恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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57部分:第五話 張飛、馬超、顔良及び文醜と競うのことその十一
第五話 張飛、馬超、顔良及び文醜と競うのことその十一
「どちらかだな」
「やれやれだ」
関羽は趙雲のその話を聞きながら溜息を出した。
「全く。何をしているんだ」
「それでどうするのだ?」
趙雲はあらためて関羽に問うた。
「探すのか?どうする?」
「宿の場所は行ってある」
だが関羽はこう答えた。
「流石にそれは覚えている筈だ」
「そうか」
「だから今は宿に戻ろう」
そうするというのだ。
「それでいいな」
「そうか、わかった」
「では夕御飯をですね」
ナコルルはそれを言ってきた。
「そういうことですね」
「そうだ。しかし鈴々の奴」
関羽は眉を怒らせて言う。
「相変わらずだな」
「そう言うな。まずは食べに行くぞ」
「またメンマか?」
「そうだ。私はあれがなくてははじまらない」
こんな話をしながら夕食を食べに向かう。そしてその頃張飛と馬超はだ。夕刻の街を二人で歩きながら話をしていた。
「ちょっとあれはないのだ」
「そうだよな。あたしもあれはな」
並んで歩きながら先程の競技の話をしていた。
「鰻を胸と胸の間に挟むなんて」
「ちょっとなあ」
「それで馬超」
「ああ」
馬超は張飛の話を聞きながら返した。
「これからどうするのだ?」
「そうだな。まあここには武者修行で来てるからな」
こう言うのである。
「それも一段落したし故郷に帰るか」
「確か涼州だったな」
「そうさ、そこさ」
彼女は涼州の生まれであった。
「そこに帰ろうかな。今父上がいなくなって主不在だけれどな」
「そうなのだ」
「それで今さっきのあの領主いただろ」
話が戻った。
「袁紹ってな」
「あの高飛車そうな女なのだ?」
「そうさ、あの人が軍を向けて自分のところに入れようとしてるらしいな」
「馬超の父上のものだったのにか?」
「今は主不在だからいいさ。あたしも領主とかには興味はないし」
それはないのだという。
「それでもな。故郷に帰ろうと思ってな」
「わかったのだ。ではそうするといいのだ」
「それではなのだ」
張飛は話を聞いてからまた述べてきた。
「夕食と宿を一緒にどうなのだ?」
「それか」
「一人より皆の方がいいのだ」
だからだというのだ。
「だからなのだ。一緒に行くのだ」
「そうだな、賞金はたっぷり入ったからな」
「楽しくやるのだ」
まずは食事を楽しむ。そしてそのうえで宿に帰るとであった。張飛を待っていたのだ。
「こらっ!今まで何処に行っていた!」
「あ、愛紗!?」
「全く、何処に行っていた!」
そのことを派手に叱るのだった。
「御前は。人が心配すると思わないのだ!」
「武闘会に出ていたのだ」
だが張飛はこう返すのだった。
「それでなのだ」
「それに出ていたのか」
「そうなのだ。それで優勝してきたのだ」
「ふむ。そういえばだ」
張雲はベッドの上に座っている。ナコルルは今は入浴中でいない。そうしてそのうえで二人の話を聞いたうえで述べてきたのである。
「優勝は二人共女だと聞いたが」
「二人!?」
関羽はそれを聞いてふと声をあげた。
「一人は御前なのか」
「そうなのだ」
張飛は胸を張って関羽の問いに応えた。
「賞金もたっぷり持って帰って来たのだ。路銀にするといいのだ」
「ああ、済まないな」
「そしてなのだ」
張飛の話はさらに続く。
「そのもう一人も連れて来たのだ」
「むっ!?」
「ここにいるのだ」
「はじめまして」
そのもう一人が出て来た。頭を下げながら部屋に入って来る。
「馬超です。字は猛起」
「貴殿は」
これが関羽達と馬超の出会いだった。これもまた運命の出会いだった。
第五話 完
2010・3・28
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