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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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545部分:第四十三話 劉備、妹達を得るのことその六


第四十三話 劉備、妹達を得るのことその六

「この岩を何としても」
「それはわかっているわ」
「けれどこれは」
「梃子もありませんし」
 こんなことも言う鳳統だった。
「やはり割るしか」
「ええ、そうね」
「それしかありませんけれど」
「けれど。どうしたら」
 鳳統もだった。ここは困っていた。
 その時だ。月はその手に持っている薙刀を高く掲げていた。鳳統はそれを見て困った顔で言ったのだった。
「あわわ、月さんそれは駄目です」
「一体何が?」
「今お空に雷が鳴ってますよね」
「はい、それは」
「雷は金属に落ちます。ですから」
「こうして高く掲げたらですか」
「危険です」
 そうだというのである。
「ですからそれは」
「わかりました。それなら」
「さもないと大変なことになります」
 鳳統はそのことを恐れていたのだった。
「雷が落ちて」
「そうだったわね」
「ただ」
 そしてだった。ここで鳳統は閃いたのだった。
 それでだ。劉備を含めた三人に対して話した。
「雷を岩に落とすことができればです」
「岩が割れる」
「そうなりますね」
「はい、いけます」
 そうだというのである。
「それをするならですけれど」
「それなら」
 月がすぐに名乗り出た。右手にはその薙刀がある。
「この薙刀を岩の上に突き刺して」
「いえ、その薙刀は柄のところが木なので」
「駄目ですか」
「雷が岩に全て伝わりきれないかも知れません」
 鳳統はこう言って薙刀は駄目だというのだった。
「申し訳ありませんが」
「そうですか」
「それじゃあ」
 月が退けられるとだった。劉備が言うのだった。
「私のこの剣で」
「えっ、けれどそれは」
 鳳統は劉備の申し出にはさらに困った顔になった。普段からそうした感じの顔なのだがそれが余計にそうなってしまったのである。
「劉備さんが折角その手に戻された」
「けれど今は村の人達や関羽さん達が」
 だからだというのだった。
「そんなこと言ってる場合じゃありません!」
「ですがその剣は」
「剣よりも!」
 最早劉備にとって制止は無意味だった。
 そしてだった。すぐに動いてなのだった。
 岩の上にだ。普段の彼女からは信じられないような身のこなしであがった。そしてそこに剣を一気に突き刺してなのだった。
「これで!」
「劉備さん、すぐに退いて!」
 神楽がその劉備に叫ぶ。
「この天候ならすぐに雷が来るわ!」
「は、はい!」
 劉備は神楽のその言葉に頷きすぐに飛び退いた。スカートが翻りピンク色のものも丸見えになる。だが今はそれには構わなかった。
 そうして飛び退き着地する。やはり普段の彼女からは想像できない身のこなしである。その身のこなしで着地した瞬間だった。
 雷が落ちたのだった。剣に。
 黄色い光が全てを包んだのは一瞬だった。それが終わるとだ。
 岩が瞬く間に割れた。そして砕け散り。
 水がそこから溢れ出たのだった。まさに一瞬のことだった。
「これで村が・・・・・・」
 劉備は呆然となりながらもほっとしたような顔になってその流れ出る水を見て呟いた。
 
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