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憑依先が朱菜ちゃんだった件

作者:沙羅双樹
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第6話 改訂版(2018/11/07)

 
前書き
おはこんばんにちは、沙羅双樹です。

今回の話は難産でしたが、何とか完成しました。

そして、今回の話でリムル勢力が更に戦力強化がされます。

あらすじの注意事項にも書いていますが、元々リムル勢力をチート勢力にするつもりだったので、その点に対するツッコミは無しにして頂けると幸いです。(笑)

作者自身、全力で迷走している作品なので(笑)

それでは本編の方、お楽しみください!!
 

 



【視点:リムル】



俺が建国宣言を行ってから早数日。元人鬼族(ホブゴブリン)の町――現多種族共生都市(仮)は順調に発展していたりする。

人鬼族(ホブゴブリン)町を中心に周辺の木々は風遁と水遁を得意とする鬼一族が風遁・風切りの術と水遁・水断波を使って伐採。そして、俺と朱菜が木遁・連柱家の術を使って住居を建築。

それを繰り返すことで短期間での土地開拓が可能となり、あっという間に10km四方、10000ヘクタールの街になった。

しかも、四方には土遁を得意とする鬼一族の土遁・万里土流壁と土遁・地動核によって城壁と堀が作られていて、街への出入りは基本的に東門と西門、南大正門からしかできず、外敵による攻撃を簡単には受け付けない仕様となっている。

ちなみに北側も土遁・万里土流壁の城壁と土遁・地動核の堀によって守られた封印の洞窟へと繋がる道しか存在しない為、北側からの侵入も実質的に不可能となっている。

で、こういった土地開拓や街作りに忍術の使用を提案したのが誰かというと、実は朱菜だったりする。進化した鬼一族の者に少しでも早く『忍法』に慣れて貰う為、兵農一体の様な提案をしてきたそうだ。

何ていうか、朱菜の思考回路って古代中国の軍師っぽいよな。もしかして、朱菜って俺と同じ日本――というか、地球からの転生者?

……いや、普通に考えて無いな。ヴェルドラも異世界からの転生者は俺以外に前例がないみたいなことを言ってたし。

………けど、この世界にはシズさんみたいな異世界人も結構いたみたいだしな。その異世界人がこの世界で死ぬと、この世界の生命として転生する可能性もあるんじゃ……?

朱菜に直接聞いてもいいけど、それで違ったら俺が頭のおかしいスライムってことになるし………。よし!聞くのは止めておこう。

聞いた結果、鬼一族だけでなく、リグルド達やランガ達にまで可哀想なものを見る目をされたりしたら俺は死ぬ。いや、仙道になったから死ねないけど、精神的な意味で死ぬ。

……それにしても、上役組が優秀過ぎるっていうのも問題だな。俺の所に仕事が回って来なくて、超暇だ。ぶっちゃけ、俺にできる仕事は朱菜と一緒にする木遁での住居建築くらいだし。

っていうか、朱菜が万能過ぎる。木遁による住居の大量建築が可能だし、造作担当の冬官長・大司空(だいしくう)――カイジンと同等以上の鍛冶技術持ちで、戦闘能力も軍事担当の夏官長・大司馬(だいしば)――紅麗以上だ。

ちなみに大司空(だいしくう)大司馬(だいしば)にしなかったのは、役職決めの時点で朱菜の鍛冶技術は判明してなかったし、軍事面も指揮能力が不明だったから。

まぁ、朱菜の万能性を把握していたとしても、あの性格を考えるとカイジンや紅麗に遠慮して、大司空(だいしくう)大司馬(だいしば)の地位を辞退していただろうけど。

大鬼族(オーガ)の里で巫女を務めていたことを考えると、春官長・大宗伯(だいそうはく)にすることもできたけど、それも穂乃花に遠慮して辞退しただろうし。

大老(たうろ)という役職を引き受けたのは太師(たいし)と同じく政治介入力などを持たない役職で、俺の補佐 兼 相談役だからだろう。

そんな能力に反して権力に無関心な朱菜が現在何をしているかというと、都市北部中央区画にある神明造の和製宮殿――のすぐ横に建築された朱菜専用工房区画の鍛冶工房に3日程前から籠っていたりする。

数日前、夏官に属する幹部の鬼一族に朱菜から献上された鬼一族の忍具などを下賜した訳なんだが、同じ幹部である右近衛大将(うこんえたいしょう)のリグルには何も下賜できなかったので、リグルに下賜する為の武具を朱菜が現在作ってくれているという訳だ。

朱菜曰く、人鬼族(ホブゴブリン)は魔素量の関係で宝貝(パオペエ)が扱えないらしい。なので、渡せる武具も鬼の忍刀の様な忍具か魔導具に限られるそうなんだけど、その辺りの選考は完全に朱菜に任せることとなった。

俺には武具の形状を注文するくらいしかできないからな。付与される特殊能力とかそう簡単に思いつかん。ちなみに俺が注文した武具の形状は剣だ。リグルは元々剣士タイプだったからな。

本来、特殊能力が付与される魔鋼製の武器には鍛造製法が用いられ、高度な鍛冶技能を持つ鉱人族(ドワーフ)でも完成させるまでに最短でも5日は掛かるそうなんだが、冬官次長・小司空(しょうしくう)妖鬼(オニ)――黒兵衛曰く、朱菜は宝貝(パオペエ)や魔導具、忍具などを最短で2日もあれば完成させられるそうだ。

そして、朱菜はリグルの武器を作り始める前に3日で完成させると言っていた。つまり、今日がリグルの武器の完成予定日ということになる。リグル専用武器にどんなものを持って来るのか、楽しみで仕方ない。



【視点:朱菜】



私が鍛冶工房に籠って早3日。漸くリグルさん専用の武器が完成しました。リムル様には3日で完成させると言ったのですが、内心では2日で完成させるつもりだったので、予想より時間が掛かってしまいました。

いや、正直に言うと私が遊び心で見た目の改造なんてしなければ、1日で完成させられたんです。けど、付与された能力的に見た目を改造しないという選択肢が私の中から無くなってしまったんです。

あっ!ちなみに私がリグルさん専用武器に選んだのは魔導具の磁双刀です。一応分からない人の為に簡単な説明をさせて頂くと、S極とN極の磁力を纏った二刀一対型の魔導具ですね。

N極刀とS極刀が磁力で引き寄せ合うので、片方を敵に投擲して避けられたとしても、もう片方で引き寄せて敵の背後から奇襲攻撃できたりするんです。

というか、それ以外に奇襲攻撃の方法がありません。そして、形状も奇抜な物が多い魔導具の中では余りにも普通過ぎる日本刀。正直、魔導具の中で能力も形状も最も地味な武器だと私は思っています。

念の為言っておきますが、どれだけ地味でも魔導具であることには変わりないので、耐久性や切れ味などは普通の武器より上だったりします。

ガン○ムシリーズで例えると、あれです。0083に登場したジ○・カスタムの様な魔導具なんです。(目立った)特徴が無いのが特徴なんです。

そんなジ○・カスタムな魔導具をリグル様にそのまま渡すのは心が痛むので、私は磁双刀を改造することにした訳です。まぁ、改造と言っても見た目だけなんですが……。見た目はヘイ○ル改、中身はジ○・カスタムといった感じ程度です。

互いに引き寄せ合う武器で見た目がカッコいいものといえば、やっぱりFateシリーズの干将莫耶ですよね。普通の日本刀より曲刀型の方が何故か殺傷力が高そうに見えますし。

ただ、原作Fateシリーズに登場する干将莫耶はどれだけ大きく見積もっても小太刀サイズ。長剣(ロングソード)を扱っていたリグルさんには扱い辛い武器になってしまいます。

刀身の長い干将莫邪といえば鉄砕牙の様な大曲刀型のオーバーエッジか、Fate系同人誌『SWORD DANCERS』に登場したタルワールの様な長曲刀型の干将莫耶(改)になります。

そして、長剣(ロングソード)に最も近いのは長曲刀型の干将莫耶(改)。そんな訳で私は磁双刀の見た目を干将莫耶(改)風へと変更した訳です。

磁双刀の核である宝玉は干将莫耶(改)の太極図の部分に埋め込み、黒刀の干将(改)はそのままで白刀の莫耶(改)だけ朱刀に変えてみました。

色の変更はN極=北=玄武=黒色で干将をN極刀にしたので、S極刀の莫耶をS極=南=朱雀=朱色で朱刀にした方がいいかな?と思ったからです。

一般的な棒磁石で考えると黒=S極、朱=N極で真逆になってしまうんですが……。というか、何故棒磁石などは黒がS極で朱がN極なんでしょう?少なくとも四神の概念とは無関係なんでしょうけど……。

兎に角、完成した干将莫邪(改)風磁双刀――磁双刀弐型はリムル様に献上しなければいけません。他の幹部メンバーがリムル様から武器を下賜されている以上、リグルさんもリムル様から武器を下賜される必要がありますので。

何事にも形式というのは必要なので、私がリグルさんに直接渡す訳にはいかないんです。そんな訳で、私は磁双刀弐型を手に宮殿へと向かいます。



【視点:リグル】



俺がリムル様から右近衛大将という役職を賜って早数日。宮殿が完成して初めて俺を含む幹部全員が謁見の間に呼び出された。

話の内容がどんなものか、俺には想像もつかないが幹部全員を呼び出すということは、何か重要な話があるのだろう。

そういえば、幹部全員が呼び出される2~3時間前に地官長・大司徒(だいしと)であるリリナさんから右近衛府に牛鹿(うじか)を調達する手伝いの要請があったな。

それに玄関と謁見の間の中間にある厨房では、料理長であるゴブイチを始めとした料理人達が忙しなく動き回っていた。

忙しない料理人と牛鹿の調達、そして幹部の呼び出し。牛鹿と料理人の組み合わせは宴会を意味することが高いから、少なくとも悪い話で呼び出された訳では無さそうだ。

俺がそんなことを考えていると、謁見の間にある玉座の右側数m程の所にある引き戸が開かれ、リムル様と朱菜様が現れた。

御二人はそのまま玉座へと進み、朱菜様はその玉座の間横に立ち、リムル様は玉座へと御座りになられる。そして、俺を含む幹部全員が一瞬の乱れも無く叩頭すると―――


「全員、頭を上げろ。……皆、街の急激な発展で色々と忙しいのによく集まってくれた」
「何を仰られます。リムル様の命であれば、それに応えるのが臣下の務め」
「リグルド殿の仰られる通り。その様なこと、リムル様が気にされることではありません」
「……そうか。えー、今日は朱菜に頼んでいたリグルに下賜する武器が完成したので、そのお披露目も兼ねて皆に集まって貰った」


お、俺に下賜する武器の為に幹部全員が集められたのか!?幹部のほぼ全員が俺より上位の魔物だから、間接的とはいえ俺の為に集められたことに恐縮してしまう。だが、そんな俺の心境も知らずにリムル様は話を続ける。


「朱菜……」
「こちらになります、リムル様」


朱菜様がいつの間にか手にしていた布に包まれた物をリムル様に手渡し、リムル様がその布を取り払うとそこには黒と朱に色分けられた二振りの長剣が姿を現した。


「それでは、これよりリグル殿への魔導具授与の儀を執り行います。……夏官・右近衛府大将がリグル、前へ」
「はっ!」


普段は「さん」付けで名前を呼ぶ朱菜様もこういった行事では、リムル様の補佐という役目から幹部を「殿」付けか呼び捨てにするが、そのことを気にする者など幹部には誰一人としていない。

名を呼ばれた俺は元いた場所から立ち上がると、玉座の前まで移動し、片膝立ちでリムル様と朱菜様に頭を下げる。


「リグル。遅くなってしまったが、これが今日からお前の相棒となる魔導具・磁双刀弐型だ。お前にはこの磁双刀弐型と共に右近衛大将に相応しい働きを期待する」
「はっ!リムル様の期待に応えられる様、また磁双刀弐型に相応しい将になることを誓います」
「うむ。では、堅苦しいのはこれで終わりだ。今日はリグルが魔道具を手にし、名実共に右近衛府の大将として相応しい男となった目出度い日。これより先は無礼講の宴だ!!」


リムル様はそう告げると、俺を含むその場にいる幹部全員を伴って街の中央広場へと移動し、街の魔物全員が参加することとなった宴はリムル様と朱菜様を除く者が酔い潰れる明け方まで続いた。



【視点:朱菜】



リグルさんに磁双刀弐型が下賜されて早2日。リムル様の街の魔物――人鬼族(ホブゴブリン)が全員大鬼族(オーガ)以上の魔物に進化しました。

そうなった原因は私にあります。磁双刀弐型を下賜され、名実ともに右近衛大将となったリグルさんに苗字が無いのは不格好ではないか?という話が宴の翌日に挙がったんです。

ちなみに、その話題を挙げたのは私のお兄様で、宴の翌日にリグルさんに苗字の名付けが行われた訳なんですが、その名付けを行ったのは私なんです。

苗字を名付けるのはリグルさんだけでも良かったんですが、どうせならということで人鬼族(ホブゴブリン)全員に苗字の名付けをすることをリムル様に提案した所、許可が出たので人鬼族(ホブゴブリン)全員に苗字を名付けることになったんです。

人鬼族(ホブゴブリン)の名前をどうするか迷ったんですが、原作でゴブタさんが影移動を使っていたことを思い出した私は、影繋がりで人鬼族(ホブゴブリン)に奈良の名字を名付けることにしました。

そして名付けの結果、人鬼王(ゴブリンキング)だったリグルドさんは大鬼王(オーガキング)に、右近衛大将のリグルさんは大鬼将軍(オーガジェネラル)に、人鬼候(ゴブリンロード)だったレグルドさん、ルグルドさん、ログルドさん、リリナさんは大鬼候(オーガロード)に進化し、他の人鬼族(ホブゴブリン)達も全員が大鬼族(オーガ)に進化してしまったんです。

しかも、全員が鬼一族と同じく特別技能(エクストラスキル)『忍法』と特殊技能(ユニークスキル)奈良之系譜(カゲホウシ)』を獲得していて、NARUTOの奈良一族化を果たしてるんです。

仙術尾獣チャクラを変換した魔素による名付けとはいえ、私は驚きを隠せませんでした。まさか、全人鬼族(ホブゴブリン)大鬼族(オーガ)以上に進化するなんて思わないじゃないですか。

まぁ、そのお陰で街の魔物全員が一般的な宝貝(パオペエ)を所持できる最低限の魔素量を得られた訳なんですが……。

あっ!宝貝(パオペエ)といえば、リグルさんが副武装として宝貝(パオペエ)を3種類下賜されました。下賜された宝貝(パオペエ)は莫邪の宝剣、鑚心釘、万里起雲煙の3つです。

元々、子鬼族(ゴブリン)だったリグルさんは弓も得意なので、弓型宝貝(パオペエ)である万里起雲煙も下賜されることになったんです。

魔導具だけでなく、宝貝(パオペエ)も下賜されたことで、リグルさんはますます右近衛大将らしくなったと言えるでしょう。ただ、新しい技能(スキル)である『忍法』、『影法師(ナライチゾク)』、魔導具、宝貝(パオペエ)の扱いに慣れるのには時間が掛かりそうですが………。

大鬼族(オーガ)へと進化した人鬼族(ホブゴブリン)の見た目での変化は、肌の色が黄緑から人間と同じ白色や黄色に変わったことと、鬼一族の証である角が生えた位でしょうか?それ以外に大した変化は無いと言えます。

兎に角、そんな感じでリムル様の街は更なる戦力強化が為された訳です。そんなリムル様の街に本日、東門から1つの種族の使者が訪れました。その種族は――――

 
 

 
後書き
という訳で、リムル街(仮称)に住んでいる人型魔物が全員戦闘系鬼種族になり、リムル街が鬼隠れの里(仮称)化しました。(笑)

次話では原作のお調子者キャラの彼が出てくる訳ですが、彼は初見でどう思うのでしょう?

子鬼族(ゴブリン)村に来たと思えば、城壁と堀で囲まれた巨大な街(というか里?)
②街の住民は子鬼族(ゴブリン)ではなく、仙鬼、帝鬼(オニ)月鬼(オニ)、羅刹、修羅、忍鬼(オニ)大鬼王(オーガキング)大鬼将軍(オーガジェネラル)大鬼候(オーガロード)大鬼族(オーガ)、スライム、嵐牙狼族(テンペストウルフ)子鬼族(ゴブリン)どころか人鬼族(ホブゴブリン)すらいない。

普通なら心が折れますけど、果たして彼の心はどうなるか?

ちなみに大鬼王(オーガキング)大鬼将軍(オーガジェネラル)大鬼候(オーガロード)はオリジナル設定の種族です。

大鬼王(オーガキング)鬼人族(キジン)と同格といった感じで考えています。(笑)


追記


本文内で比喩表現として登場したジ○・カスタムについて、ガン○ムシリーズに詳しくない人の為にも念の為説明しておこうと思います。

ジ○・カスタムとは

ガン○ムの世界において短期大量生産を目的に作られた低コスト型ガン○ム―――ジ○という機体を、性能向上させつつコストを抑えるという無茶な目的で再設計、開発された量産機体です。
しかし、量産機とはいえ一般兵全員に配備することがコスト的に難しかった為、エース級パイロットに優先的に配備される専用機の様な機体でもあります。
ジ○の時は動力炉の出力が低くて使えなかった武装があるのですが、この機体はその点が改善されていて拡張性もあり、機体設計も優秀だった為仕様変更やパイロットに合わせた改造がされ、かなり長い期間バージョンアップ等で使われていました。
配備されてから数年後には新型機が配備される様になりましたが、その機体にはある問題点があった為、ベテランには新型機ではなくジ○・カスタムに乗り続けることを選ぶ者も多かったそうです。
また配備直後は出力だけでなく、信頼性や整備性も含めて量産機では最上位機体だったのですが、突出した面の少ない無難な特性であった為、「特長がないのが特徴」と表現するパイロットもいた機体でもあったのです。 
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