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異世界に転生したら、強くてニューゲームでした。(編集中)

作者:イリア
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召喚!《サモン!》

---朝。

とっくに太陽は登って部屋を明るく照らし、窓の外では小鳥(青)が鳴いていたけれど、僕はまだベッドの上でグズグズしていた。

何分か前に、シャノンが僕を起こしに来たけれど、タヌキ寝入りを決め込み、なんとかやり過ごした。

毎日の朝ご飯の担当は、カノンである。彼女の作る離乳食は、最近粉ミルクから離れたばかりの僕の心を鷲掴みにした。

見た目も可愛らしく、もちろん味は素晴らしい。生きていた頃、ドロドロしていて、あんなもん美味しいのか、と思っていた僕だけど、実際赤ちゃんになってみると悪くなかった。歯の生えきっていない僕には丁度いい。

「グゥゥゥゥ……」

お腹がなる。空腹は辛い。やっぱり起きたらよかったかな、と早くも後悔し始めたとき、足音が近ずいてきた。

《ガチャッ……》

「イヴお坊ちゃん、おはようございます」

扉を開けたのはカノンだった。肩甲骨辺りまでの黒髪を今は耳の下で2つにし、手にはお盆を持っている。

(あれは…、朝ごはんの予感っ……!)

薄眼を開けて確認し、たった今起きたフリをする。

「………う?おあよーカノン…」

寝起きっぽさを出すため、目を擦りながら挨拶する。我ながらいい演技。

1人自己満足に浸っている僕のベッドの前にいすを置き、カノンはお盆に乗せられたお椀の蓋を開ける。

お粥をもっと薄くしたものの上に、ササミと海苔をのせたご飯。ササミをお粥の上に盛り付け、上から海苔でクマを作っている。

因みに、昨日の朝ご飯にはネコがいた。

銀のスプーンにお粥をひと匙すくい、僕の口に運ぶ。最初は誰かに食べさせられるなんて慣れなかったけど、今ではすっかり普通になってしまった。なんだか、どんどん幼児化していってる気がする……。

お米とササミと海苔。材料は少ないし、味付けも薄いけど、今の僕にはとても美味しかった。

20分ほどで完食し、カノンがお椀を片付ける。お盆を持ち、部屋を出ようとしたカノンは、そこでふと思い出したようだ。

---何を?

僕にとって避けたい用事を。出来ればそこで時間を止めてしまいたかったが、生憎そんな魔法は知らない。どうにか出来ないかと足りない脳をフル回転させるが、まぁどうにか出来るはずもない。

「あ、そうでした。イヴお坊ちゃん、お父様とお母様がお呼びでしたよ。後でシャノンをこちらに伺わせますね」

では、失礼しますと言ってカノンは下がった。

「…………っはぁ、はぁ、」

極度の緊張で息を止めてしまっていた。必死で空気を貪り、息を整える。

(お母様と話すだけなら、良いんだけどなぁ……。)

いつも忙しいお父様とは、あまり接する機会がない。ダレンお兄様の稽古を、お母様に連れられて見たことがあったけど、すごく怖かった。だかた、僕の中でお父様のイメージは怖い人、となっているのだ。

窓の外をみると、小鳥(青)が2羽に増え、お互いを追いかけていた。

(……平和だなぁ)

最早出来ることといえば現実逃避しか見当たらず、僕は脳を平和脳に切り替えた。

(うん、なんとかなるよ。お母様、昨日うれしそうだったし。大丈夫、大丈夫)

無意識のうちに手のひらに『人』を3回書き、飲み込んだ。

《ガチャッ……》

とうとうきた。予想通り、そこにいたのはシャノンである。

「お父様とお母様がお呼びですよ、イヴお坊ちゃん。居間の方に行きましょう」

ベッドに座りこんでいる僕を抱き上げ、シャノンは居間に向かった。




想像していたような、お金持ちの家で見られるよく分からない彫刻や銅像はなく、すっきりと上品なのがこの家の居間だ。太陽の光をしっかりと受けられる設計になっていて、明かるい。

白を基調にし、所々にはアクセントに金箔が貼られている。丁度、『どうぶつの森』のロイヤル家具のようだった。あれ、ハマってたんだよね(笑)

絵画の代わりに壁に掛けられているのは僕ら子どもの写真ばかりで、温かい雰囲気を出している。

部屋の中央に置かれた白いソファーに、お父様とお母様はゆったりと腰掛けていた。

僕は、シャノンに連れられてそこへ近づいた。心臓がうるさかった。

「おはよう、イヴ」

お父様が言う。想像していたよりもずっと温かい声色で、ビクビクしていた自分が可笑しかった。お兄様の稽古のときは、ホントに怖いって思ったのに。

「おあよーごじゃいます、おとーしゃま。おかーしゃま」

「おはよう、イヴ。昨日はよく眠れた?」

困った顔で、首をふるふると振ってみせる。今日が恐ろしくて眠れなかったなんて言わないけど、お母様は違う方向に勘違いしたみたい。

「そうよね、魔法を使った後はアドレナリンがどうしても出るもの。しかも、木龍なんか…」

ホントは違うんだけど、そういうことにして話を合わせる。

「イヴ、エリスから聞いたんだが…」

そら来たっ!僕は身構える。

「昨日、魔法を使ったそうだね?」

「はい、おとーしゃま」

目を合わせた。お父様も、僕をじっと見ている。

「私にも、見せてくれないか」

……まぁ、想定していたことではある。最悪の結果(お説教タイム)にならなかったぶんだけマシだと言い聞かせ、指先に魔力を集めた。

僕「ストロム・ロン!」

床に、あの魔法陣が現れた。 
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