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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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565部分:第四十四話 怪物達、北にも出るのことその十二


第四十四話 怪物達、北にも出るのことその十二

「この時代もいい国よ」
「そうか。貴殿がなのか」
「そうよ。それでね」
「うむ。何だ今度は」
「また一人来たわね」
 卑弥呼がこう言うとだった。彼等の前に右京がいた。
 彼は怪物達の姿を見てだ。すぐに刀に手をかけた。
「あやかしか」
「ああ、それは違う」
 華陀は彼にもこう話した。
「この連中が違うんだ」
「そう言えるのか」
「言えるさ。それよりもあんたも」
 右京のその白い顔を見ての言葉だった。
「胸を患ってるな」
「わかるのか」
「わかるさ。俺は医者だからな」
 ここでもこう答えた。
「それはな」
「医者か。そうは見えぬが」
「だが本当のことだ。それでだ」
「うむ、それでか」
「その胸の病、治させてもらっていいか」
「私の病をか」
「ああ、いいか?」
 あらためて右京に対して問う。
「あんたにとっても悪い話じゃない筈だ」
「この胸の病は」
 右京自身が最もよくわかっていることだった。他ならぬ己のことだからだ。
「不治だ。それを癒せるというのか」
「癒すんじゃない、治すんだ」
 そうだと答える華陀だった。
「完全にな」
「そうしてくれるか」
「ああ。じゃあいいな」
「頼む」 
 右京も華陀のその言葉に頷いた。
「若し治せるというのなら」
「よし、それならな」
「さあ、ダーリン頑張ってね」
「ここでもね」
「よし、行くぞ!」
 華陀が身構える。その手にまた黄金の針を持つ。
 そしてだった。右京のやつれた胸にその針を刺して叫ぶ。
「光になれーーーーーーーーーーーっ!!」
 その胸から黄金の光が放たれそれが辺りを包んだ。それが消えた時。
 右京の顔色がだ。見る見るうちに変わっていった。血の気が戻ってきたのだ。
 それを感じてだ。彼は言うのだった。
「確かにな」
「わかるな。病が消えたのが」
「うむ、よくわかる」
 その通りだと言うのだった。
「病が本当に消えるとはな」
「どうやらあんたはこれからも生きないといけないらしいな」
「これからもか」
「俺はあらゆる病を治せる」
 それはできると言うのだ。
「しかしだ」
「しかし?」
「北斗の神に魅入られた人間の病は無理だ」
「七つの星の脇にもう一つ星が見えてる人はね」
「無理なのよ」
 怪物達も右京に対して話す。
「残念だけれどね」
「それはできないのよ」
「そうなのか」
「そうだ。だがあんたの病は治った」
 言うのはそこからだった。
「それはあんたがまだ死ぬ運命になり証だ」
「そうか。私はまだ生きられるのか」
「あんたのするべきことをするんだな」
 華陀は言う。
「この世界でもな」
「そしてか」
「そういうことだ。じゃあまたな」
 華陀はその右京に微笑んで話した。
 
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