恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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541部分:第四十三話 劉備、妹達を得るのことその二
第四十三話 劉備、妹達を得るのことその二
「先日怪しい者を村の近くで見ましたし」
「おそらくは偵察に来たのかと」
「敵も馬鹿ではないか」
マルコはこのことを悟らずにはいられなかった。
そしてだった。彼はまた言うのだった。
「考えているか」
「残念ですが」
「そうして攻めてきます」
「激しい戦いになるな」
マルコもまた悟るのだった。
「この戦いは」
「ですが村は」
「何があろうとも」
「わかっている」
マルコの言葉が強いものになる。
「この戦いはな。負けられはしない」
「村の人達の為にも」
「頑張りましょう」
彼等もまた誓い合うのだった。戦いの時は迫っていた。劉備もまたその中にいてだった。己のその剣をじっと見るのであった。
その彼女にだ。神楽が声をかけた。
「その剣で戦うのね」
「はい」
神楽は劉備のその言葉に対してこくりと頷く。
「私も。戦います」
「激しい戦いになるわよ」
神楽もまた孔明達と同じことを言う。
「下手をすればね」
「死ぬかも知れないですね」
「ええ、わかってると思うけれど」
「わかっています」
劉備は神楽のその言葉にこくりと頷いて返した。
「それは」
「それでもなのね」
「私、逃げないです」
劉備の言葉にもだった。強いものが宿った。
そして鞘から剣を抜くとだ。白銀の光がそこから放たれた。
その光を見ながらだ。彼女はまた言った。
「この剣は我が家に代々伝わるものですけれど」
「けれど?」
「実際にこれで人を斬ったことはないそうです」
「それはないのね」
「はい、ありません」
実際にはそうだというのだった。
「宝剣っていう理由もありますけれど」
「斬ったことはないのね」
「そうなんです。母も言いました」
「お母様もなの」
「この剣は人を斬る為のものではなく」
劉備の言葉は続く。
「この世を乱す存在を払うものだと」
「払う」
「払い、清め、そして封じる」
今度の言葉は三つだった。払うだけではなかった。
「そうするものだと言われました」
「同じね」
劉備のその言葉を聞いてだった。神楽はふと言うのだった。
「それだと」
「神楽さん達とですね」
「ええ。私達三つの家も同じだから」
それは神楽の家だけではないのだった。
「今桃家荘に残っている草薙君にしろ」
「京さんですね」
「彼と。そして」
「八神さんですね」
「彼の家もなの。三つの家はそれぞれオロチと戦う宿命にある家だから」
そのオロチのことはだ。神楽の中から消え去ったことはない。それが彼女をして彼女たらしめている。そこまでのものであるのだ。
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