Re:童話姫たちの殺し合いゲーム
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第一章<暴食>
お菓子な森(1)
「アハハハッ♪」
『あ…ああぎゃぁぁああ』
プレートアーマー達を虐殺する赤ずきん
「ウ、エッグ、オエエエエ」
物陰で吐くピノキオ
「……仕事をするか」
俺の仕事は地べたに転がっているプレートアーマー達の死骸から心臓
彼らが着る甲冑に与えられた罪人の魂を回収すること
『ウ……グ』
微かに息があった者
『………』
もうコト切れていた者
甲冑に魂を与えられただけの彼らに肉体などない
空っぽの甲冑 = プレートアーマー
なら何故 血しぶきがあがる?
なら何故 肉を斬る音がする?
なら何故 生きた人間のような断末魔をあげる?
「アーア、終わっちゃった……」
全てのプレートアーマー達を皆殺しにした赤ずきんは残念そうにつぶやく
遊び相手が全員 コト切れてしまってつまらないようだ
「赤ずきん。飯だ」
「ゴハン? わぁ~い やったぁ~♪」
「ウップ……うぅ…食べないといけないです…よね…?」
飯 ご飯 食事
赤ずきんが無我夢中で食すもの
「ハグッ グシュ ブシュッ モグモグ…」
ピノキオが吐きそうになりながら食すもの
「あむっ……オエ」
それは
俺が回収した罪人の魂
ここは罪人の魂が堕ちる
死者の世界【ゲヘナ】
住人達の食料は罪人の魂
俺はここの住人ではない 魂は食べない
俺はここの住人じゃない 堕ちた罪人でもない
俺はツギハギ だらけの 肉
俺は人の形を模した ツギハギだらけの 肉塊
俺には記憶がない 全ての 記憶がない
俺は記憶の無い ツギハギの 肉だ
「美味しかった~♪ お兄ちゃん、いつも美味しいゴハンをありがとう♪」
「……俺は仕事しているだけだ」
「アハハハッ、照れてるの♪」
「照れてはない。事実を言っただけだ」
「ふ~ん♪」
楽しそうに笑う 赤ずきん
その頬には返り血で真っ赤だ
『ポッポッポ~』
「な、何ですか!?」
誰かの 笑い声 歌声
『怖い~怖い~赤ずきんちゃん~』
『でもぉーこの森にはもっと怖い子』
『…がいるもんね~』
周りを見ると
お菓子な森の木々達が 歌い 踊る
綿あめで出来た 雲
キャンディーで出来た 花
クッキーで出来た 地面
ジュースで出来た 川
意思を持ち 擬人化されて動物たち
歌い 踊り 俺達を挑発する
「わぁ~い♪」
新しい遊び相手が見つかったことがよほど嬉しかったのだろう
赤ずきんは金色の瞳を
新しい 玩具を買って貰った 子供の様に輝かせ
『ここはお菓子な森~』
『一度迷い込んだらもう~ 二度と出られない~』
『魔女に食べられて~』
『オマエ達はシ――』
「え~~い♪」
『イ――んギャアアアアア!!』
「……ぁ、赤ずきんさん。駄目ですよ!
お花さん歌っている途中でしたのに、摘み取っちゃ…」
「え~なんでー」
せっかく見つけた新しい玩具
遊ばないなんて勿体無い
「サァ……お菓子さん達、アソビましょう♪」
『ヒッィイ!!』
『来るなー来るんじゃねェェェ!!』
お菓子達は蜘蛛の子を散らす様に逃げていく
『や…やめろ! 殺すな! せめて…せめて…』
「えい♪」
『美味しく食べ……うわぁぁぁぁぁぁぁ!!』
元は食べ物だった彼らが望む死は
美味しく食べられること
でも魂しか食さない 赤ずきんにとっては
食材ではなく ただの遊び相手 玩具だ
ここの住人は魂を与えられ 擬人化された
お菓子 と 動物
甘ったるく 吐き気を催す 臭いが充満した
???が治める お菓子で出来た国
"ホールケーキアイランド”
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