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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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617部分:第四十八話 厳顔、主を見つけるのことその三


第四十八話 厳顔、主を見つけるのことその三

 そして翌朝である。一行は城の中の太守の屋敷に向かった。その途中である。
「全く。昨日はだ」
「あんたのせいでね」
 魏延と馬岱が憮然とした顔で見合って言い合っている。
「寝不足ではないか」
「夜遅くまで言い合ったせいでね」
「御前がそもそもだ」
「何よ、私が悪いっていうの!?」
「そうだ、悪い」
「悪いのはあんたよ」
 こんな調子である。道の中でも言い合う二人だった。
 しかしそんな話をしている中でだった。一行は厳顔の屋敷に来た。その屋敷を見るとだった。
「質素だな」
「そうなのだ」
 関羽と張飛がその屋敷を見て言う。確かにその屋敷は他の太守のものに比べてかなり質素だった。壁も瓦も全てがそうだった。
「厳顔殿は贅沢は好まれないようだな」
「だとしたらいいことなのだ」
「これが普通ではないのか?」
 魏延はそれを聞いて少しきょとんとした顔になって言った。
「太守の屋敷は」
「全然違うぞ、それは」
 馬超が話す。
「あたしの家ずっと立派だったけれどな」
「そうよね。馬家の屋敷って凄かったから」
 それは馬岱も言う。
「涼州の牧だったしね」
「この屋敷は」
 馬超はさらに言う。
「涼州のどの太守の屋敷よりも小さいな」
「だよね。こんな小さな太守の屋敷はじめて見たよ」
「幽州にいた時の私の屋敷と同じ位か」
 趙雲もこんなことを言う。
「これ位だとな」
「桃々ちゃんのところにいた時ね」
「桃香さん、また真名間違えてるわよ」
 黄忠がすぐに突っ込みを入れる。
「それは」
「あっ、すいません」
「ううむ、公孫賛殿はな」
「いつも間違えられて可哀想なのだ」
 関羽と張飛もその公孫賛に同情する。
「まあとにかくだ」
「ここは屋敷の中に入るのだ」
 こう話してだった。一行は厳顔の屋敷に入る。するとだった。
 すぐにだ。紫の波がかったやや長い髪に大人の顔をしている。細く形のいい切れ長の眉は髪と同じ色で目は勝気な漢字の琥珀の色だ。
 脚がかなり露わになっている黒い服は胸が実によく見えている。かなりの巨乳だ。赤紫の帯はリボンの様子になっており髪にはかんざしがある。
 そして左肩に酸と書かれた肩当がある。その彼女が一行を出迎える。一行は屋敷の中の広間で茶を前にして話をするのだった。
 彼女はだ。すぐに魏延を見つけて言うのだった。
「何じゃ、御主暫く見ぬと思っておれば」
「はい、桔梗様」 
 魏延はその女に右膝をつき右手の平に左手を拳にして合わせて応える。
「私は今はこの方と共にいます」
「共にか」
「はい、この方とです」
 こう言って劉備の方を見るのだった。
「劉備様とです」
「劉氏か」
 それを聞いてだ。女の顔がぴくりと動いた。
「では皇族の方は」
「何かそうみたいです」
 劉備はおっとりとした調子で答える。
「名前は劉備玄徳といいます」
「聞いたことがある」
 女はまた言うのだった。
 
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