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ソードアート・オンライン~白と青の軌跡~

作者:叶愛
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フェアリーダンス編
  喪失感

 
前書き
遂にフェアリーダンス編突入です!
原作とは全く違う展開なので、これからもよろしくお願いします! 

 
"ソードアート・オンライン"

通称SAO。

それは、1万人ものプレイヤーを閉じ込め死者約4000人というデスゲームの舞台。

デスゲームから解放されてから、そのデスゲームから生還した者を『SAO生還者(サバイバー)』と呼んだ。

あの世界で黒の剣士キリトと呼ばれていた俺、桐々谷和人は一冊の本を持っていた。

「お兄ちゃん、何それ?」

「あぁ、これはSAOの詳しい内容が書いてあるものだよ。」

そう言って俺はあるページを開いてスグに見せる。

「わぁ……"リーファ"って乗ってるー!」

リーファだけじゃなく、風林火山や疾風迅雷のギルドメンバーまで書かれていた。

《アインクラッド攻略組最高峰メンバー》

"黒の剣士"キリト

"閃光"のアスナ

"氷の狙撃手"シノン

そして、そこには相棒の名前も───

"蒼の剣士"ライア・"闇の王子"ライア

誰がこの書籍を世に出したかは分からない、推測では中層プレイヤーだった誰かだろうとは言われている。

もちろん、名前は書いてあるが偽名の可能性もあるし何より性別がわからない。

だが、この書籍が発売されたと同時にあのデスゲームを終わらせたのは俺だという噂が流れた。

確かにヒースクリフ"茅場晶彦"を最終的に倒したのは俺だ。

だが、真の意味でこの世界を終わらせたのは俺じゃない。

「…………裏切り者か。」

ライアは攻略組内でも最高峰の強さを持ち、あのヒースクリフよりも強いかもしれないと言われていたプレイヤー。

中層プレイヤー達も誰もがそのことは知っていた。

ライアは沢山の人を救った、それと同時にラフコフも壊滅させるために殺しもした、ライア自身の為ではなく俺達のために。

それなのに、バグによって1人のプレイヤーではなくラストボスモンスターになった事はアインクラッド中に広まった。

それは紛れもなく現実だから否定しない。

そんな現実を知ったあの場にいた攻略組以外の生還者は口を揃えてライアをこう呼ぶ。

"裏切り者"と。

何でも、攻略組内でも最高峰メンバーであったライアが最後のフロアボスとなり生還するという全員の願いを踏みにじる行為に出たからだそうだ。

だが、ライアが自ら俺達の敵になったのなら"裏切り者"と言う気持ちも分からなくはないが実際は違う。

アイツの、相棒の最後の顔をみたらそんな事絶対に思わない。

"大切な人と生きていたい"と願いながらも、自分が死ななければ"皆が死ぬ"究極の天秤にかけられたライア。

その天秤の決断を下し、最愛の人を残してしまう罪悪感と最愛の人の命を守る正義感に葛藤していた相棒の表情。

あんなにも辛そうで幸せを願っていた顔を忘れる事は無い。

それに相棒が残した最後の言葉。

『皆とリアルで会いたかった。』

もう少し小さかったら聞こえない、儚い本音。

初めて口にした本音を俺達は叶わせられなかった。

蒼の剣士、蒼の死神、彗星、裏切り者……

相棒は沢山の二つ名があるが、あの場にいた攻略組には全く違う名前で今呼ばれていた。

"影の英雄"

あの場にいなかったプレイヤーは、デスゲームを終わらせた英雄を俺と言うが真の英雄は俺じゃない。

ライアが真の英雄だ。

だが、それを公に公開しても信じてくれる者は少ない。

だから影の英雄と呼んでいた。

「……ちゃん、お兄ちゃん?」

「…ん?」

スグはボーッとしていた俺に心配したのか話しかけてきた。

「怒る気持ちも分かるよ……でも、本がボロボロになっちゃう。」

「え?………あ。」

無意識の内に手に力が入っていたらしい。

あるページがクシャッとシワが寄っていた。

「酷いよね、ライアさんをこの本でも『蒼の剣士は裏切り者』って……」

「………ライアは裏切り者なんかじゃない、英雄だ。」

俺は、あるページ……ライアへの中層プレイヤー達が向ける怒りが書かれていたページを睨みながら言った。

生還した俺、スグを含めたいつものメンバーギルド疾風迅雷と風林火山はどこにも向けられない怒りと喪失感にあの日から追われていた。 
 

 
後書き
第1話、これにて終了です!
物凄く雑ですね…すみません…
更新スピードもなかなか戻らず、ご迷惑かけてしまいすみません。
次回はもう少し早く更新できるようにします!
では、また次回! 
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