っておく。
ソースのベースが出来たら、水気をしっかりと切った素麺とアンチョビ、トマトを入れて和える。盛り付けて、仕上げにお好みでブラックペッパーやバジル、パセリ等を散らせば完成。最後はツナマヨと和えたサラダスパゲティ風の一皿だ。
(ツナマヨパスタ風そうめんの作り方)
玉ねぎはスライスしておき、辛いのが苦手なら水に晒しておく。梅干しは種を取り除き、叩いて梅肉に。
ボウルに玉ねぎ、梅肉、めんつゆ、マヨネーズ、油切りしたツナ缶を加え、よく混ぜる。そこに茹で上げてしっかりと水気を切った素麺を加えてよく絡ませる。
器に盛って、仕上げにブラックペッパーといりごまを散らせば完成。
「今度はパスタ風に仕上げてみたぞ。ってかこんだけありゃ鳳翔の店でも困らないんじゃねぇか?」
「そういえば……」
「目的はそれでしたね」
「おい」
大和と武蔵の言葉に思わずずっこけそうになる。二航戦の2人はともかく、お前らまで忘れてたんかい。でもまぁそんだけ夢中になって食ってくれる位美味かったって事か。
「そうですね。これだけレパートリーがあればどうにかなると思います」
「そっか。ならいいんだけどよ」
こんなにレシピを伝授して大丈夫なのかって?まだまだレシピは沢山あるし、教えた分新しく考案すればいいさ。後日、鳳翔に売れ行きを聞いてみた所、ランチの好評メニューになって余り気味だった素麺が足りなくなり、追加注文まで掛けているらしい。本末転倒な気がするが……まぁいいか。
ページ上へ戻る