この素晴らしい世界にポケモントレーナーを!
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プロローグ
前書き
まずはお約束の転生時の話から。
目が覚めると、そこは雲の上だった。
いきなり何を言ってるのかわからないだろうが現にそうなのだからそうとしか言いようがない。
というか、正直俺自身が何故こんなところにいるのかがわからない。
さっきまで俺は家でいつものように部屋で寝転がりながらゲームをしていたはずだ。
それが気が付いたら雲の上。
うん、意味がわからん。どういうことだ?
俺は腕を組んで考える。
…ああそうか、ここはきっと夢の中だ。多分寝落ちしたんだな俺、それなら納得。
「残念ながらこれは夢ではないぞ。」
「!?」
突如後ろから声をかけられる。
振り向くとそこには長い白髪白髭で…、サングラスをかけ右手にワインの入ったグラスを持ちアロハシャツを着たファンキーな感じの爺さんが立っていた。
「誰!?」
「ワシ?神様だけど?」
俺の質問にそう答える爺さん。
神様?え?マジで?
「うん、マジで。」
俺の心の声に普通に返事してくる爺さん。
マジかよ、すげえ嘘臭えんだけど。
でも今確かに心の声に返事したし嘘ではないのかもしれない。
「かもしれないじゃなくてホントに神様なんじゃが。」
「んなこと言ってもあんたのその格好見たら誰だって疑うと思うぞ。」
普通神様って言ったらなんかこう白いローブっぽい服着てて木でできた杖持ってるイメージじゃん?
それに比べてこの爺さんはどうよ?アロハシャツにワイングラスよ?
神様の威厳みたいなもの全然無いんだけど?
「いや、たしかにその服もあるにはあるんだがあの服汚れやすくて嫌なんじゃよ。カレーうどん食べてるとすぐシミできるし。」
「そんな理由かよ!」
「あと無駄にぶかぶかで踏んずけてよく転ぶし。」
「切って調節すりゃいいだろんなもん!」
「メンドくさい。」
駄目だこの爺さん、早くなんとかしないと。
「いや、もう手遅れじゃろ。」
「自分で言うなよ!」
「そんなことより!」
いきなり話を切り替える爺さん。
まあ正直このままこの爺さんの事を話していても話が進まないだろうから今はよしとする。
それで?何?
「お前さん、今自分がどういう常態か理解できているか?」
「いや、全然。」
爺さんの質問に素直に答える俺。
いやだって家でゲームしてたら次の瞬間いきなり雲の上で1人ポツンと立ってる状態よ?
正直理解しろって言う方が無理がある。
「あ~、やっぱりそうか。やっぱり気付いとらんのか。」
「え、気付いてないってどういうこと?」
爺さんの言ってることがいまいち理解できない俺。
何?俺の身に何かあったの?
「何かあったも何も、お前さん死んどるぞ。」
「……………は?」
今この爺さんなんつった?
俺が死んでる?
「いやいやいやいや、んなわけないだろ。だって俺今ここに生きてるじゃん。」
「いや、今のお前さんは魂だから。本来の身体の方は今血まみれで死んどる状態だから。」
え、どういうこと?
「信じられんだろうが事実だ。これを観ろ。」
そう言うと爺さんは横を向いてサングラスから映写機のように映像が映し出した。
そこにはぶち抜かれた我が家の壁とその壁をぶち抜いたであろうトラック、そしてその時巻き添えになったであろう血まみれで倒れている自分の姿があった。
え、これって…。
「これは今の下界のお前さんの家の映像じゃ。」
「え?じゃあここはあの世で俺マジで死んでるの?」
「だからそう言ったじゃろ。」
「…ええええええええええええ!!!!!!!!」
マジかよ!?嘘だろおい!!俺まだ15なんですけど!?高校入って2ヶ月ぐらいしかたってないんですけど!?
まだまだ青春はこれからだって時だったんですけど!?それなのにえ?何?俺マジで死んだの!?うわああああマジかよおおおおお!!!!!まだやりたいこといっぱいあったのに!!彼女も作ってないのに!!
「落ち着け小僧。」
「ぶ!!」
我が身の状態を知り錯乱する俺に爺さんは持っていたグラスに入っていたワインを俺の顔にぶちまけた。
「何すんじゃジジイ!!」
「まだ話の途中だというのにお前さんが錯乱しとるからだろうが。」
「これが落ち着いてられるか!!俺死んだんだぞ!?落ち着けってのが無理あんだろ!!」
「だからこれからお前さんを生き返らせるための話をワシがしようとしとるんじゃろうが。」
「へ?生き返らせる?」
え、何?俺生き返られるの?
「なんだよ驚かせやがって♪生き返れるなら早く言ってくれればいいのに♪」
「言う前にお前さんが錯乱しとったんじゃろうが。まあ生き返らせると言っても元の世界には生き返れんがの。」
「…え?どゆこと?」
生き返らせてはくれるけど生き返られない?
俺は爺さんの言うことの意味がよく分からなかった。
「うむ、そもそもお前さんの身体は先ほど見たとおりすでに使い物にならない状態になっておる。そんな身体に魂を入れ戻したとしてもお前さんは生き返った瞬間に死んでしまう。だから無理なんじゃ。」
なるほど、たしかにそれじゃあ生き返らせられないな。
「まあワシの力を使えば新しい身体を作れるんだがな。」
「え、じゃあ作ればいいじゃん。というか作ってくださいよ。」
「残念だけど無理。」
「なんでよ?」
「考えてみろ、死体があるのに死んだはずの人間がいたらおかしいじゃろ。」
あ~そういうことか。たしかにそりゃおかしいわな。
「そこでじゃ、最近ネットで異世界転生物の小説とか流行っとるじゃろ?」
「あ~あるね~。よくあるのが間違って殺しちゃったから特典付けて好きなアニメ世界に転生させてやるよって感じのやつな。」
「そうそう、んでお前さんもそんな感じで異世界に転生させてやろうと思ってな。」
「え、マジで!?それって俺もアニメの世界に行けるってこと!?」
「うむ、まあ残念ながら転生可能な異世界が今一つしかなくてそこにしか転生できないがな。」
「え、マジかよ。」
どこの世界だよ、せっかくポケモンの世界に行けると思ったのに。ドラゴンボールとかみたいな殺伐とした世界とかヤダよ俺。
「安心せい、そんなに殺伐とはしとらんし特典もちゃんとやるから。」
「ならよし。」
よかった。そんなに殺伐としてない世界でももし戦うことになったとしたら何もできずに殺されちゃいましたとかやだからな。
「んでどこの世界よ?」
「うむ、『この素晴らしい世界に祝福を!』略して『このすば』の世界じゃな。」
「………どこそれ?」
「ありゃ?知らんのか?」
「うん。」
俺その作品知らないんだけど、どんなとこよ?
俺は爺さんからその「このすば」とか言う作品の世界の説明を受ける。
簡単に言うとドラクエとモンハンを足して割ったような感じな世界らしい。
と言ってもそこまで殺伐としている訳ではなく割りとほのぼのした感じでよっぽどのことが無ければ死ぬことは無いみたいだ。
まあそこだったら別にいいだろ。
「もし無理そうだと思ったら町の中でのんびり静かに暮らしてりゃいいし。」
「やる気ないのう、別に構わんが。それで特典なんじゃが3つまでやろう。何が良い?」
「う~ん、どうしよっかな~?」
3つか、悩むな。
普通だったらここは反則級のチート能力を選ぶところなんだろうけど、俺そういうの好きじゃないんだよね。
う~ん…。あ、そうだ。
「生き物って連れて行ける?こういうのってよく生物の創造はダメって言うけど。」
「いや、問題ないぞ。お前さんポケモンを連れて行きたいんじゃろ?」
「あ、わかった?」
「心読めるからな。」
そう、実は俺は大のポケモン好きなのだ。
先ほどアニメの世界に行けると聞いたときに真っ先にポケモンの世界に行けると考えたぐらいポケモンが好きなのだ。
しかし残念なことにポケモンの世界には行けないというので、ならばせめて俺がゲームで愛し続けた相棒達だけでも連れて行きたいと考えたのだ。
「じゃあ1つ目が俺がゲームで使ってた手持ちポケモンを連れて行く。2つ目が…、メガリングとメガストーンて2つで1つの特典扱いにできる?」
「別に構わんよ。あと3つ目に考えてるZリングとZクリスタルも2つで1つ扱いにしてやろう。」
「おお!爺さん太っ腹!じゃあその3つでお願い。」
「よし来た。では転生を始めるぞ。」
そう言うと爺さんは俺に向けて手をかざす。
すると俺の足元に魔法陣のようなものが現れ俺の身体が宙に浮かび上がった。
いよいよ転生か。
「…今更だけど、まさかここまできて全部夢でしたなんてことはないよな。」
「全て事実じゃ。残念ながらお前さんが死んだこともな。」
そっか、ホントに残念だ。
「それでは六道 勇気(ろくどう ゆうき)よ、第2の人生、楽しんでくるがよい。」
「おう、じゃあな神様。」
その言葉を最後に、俺はこの雲の上の世界から消えた。
後書き
誤字、誤文等があったら遠慮なく言ってください。
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