世界をめぐる、銀白の翼
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第五章 Over World
それだけが、ただ一つの方法
ギィ・・・ギギギギギギ・・・・ギン――――
空で、そんな音がする。
翼刀が衰弱した唯子を抱えて、ワルプルギスの夜から黄金の閃光とともに飛び出してきたのを確認し、蒔風が携帯で翼刀に連絡を入れた。
「そのままいけば、先になのはがいる。二人とも、そこで下がってな」
『え?なのはさんに唯子任せたら俺も・・・・』
「唯子は疲弊してるんだろ?お前がついてないとダメじゃないのよ」
『う・・・・』
「城戸さんとセイバーも!!他のみんなも、なのはの方に向かっていてくれ!!!」
「わかりました」
「おっけ!」
更に龍騎たちにも大声を出し、下がるように言う蒔風。
だが、蒔風の隣にアンクが降り立ち、その後にオーズもやってきた。
何か言いたげなアンクだが、蒔風はそれを知りながら「どした?」と首をかしげて聞いてみる。
「アンク待てって!どうしたんだよ一体」
「オイ・・・あれ終わってねェだろ」
「え!?」
後を追ってきたオーズを無視して、アンクが蒔風に詰め寄る。
それを聞いても蒔風は力の抜けた笑顔を向けてまどかたちにも大声をかけていく。
「君たちもー!!あっちにお姉さんたちがいるから!!翼刀にソウルジェムでも浄化してもらえー!!」
「オイ!無視すんじゃねぇ!!」
ヘラヘラとし続ける蒔風の肩を掴み、強引に自分の方へと振り向かせるアンク。
その光景に、変身を解いた映司はあたふたとしながらもアンクの手を放させた。
「やめろって!お前いつもそーやって無理矢理」
「お前は黙ってろ。こいつに話がある」
「・・・・・」
蒔風と正面から向き合うアンク。
だが蒔風はチラリと視線を逸らす。魔法少女たちがなのはの方へと向かうのを確認して、視線は戻さずに話を始めた。
「・・・・そうだ。ワルプルギスの夜は終わってない」
「!!」
「やっぱか・・・・だったらなんであいつら下げさせる?」
「危険だ。唯子には翼刀がついてないとだし、城戸さんもセイバーも足止め戦で消耗している。彼女たちも、戦わせるわけにもいかないしな」
蒔風の言葉に、映司が上空を見上げる。
ワルプルギスの胸に開いた、砕け、焼けたような大穴が、ワシャワシャと修復を開始していた。
さらに、身体が回転している。
ゆっくりだが、確実に。逆さまだったその上下を、元に正そうとするかのように。
「身体に損傷を与えられても、たとえ追い返すことができても、そのエネルギーは尽きないだろうな。ワルプルギスの夜を根元的に滅ぼすことは、できないのかもしれない」
「やっぱりね」
「な・・・・」
蒔風の言葉に、暁美ほむらが応えた。
見るといつの間にか、五人とも彼の後ろに立っていた。
「こら。魔法を使いすぎるとジェム濁っちゃうぞ?さっきの戦闘で、一撃に相当乗せてたろ」
「まだ大丈夫よ。もともと持ってたグリーフシードもあるし」
「・・・さいで」
「そんなことより、ワルプルギスの夜が終わってないって?」
「ああ・・・・見ろよ。回転してんだろ?」
蒔風は静かに、ワルプルギスの夜を指さした。
歯車が回転するような音を鳴らしながら、ワルプルギスの夜が秒針のように回っていく。
「胸の傷も治ってきてるし・・・・あの規模の攻撃、後何百発すれば倒れることやら・・・・」
「倒すために戦ってたんじゃねェのかよ?そもそも、なんでお前ら戦ってたんだ?」
「(ザッ)それは綺堂唯子を取り戻すためだ」
アンクが問い、蒔風のとなりにショウが着地すしてそれに答えた。
アンクと蒔風の間に立ち、詰め寄る両者を少し離す。
「最初からそう簡単に倒せないことはわかっていたんだよ。な?」
「・・・あくまでもこれは『綺堂唯子救出』の作戦。その過程に、翼人として許容できない存在がいたから撃破して、あれを貫くのに必要なきっかけの一撃が欲しかったから、魔法少女の彼女たちも戻した」
まあ純粋に助けたかったのもあるが、と最後に一言付け加え、蒔風が少しくたびれた笑顔で言う。
それを見て、ショウは「おかしい」と言わんばかりに首をかしげた。
「ん?お前・・・・あいつ倒す算段ついてたんじゃないのか?」
「・・・・オレがつけていたのは、彼女たちの復帰。インキュベーダーの撃破。唯子の救出。それだけだ」
「な・・・・俺だってこの後どうするか何もわかんねェンだぞ!!」
「そうだよな~。ちょっと前まで少しは原典知識あったのに、今はもうほとんど覚えとらんし」
「お前どうすんだ!!ワルプルギスの夜が正位置に戻ったら大変なことになるんじゃなかったのかよ!!」
「そうそう。そう言うことは覚えてるよ」
「あんなもん、真正面から叩いたらキリがねぇんだぞ!?」
掴みかかろうとしてくるショウ
待った待ったと掌を出して、蒔風が少し下がる。
「ああ・・・・まさか相手をここまで本気にさせてしまうなんて思わなかったよ」
「あれが正位置になるのは計算外だったと?」
「そうだな・・・・」
トンッッ
蒔風がショウを押す。
いきなりの行動に、ショウは足を取られて後退してしまう。
「だから、さ」
「な・・・」
「下がってろって、言ったんだ」
ドグシャァッッッ!!!
ショウの目の前に、真っ黒な塊が叩き落とされていた。
それはワルプルギスの触手であり、蒔風を真上から踏み潰すように、まっすぐに叩き落されていた。
「蒔風!!」
「オイ!!」
「蒔風さん!!」
ショウたち三人が叫び、後ろで魔法少女たちが武器を構える。
見上げると、ワルプルギスの夜はすでに正位置へと回転を終了させていた。
「この野郎・・・・」
「――――てよ」
「!?」
魔導八天を取りだし、ワルプルギスの夜に向かおうとするショウだが、消えるような声が聞こえてきて踏みとどまる。
見ると、叩き落とされた触手が少しだけ浮き上がっている。
その真下には蒔風が、上腕と背中で受け止めるようにそれを押し上げていた。
「ったく・・・この身体でまだ助かった・・・・」
「お前――――それは・・・・!!!」
蒔風の胸ポケットが、その中のソウルジェムが輝いていた。
今の蒔風がこの一撃に耐えられたのはひとえにそのおかげだ。
蒔風は開いた左手で剣を掴み、抜刀で触手を斬り、ビルの下に落とした。
ボタボタと血を流す蒔風だが、それを拭った跡には傷は一切ついていない。
クルン、と回って剣を構え、蒔風がワルプルギスの夜を睨み付けて不敵に笑う。
「ショウ。みんなを頼む」
「バ・・・・テメェ一人で相手にできる相手かよ!!」
「そうです!!魔女が相手なら、魔法少女の私たちの出番です!!」
「ショウ。連れて行け」
キィィィィいいいいい――――キュボゥッ!!!
「行け!!!」
ドォンッッッ!!!
ワルプルギスの夜の、口角の上がりきった口から高エネルギー砲が発射された。
蒔風はそれの下をくぐるように屋上から飛び出していき、ショウたち八人は後ろへと下がらされていた。
「放せ青龍!!」
「ダメです・・・・あなたは・・・・彼女たちを連れて・・・・!!」
「許容できるかバカ!!迦楼羅に喰わせんぞ!!!」
ショウを抑えながらも屋上から、蒔風とは正反対方向に下がらせるのは青龍だ。
アンクと映司はまとめて獅子に
後の五人も、一人ずつがついてさげられていっていた。
「今はとにかく距離を取ります!!」
「ここは近すぎるからの!!」
「迂回して行くぞ!!ヘマすんじゃねェ・・・ぞ!?」
放せ放せと暴れる杏子を肩に担ぐ天馬。
その声が、驚愕に詰まる。
目の前に襲来してきたのは、ワルプルギスの夜による触手の鞭だ。
裏をかかれたわけじゃない。
視界の外から振るわれたわけでもない。
目の前から 真正面から
ただ、気配を察するより早く、反応して回避するよりも早く、それは振るわれただけだ。
「ッ!!下がれ!!ヅォッ!?」
天馬は即座に杏子を背に回し、自身の剣を取り出してそれで身を護る。
だが信じられないほどの重撃に、全身の骨から内臓のすべてが揺れ、背中の杏子ごと一緒に吹き飛ばされていってしまう。
「佐倉さん!!!」
「巴さん、ダメです!!」
吹き飛んでいく彼女たちを受け止めようと、マミが朱雀を踏み台し、リボンを展開していった。
それは二人の身体を受け止めるようにネットのように編まれたもので、無事にそれをキャッチする。
「これで・・・キャァッ!?」
だが、その後が無事ではない。
その程度では全く勢いは衰えることがなく、むしろマミですらも一緒に引きずられてしまった。
「クッ!!ぐぼっ!?」
それを、朱雀が獣神体になって腹で受け止めた。
二人は朱雀に深々とめり込み、ミシミシと音を立てた挙句に一つのビルに突っ込んでそれを倒壊させてしまった。
「マミさん!!杏子!!」
「よそ見してはいかん!!」
それを見てさやかが叫ぶが、玄武が無理矢理ひっつかんでその場からさらに離脱する。
しかし、それを読んだかのように真上から触手が唸りを上げて叩き落とされた。
剣を投げて斬り捨てようとするさやかだが、二本ほど投げたところで玄武に掴まれてしまう。
投げられた剣は触手に当たり、傷の一つもできずに砕けて散る。
「な・・・・」
そして直撃。
それを、玄武の獣神体が甲羅で受ける。
「ゴッオ!?・・・硬度が違いすぎ・・・るッ!?」
ゴォンッッ!!
「さやかちゃん!!」
真下に落とされた玄武とさやか。
それを見て、まどかは矢を次々と放って言っていた。
麒麟に抱えられたまどかはその体勢からでも弓を引き矢を放つが、ワルプルギスに当たったところでバキン、と小さな音を立ててそれは砕けてしまった。
「効かない!?だってさっきは・・・・」
「しゃべらないで。舌をかむので!!それよりもつかまってください!!」
相手の戦力を目にし、驚愕するまどか。
麒麟は獣神体となって背にまどかを乗せると、鞭の隙間を縫ってその場から離れていく。
一方、ほむらはその固有魔法で、確実に鞭を回避していた。
「便利だねぇ~」と感嘆の声を上げるのは、彼女を下がらせた白虎だ。
しかし、そうして見るとワルプルギスの夜の鞭はもはや一本ではなかった。
背後から左右に三本ずつ、計六本。
それが縦横無尽、上下前後左右などお構いなしに振るわれていた。
鞭の残像は球体を徐々にえがいていき、破壊を存分に振り撒いて行っていた。
「火野殿、アンク殿!!直ぐにこの中に―――――!!!」
変身を解いてしまっていた映司とアンクを、獅子が即座に獣神体へと変化して守る。
そのたてがみの中に二人を入れ、大地を疾走してワルプルギスの攻撃から逃れていく獅子。
「もう少し・・・ヴブゥァッ!?」
が、横っ腹から触手を叩き込まれ、地面を抉って転倒する獅子。
映司は彼を案じて出ようとするが、獅子が怒鳴ってそれをやめさせた。
「出てくるんじゃない!瓦礫でも飛んできたら一瞬でミンチだぞ!!!」
獅子はその殴打の中、何とか立ち上がって先に進む。
吹き飛ばされたものの、その攻撃刃にから出れたのは僥倖だった。
ヨロヨロとしながらも、獅子はそこから離れていく。
「無事なの、他にいるか!?」
「ボクはダイジョブ!!」
離れた位置のビルの屋上に、麒麟と白虎が人型になって着地する。
青龍はまだ来ていないが、恐らくショウに手間取っているのだろう。
それと一緒に、連れてこられたまどかとほむらは目の前の光景に絶句していた。
もはや、嵐と言うにも生ぬるい。
しかもその広がる速度は、ワルプルギスの夜の移動速度よりも早いのだ。
「攻撃範囲が広がってる・・・・」
「くそ!!あのバカ無茶だろ絶対!!!」
罵倒の言葉と共に、青龍とショウが合流する。
どうしようもない
そんな言葉だけが、脳内に浮かんでは、否定しようと消える。
「オイ・・・蒔風はどうなってる!?」
「あ、あそこ!!」
ショウの言葉に、まどかが指を指す。
―――――コォッ・・・・・
その方向では、銀白の光が輝き、そして即座に掻き消えていく光景があった。
それを見て青龍たちが、各々の武器を手にして進む。
「お前らは行くのか」
「今は十五天帝が・・・・そろっていない状態・・・・ですからね」
「ここからみんなを動かさないようにお願いしますよ」
ダンッ!!
そう言って、三人は飛びだしていく。
ショウもその後を追おうとするが、まどかとほむらをここにほっとくこともできず
「クソッ!!」
地面を蹴って、その憤りを晴らすことしかできなかった。
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「大丈夫ですか!?」
「おい!!しっかりしろ!!」
大地に倒れ伏した朱雀を目印に、城戸とセイバーが駆けつけていた。
彼等が着くと朱雀と天馬は剣に戻ってしまい、杏子とマミが抱えあげられて救出される。
「蒔風のヤロ・・・・まだ終わってなんかないじゃんか!!」
「ですが今の我々ではあれを相手にできません!!」
マミをセイバーが、杏子を城戸が、それぞれ抱え、走って行く。
「絶対にあきらめたらだめですよ」
「はい・・・」
「おい!しっかりしろよ!!」
「あつくるしい奴だ・・ねぇ・・・」
一方、ワルプルギスの足元
玄武の甲羅の中で、さやかを蒔風が介抱していた。
「怪我ないか?」
「あ、はい・・・・」
「よし」
ボコォッ、と蒔風が地面に穴を開ける。
玄武がすっぽりと入れる穴だ。
「玄武。この中に水溜めて、一気に脱出しろ」
「御意。じゃが主殿はどうするのじゃ」
「俺はまだこいつと踊ってやらにゃならん」
「まだ!?・・・そんな!!」
無茶だ、というさやか。
そのさやかに、蒔風が片膝をついて、さやかと同じ目線になって語りかける。
「自分が正しいと思った。だから実行した。それが実際に正しいかどうかは別にして、そうすること自体は別に悪いことじゃない」
「え・・・・」
「別段強くもないのに強がって、誰かのために必死になって・・・・・のくせ、素に戻ったらそれにビビっちまう自分がいた。そっくりじゃないか」
そう言って笑う蒔風。
さやかには何の事だかわからない。
蒔風が強がりで「最強」を名乗り。
その為に命すら捨てて戦い。
その蓋が外れると、臆病になって背を向けたことなど。
だが、だからこそ蒔風は言う。
「お前は立ち上がれたんだ、美樹さやか。傷つき、涙したその心は、あの五人の中で最も強い」
「え?・・・え?」
「だから、お前は逃げろ。ここで――――」
「あ、ちょっとまっ・・・・」
「オレが終わらせる」
ガボン、と玄武がもぐり、さやかを一緒に避難させる。
「あーあ、なんだか感慨深いねぇ・・・・っと」
そして、蒔風は見上げて笑う。
「暴れんなよ。オレがいくらでも付き合ってやるから、よッ!!」
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「倒せない・・・・・?」
「大丈夫だよ、ほむらちゃん!!あれだけの人数が・・・・あんなに強い人たちがいるんだから!!そうです・・・よね?」
「・・・・・・」
まどかの問いに、ショウは答えられない。
あれは正面から戦ったら負ける。そう言うものだ。
蒔風はあくまでも押し返し、撃退するつもりだったらしいが、ワルプルギスの夜が反転してしまった今、それも叶わない。
ならば、あれはどうすれば倒せるというのだ――――――
どうしようもない現実、というのはどうあがいても存在する。
だが、それをどうにでもしてあげると言う
「方法なら一つだけあるよ!」
魔法の使いと自称する者の、そんな声がしてきた。
ピョコン、と。高い声が、会話に割り込んできたのだ。
「お前・・・は・・・・!!」
「どうして・・・・!?」
驚愕するショウとほむら。
現れたのは、他でもないインキュベーダーだったのだから。
しかし蒔風と戦っていた時とは違い、姿は元の物と変わりない。
いつも通りの無表情。
その彼は、もはや代名詞であるかのようにそのセリフを言う。
「契約しないかい?君ならあれを倒すことも可能だよ。鹿目まどか」
その顔は無表情でありながら
その声は無機質な高いものでありながらも
陰湿なものに感じたのは、決して気のせいではないだろう。
だが、会話することすらおこがましいと言わんばかりに
「何故貴様がいまだ生きている」
魔導八天の一本を取りだし、ショウがキュゥべえに切っ先を向ける。
それに、そいつは淡々と答える。
「ボクには魂を実体化させる技術があるからね。万が一と言うことが起きるこの宇宙で、保険をかけておくのはおかしいことじゃないだろう?」
「魂を分離させて、保管していたということか」
「大元は砕かれたけど、それだけは何とか残ったよ。それを切り落とされた腕の分の肉体に宿して、再構築したのさ」
肉体も砲撃に焼かれ、魂もソウルジェムにされて砕かれたが、残ったそれだけをもとに元の姿に復活することは可能だったらしい。
それを聞き、ショウは鼻で笑う。
「んで?お前の恨む蒔風はあそこだ。行くなら止めないが」
顎をクイッ、と向けて笑うショウ。
だがキュゥべえは首を横に振る。
「あのなかじゃこの身体は一撃で砕けてしまうよ。彼を攻撃しようにも、エネルギーがない」
「・・・・だから鹿目まどかにワルプルギスを倒させ、魔力を消費し一発で魔女にさせてエネルギーをももらう気か」
「察しがいいじゃないか」
「鹿目まどかはすでに魔法少女だ。契約なんざ、できるわけがないだろ」
「所が、そうでもないのさ」
キュゥべえが語るに「鹿目まどかはまだ契約を済ませていない」
その証拠に、彼女の胸には、あるはずのソウルジェムが存在していなかった。
あのカケラ紡ぎの最後。
まどかは魔法少女になっていた。
しかし、契約の願いは一言も発していない。
あの段階では「まどかが決断し、魔法少女になる」という結果はあった物の、「願いをかなえ、契約した」という前段階はすっとばされているのだ。
だから今のまどかには、ワルプルギスの夜を一撃で消し去ると言った、そこまでの力はないのである。
「は・・・・なるほど理屈は分かった。だが、それを聞いて彼女がハイと言うと思ってんのかよ?」
「そうね。その思惑を知って、させるわけにもいかないわ」
そう言って、武器を構えて振りかぶるほむらとショウ。
だが、キュゥべえは焦りもせずに言葉を続ける。
「でもいいのかい?君らにはあれを倒すすべはないのだろう?」
「く・・・・・」
「どうだい?まどか。君はこの星を救いたくはないのかい?」
「ダメよ・・・まどか」
「あそこでただ一人戦っている男を、哀れだと思わないのかい?」
「やめなさい!!」
キュゥべえに向かって、悲鳴のように叫ぶほむら。
だが、彼女もワルプルギスの夜はどうにかしたい思いはある。
当然、まどかもそれに変わりない。
しかし、このままではキュゥべえにエネルギーと与えてしまう。
自分も魔女化してしまうし、蒔風も殺されてしまう。
どうすれば、いいと言うのか―――――
「わかるだろう?それだけが、ただ一つの方法さ」
to be continued
後書き
まさかのまどか非契約。
前話で「胸に溶けた」という表現をしたのはそう言うことだったんだよ!!
蒔風
「な、なんだってー!?」
もう第五章も次回くらいで終わりですかね。
話数の割には長引いたな・・・・・
ワルプルギスの肉体は倒せる。
だが、そのエネルギーは無限大ィぃィイいい!!
倒せるけど、殺せない。
そんな魔女だという武闘鬼人の考察。
前話でイケイケでできたのは、盟主である少女が揺らいでいたからさ!!
唯子側、翼刀側双方から手を伸ばした結果だったってことで。
そしてそれがなくなって、なんの枷もなくなったワルプルギスが暴走。
次回はもっと蒔風をボロボロにするよ!!
まさかのキュゥべえご存命。
魂の分離ってもうあんた何でもありやん(笑)
しかも粘着質。
どうすれば勝てるのか・・・・
まさか原作通り、まどかが犠牲にならねばならないのか!?
そんなこんなで行きますよ!
まどか
「次回、私の願い――――」
ではまた次回
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