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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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618部分:第四十八話 厳顔、主を見つけるのことその四


第四十八話 厳顔、主を見つけるのことその四

「幽州での烏丸との戦いで功績を挙げたのだったな」
「むっ、そのことを知っているのか」
「そうだったのだ」
 女の言葉に関羽と張飛も眉を動かした。
「遠く益州にいてもか」
「それを知っているのだ」
「話は聞いておる」
 女は二人にも答えた。
「天下のことはおおよそ知っておるつもりだ」
「相変わらずね、そうしたところは」
 その女にだ。黄忠が微笑んで言ってきた。
「桔梗の耳がいいのは」
「ふむ、久しいな紫苑」
 女は黄忠の顔を見ると微笑になった。
「御主もおるか」
「最初から気付いていたのではなくて?」
「そうじゃがな。しかし御主がおると話が早い」
「そうね。昔馴染みがいるとね」
「では名乗ろう」
 ここでだった。女は一同にこう話した。
「わしの名は厳顔という」
「ああ、名前は聞いてるさ」
「ここの太守様ですよね」
「左様」
 馬超と馬岱の言葉にも微笑んで返す。
「とはいってももうすぐ太守を辞するがな」
「それは魏延から聞いていたが」
 趙雲が厳顔のその言葉に応える。
「それは何故だ?」
「うむ、ここのことも気懸かりだが」
「それでもなのか」
「そうじゃ。中原が乱れようとしている」
 厳顔はこのことも知っているのだった。
「それをわしなりに何とかしたいと思ってな。中原に出てじゃ」
「それでなのか」
「そうじゃ。そこでわしに合う主の下で戦おうと思ってじゃ」
「それでしたら」
 劉備がすぐに厳顔に話した。
「孫策さんはどうですか?」
「ふむ。悪くはないのだがな」
 厳顔は孫策の名前を聞くと少し考える顔になって述べた。
「じゃが」
「何かありますか?」
「わしは泳げぬのじゃ」
 そうだというのである。
「孫策殿のところは水軍が主じゃな」
「そうよ」
 その通りだと答えたのは黄忠だった。
「黄蓋殿もおられるし」
「おお、あの御仁もおったな」
 厳顔の顔が明るくなる。
「懐かしいのう」
「黄蓋殿ともお知り合いなのですか」
「ふむ、若い頃何度か会ったことがある」
 関羽に答えながら笑顔で茶を飲む。
「心地よい人物じゃな」
「そういえばこの二人似てるのだ」
「そうだよな」
 張飛と馬超がここで話す。
「喋り方といい」
「酒好きみたいだしな」
「そういえばそうじゃな」
 それは厳顔自身も認めることだった。
「わしと黄蓋殿は似ておるわ」
「そうだな。しかし貴殿は泳げないのか」
「そうなのじゃ」
 厳顔は趙雲の指摘に曇った顔を見せる。
「だからじゃ。わしは孫策殿のところはな」
「そういうことか」
「曹操殿や袁紹殿はじゃ」
 厳顔はその二人の名前を出した。
「会わぬのがわかるからのう」
「二人共個性が強いからね」
 黄忠もそのことはわかっていた。
 
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