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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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575部分:第四十五話 魏延、一目惚れするのことその七


第四十五話 魏延、一目惚れするのことその七

「しかし。それじゃあな」
「いや、蒲公英に同意する」
 今度は趙雲が話す。
「私とてメンマをそうされたらだ」
「切れるもんな、毎度毎度」
「そうだ、だからこの場合は蒲公英が正しい」
 そうだというのである。
「私はそう思うがな」
「ううん、やっぱりそうなるか?」
「それでだ。問題はだ」
「そうよ。近くにいるのは間違いないわよね」
 馬岱は孔明と鳳統に対して問うた。目の光が強い。
「そうよね、やっぱり」
「こんな大きい人達そんなに吹き飛ばせませんから」
「それを考えましたら」
 二人は常識から馬岱に話した。
「やっぱり」
「そうなります」
「わかったわ。じゃあ何処にいるのよ」
 二人の言葉を受けてすぐに周りを見回す。
「やい!私のお団子を取った奴は!」
「団子なぞ知るか!」 
 ここでだ。中性的な、それでいてすぐに女のものとわかる声が返ってきた。
「私は団子なぞ取ってはいないぞ!」
「あら、貴女は」
 黄忠が彼女の姿を見た。黒いショートヘアでその前髪の一部を白くさせている精悍で何処か男に近いものを思わせる顔立ちをしている。狼を思わせるものである。目の光はルビーの色だ。
 黒い袖のない上着は襟を立てており白い下の服が露わになっている。胸が実に目立つ。下は半ズボンでそこの上に前が開いたスカートを着けている。その手には巨大な金棒がある。
 その金棒を見てだ。ミナが呟いた。
「鬼ね」
「ええ、そうね」
「確かにそれですね」
 神楽と月も彼女の言葉に同意して頷く。
「あの金棒はね」
「まさに鬼のものですね」
「あれで三人を吹き飛ばしたのだな」
 関羽がその彼女と金棒を見て目を鋭くさせる。
「力はかなりのものだな」
「それだけじゃないわね」
 黄忠もその目を鋭くさせている。
「身体つきを見ると」
「そうだな、身のこなしもかなりのものだ」
 関羽はまた言った。
「あの女、かなりの者だな」
「ええ、間違いないわ」
「あんたね!」
 馬岱が女に対して問うた。
「あんたが私のお団子を」
「何だ、それは」
 しかしだった。女はいぶかしむ顔になって馬岱に問い返す。
「団子?私は団子なんか取っていないぞ」
「さっき私が食べようとしていた団子よ」
「御前とは今会ったばかりだぞ」
「それでもよ。あの三人よ」
「ああ、あの連中か」
 女はいつもの三人のことを言われると納得した顔になって頷いたのだった。
「あいつ等か」
「そうよ、あの連中ぶっ飛ばしたじゃない」
「いつも喧嘩を売ってくるからやり返しただけだ」
 そうだというのであった。
「それだけだ。いつものことだ」
「そのいつものことでね」
「団子か」
「そうよ、落としたのよ」
 その団子を指差す。みたらしで三個串に連なって刺さっている。それを指差して言う馬岱だった。
 
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