恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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56部分:第五話 張飛、馬超、顔良及び文醜と競うのことその十
第五話 張飛、馬超、顔良及び文醜と競うのことその十
「それで私は笛を吹いて」
「私が三味線を出してだ」
見れば趙雲の手にはその三味線がある。
「そして私が歌ってだ」
「歌ですか」
関羽の言葉にも応える。
「そうだったんですか」
「そうだ。そして貴殿達はどうしてここに?」
「何か知らんけど気付いたらここにおったんや」
「どうやら昔の中国じゃな」
拳崇と鎮がここでこう返してきた。
「中国なのは事実やろけど」
「何か世界が違うようじゃが」
「若い女の人が多い世界ですよね」
包もそれを言う。
「そうですよね。この世界って」
「この世界のことはよくわかりませんが」
アテナはまずはそれはいいとした。
「ですが」
「ですが?」
「歌でしたら御一緒しませんか?」
こう言ってきたのだった。
「皆で歌えばもっと人が集まるのでは」
「あっ、いいですね」
ナコルルも笑顔でアテナの提案に頷く。
「アテナさんの歌って絶品ですから」
「そうか。貴殿歌が上手いのか」
「そんな、私は別に」
「アテナの歌は最高やで」
アテナ本人は謙遜しようとする。だがその横で拳崇が言ってきた。
「もうな。聞いてるだけでな」
「そうなのか。それではだ」
「は、はい」
アテナは拳崇の言葉を受けて言ってきた関羽のその言葉を受ける。
「何でしょうか」
「共に歌おう」
こう言うのであった。
「七人でだ。すぐにな」
「それでいいんですか?」
「是非にだ」
関羽の言葉は強くなってきた。
「共に歌おう。貴殿さえよければだ」
「そうですか。そこまで仰るのなら」
アテナもそれで頷くのだった。
「私でよければ。御願いします」
「うむ、それではだ」
こうして関羽とアテナが歌い他の面々が演奏する。こうして彼等は路銀を稼いだのだった。それは彼等が思っていた以上のものだった。
「うわ、凄いで」
「これだけあれば暫くは路銀に困らんぞ」
拳崇と鎮がその路銀を見て言う。
「さて、それじゃあ俺等はこっから東に行くけれど」
「御主等はどうするのじゃ?」
「今日はこの街にいる」
関羽は彼等の問いにこう返した。
「明日発つ」
「そうですか。ではこれでお別れですね」
「久し振りに御会いできたのに」
包とナコルルは名残惜しそうに言い合う。
「けれど。それならまた」
「はい、御会いしましょう」
こう話してだった。双方別れの挨拶をしてだ。そのうえで別れた。
アテナ達は東に向かいそうしてだ。関羽達はここで彼女のことを思い出したのだった。
「そういえば関羽はだ」
「何処に行かれたのでしょうか」
「迷子か?」
関羽は趙雲とナコルルの話を聞きながら述べた。
「また」
「それか何処かに勝手に言ったかだな」
趙雲はその可能性にも言及した。
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