ジョジョの奇みょんな幻想郷
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第一部 ケイオスクルセイダーズ
第一章 紅霧異変
13.楽園の素敵な巫女
「夢符『封魔陣』!」
「紅符『スカーレットシュート』!」
場面は切り替わり、霊夢の視点。
この異変の元凶らしき吸血鬼、この館の主であるレミリア・スカーレットと弾幕ごっこをしていた。
勝負は中盤、互いが腹のさぐり合いを終え、勝負は佳境を迎えようとしていた。その時、
「「っ!」」
二人の直感がある一つの終わりを感じ取った。そう、丞一と咲夜の姉弟喧嘩の幕引きである。
(そう、そっちは終わったのね。丞一。早苗も行ってるでしょうし、一応二人とも大丈夫ね)
「ふふふ。どうやら、エントランスの二人の勝負も終わったようね」
「みたいね、というわけであんたもとっとと負けてくれない?早く帰って迅と弾幕ごっこしたいんだから」
あんたなんかに体力を使ってる暇はない、と気だるそうな目で霊夢は言った。これを挑発ではなく、感情のままに言えるのだから霊夢の根性に感嘆せざる得ないだろう。
「ならば、終わらせて上げるわ。──────あなたの敗北でね!」
「はぁ、めどくさい」
そういいながらも、霊夢は封魔針とお札を放つ。しかし、
「左側に全弾幕中の六割。残りの四割は真ん中と右側に二対二といったところかしらね」
「っ!」
霊夢が放った弾幕の標準を、『放った瞬間に』見事に言い当てられ、その上でよけられてしまった。
(……何なのあれ?って、あいつの能力か。どこかの推理バカと被って腹が立つわね。あ、ちなみにコナン君のこ、……ちょっと待って、まさか!)
「なるほどね。あんたの能力、あいつと同じ未来予知系の能力ってわけ」
「っ!な、なぜ!?」
「あれ風にいわせてもらえば、『私の勘がそういっている』かしらね」
レミリア・スカーレットの能力は『運命を操る程度の能力』などというチートじみた能力を博しているが、干渉できることなどたかがしれている。それこそ、未来は変えられるという妄言を実現できる程度で、事前の行動が前提にされる。確かに、運命を操る過程で未来を見ることができる。むしろ未来視と何ら変わらない能力だ。
目の前の博麗の巫女は事もなげに勘で言い当てたのだ。そんなことがあってたまるか。
「………確かにあなたのいう能力でおおかた間違っていないわ。でも、能力一つわかったくらいで何になるのかしら?」
「知らないのかしら?自身の能力が色濃く出る弾幕ごっこにおいて、自身の能力が割れるのは普通は避けるべき行為、割れるてしまったものは、ただ敗北が近くなるだけ。某七騎の英霊で戦う戦争と変わらないのよ」
レミリアは、は?何のこっちゃ?と言いたいような顔をしていたが、霊夢は構わなかった。以前、中立宣言をしていたのを忘れていないのだろうか?
「ふふふ、確かに能力は割れた。不利なのは変わらないわね。だけれど、誰も程度の能力しか持っていないとは言っていないわ」
「っ!なるほど。スタンドってやつね」
ま、これも勘だけでどね。と付け加える。
ここ、紅魔館の方々が霊夢の幼少期、まだ巫女の修行時期にまでさかのぼる。初まりにして原点、スペルカードルール制定すらもされていない時代に、この幻想郷を乗っ取ってやろうぜ、みたいなノリで幻想入りをし、荒れていた妖怪を配下につけ八雲紫に戦いを挑んだのが、最初の異変『吸血鬼異変』。
つまり何が言いたいかというとそれだけ長くここにいるということだ。そして、スタンドがこの幻想郷で目覚めた早苗がそれに目覚めたのもつい最近のこと。咲夜という例外がいたものの、目覚めていてもおかしくはない。早苗がなぜこのころにいるのかは聞いてはいけない。それは作s
「それを知っているのならば、話が早いわね。これが私のスタンドの力よ!」
(確か、丞一が言ってたわね。
『スタンドってのもタイプがある。ここでは簡単に、人型と物型って二つに分けさせてもらう。人型は俺や早苗のタイプだ。これが相手だと中か中に厄介だ。このタイプは何かと強いのが多い、まあ、でも攻撃方法は単純明快、ステゴロだ。人型タイプは特に──俺の時止めみたいな例外がたまにいるが──基本接触によって行われる場合が多い、ステゴロに自信があるやつなら容赦なくラッシュでオラオラってくるからな』
って、オラオラっていう動詞がよくわかんないけど要は超ぶん殴ってくるってことでいいわね)
霊夢は勘を研ぎ澄ましていた。丞一が来て、早苗がスタンドを明かして一カ月何もしていなかったわけではない。本当は何もしたくなかったが、魔理沙に巻き込まれ共にあの二人と弾幕ごっこに勤しんだのだ。スタンド使いとの実践は積んでいる。
(この感覚は、人型ね)
しかし、レミリアは何もしてこない。さらに極めつけには誰もいない空間に弾幕を放っていた。
そして、衝撃は突然来た。
いきなり、肩と右腕に衝撃がきた。
(っ!何で!攻撃がくる気配はなかった!これが丞一の言っていた『例外』ね。面倒きわまりないわね。となると、あいつの程度の能力と関係があるかもしれないわね)
これまで霊夢が会ってきたスタンド使いたちには、程度の能力とスタンド能力には何かしらが結びついていた。
丞一は『重力操作とそれに伴う時間停止』と『空間を操る程度の能力』の『相対性理論を司る能力』。
早苗は『触れた物を直す』能力と傷の治癒すら可能な『奇跡を起こす程度の能力』の『治癒性』。最も、主人公の能力ということもあり『奇跡を起こす程度の能力』によってランダムに手に入れた可能性も否定できないが。
そして、霊夢は知らないが、咲夜に至っては『時間停止・加速に時飛ばし』。そしてそれとほぼ変わらない『時間を操る程度の能力』だ。
これほど都合よく揃ったなどと言うつもりもあるまい。スタンドとは精神エネルギーの具現。その人の精神のあり方に大きく関わる。だからこそ、ここまで密接に関わっているのではないか、と考えている。
「ふふふ、どうかしら?私のスタンド能力の挨拶は。あなたには見えないでしょうけど、これが私のスタンド
──────────『ヒエログリフ』!」
「ダサッ!!!!」
霊夢は思ったことを口に出した。確かにダサかった。これを考えた本人に、そしてそれを堂々と名乗り上げる人がいると思うと背筋が凍った。そして震え上がる。
しかし、武者震えなんかじゃない。恐怖というたった一つの感情だった。
ネーミングセンス一つで楽園の守護者の任を持つ博麗の巫女を震え上がらせること自体が一つの才能だろう。
ゆえに、霊夢は敬意を払った。目の前の相手、吸血鬼にして紅魔館の主、レミリア・スカーレットに。
「あんたを敬意を表するわ。そして、光栄に思いなさい。私のこの人生において戦慄し恐怖したことは、幼少期の紫の特訓と、
────────────あんたのネーミングセンスだけと言うことをね!」
「……………」
沈黙の時間が訪れた。ただレミリア・スカーレットはたちおののいた。
そして、勝敗を決しエントランスからここまで来た東風谷家二人と咲夜にですらも、
「……………」
「……………」
「……………」
沈黙の時間が続いていた。
そして、沈黙を破ったのはレミリアのあるスペルだった。
「……う」
『う?』
「うー!うー!うー!」
「霊夢が6ボスを泣かせた!」
「この人でなし!」
「ちょっとあんたたち何で私のせいみたいになってるのよ。私はただショウジキにショウサンしただけなんだから」
『いや、その理屈はおかしい。その前にあれ泣き声何ですか?サイレンでしょ字図等的に。紛らわしい!』
もはやそれぞれが好き勝手に言っていた。というよりも、ニャル子はただ出番があるならば何でも、『それ以上言ったらその次元の私が殺しに行きますよ』………了解しました。すんませんッス。
「というより、あんたらいつの間に来てたのよ。早くない?」
「お義姉さん、もとい咲夜さんが空間を操って。距離を縮めてくれたんですよ」
「ねえ、今字図等おかしくなかった?おかしくない?怒らないから言ってみようか?」
「気のせいですよ」
嘘付け!と心の声がそのまま口にでたのは言うまでもない。心が叫びたがっているんだ。
ちなみに、咲夜はレミリアのカリスマがブレイクした瞬間に「お嬢様!」と駆け寄り限りを尽くしている。
「………この私に、ここまでの屈辱を与えるだなんて、許さないわ!博麗の巫女ッ!!」
「いや、だから私のせいではないわよ。自爆よね。明らかな自爆よね。絶対みんなも笑いこらえてるから。ほら、笑ったやつ。レミリア先生は目をつぶっているから正直に手を挙げなさい」
「いや、どこの小学校の先生だよ」
「…………いいだろう。そこまでこけにするならば。我がこの槍と我がスタンドの能力で終わらせてやろう。スペルカード───────────神槍『スピア・ザ・グングニル』」
その宣言とともに現れたのは、赤い、朱い、紅い、レミリアの身丈以上ある槍だった。それを片手でしかも軽々と持っているのだ。まさに、吸血鬼様々だろう。
それを持ち上げピッチングフォームへ、そして、投げた。ブォンっ!という音を残し紅い尾を引き、槍は霊夢の土手っ腹へ投げていた。そして、例のようにそれを右へ体を傾けかわす。
「決まりね」
「どうだか?で、お仕えの方はいいのかい?姉さん」
「勝負の方が再開してしまったもの」
いきなり観戦側に来ていた咲夜に早苗は「うわ!?いつのまに!」と驚かれていたが、丞一は知っていた。
レミリアが「いいだろう」の前のため辺りから、持ち前の能力で時を止め、自らの主の決めシーンの邪魔にならないように来ていたのだ。水戸黄門で「この印籠が~」の下りで助さん格さん黄門様の三人しか画面に映らないのと同じ原理である。
「それで、決まりというのはどういうことなんですか?それほど、スタンド能力が強いんですか?あのレミリアさんは」
「お嬢様のスタンド能力は『過去の干渉』。対象の過去をみたりもできるけど、何よりひかるのが───────干渉による、現在から過去への不回避にして不可視の攻撃よ」
「……………なるほどね」
つまるところ、因果の上書きと逆転。攻撃した瞬間に『攻撃された』過去に上書きされ、『攻撃が当たった』という過去が確立された上で攻撃しているのだ。
「これは、さすがの霊夢でも、」
「いや、まだわかりませんよ。というより、私は霊夢さんが勝つと思います」
「とは、言っても早苗。当たるのがすでに決まっているのよ」
「お二人は霊夢さんを嘗めすぎです。────────彼女はこの幻想郷の守護者ですよ?
それにジョジョ忘れたんですか?あの人の最大の武器を」
「……………あー、確かに。かわしかねん」
霊夢の武器は弾幕ごっこの創設者というアドバンテージでも、才能でも、巫女としての力でもない。
もっと野性的なもので、なんなら全人類、いや全生物が保有しているもの、五感を超越した本能的なもの。
そう、霊夢が持つ最大の武器は──────未来予知にすらも到達する、直感。またの名を、
「っ!いったいどうやってかわした!博麗の巫女っ!!」
「勘よ」
勘だ。
そう、霊夢はよけたのだ。不回避の一撃を弾幕をヒョイッとかわすように。全くの無傷なのだ。
そもそもの話、前述したように霊夢は魔理沙に巻き込まれ、丞一と早苗二人と弾幕ごっこをしていたわけだが、おかしいということにお気づきでしょうか?この話に咲夜はひどく驚いた。
「ありえないわ!あの博麗の巫女はスタンド使いではないのでしょう!普通ならば戦いどころか弾幕ごっこにすらならずに勝負がつくわ!」
スタンドはスタンドでしか触れることはできない(その逆、スタンドが人間に触れることは可)。確かに、魔理沙は勝負にならなかった。
だが、霊夢は回数を重ねることに対応し、食らいついてきた。戦えていたのだ。
そのことに関しても霊夢は、勘よ、とだけ答えていた。
「あいつの勘は、なんかもう色々と超越してるんだよ。何しても驚かないほどに。それがたとえ、概念的な矛盾だとしても」
もう驚かん、と丞一は苦笑いを浮かべて言った。一体この一ヶ月に何があったのだろうか。
「さてと、外野もうるさいしそろそろ片づけましょうか」
そういって、霊夢は陰陽玉を宙へ放った。
「もし、スペルブレイクできたら。あんたの勝ちでいいわよ。────────ま、無理でしょうけど」
放られた陰陽玉は七つへ増え宙で展開した。
そして、いつもの舞空術よろしく、空を飛んだ。
これは奥義だ。これは元々はスペルカードではなかったが名前をつけたのだ。もしこれが遊び(時間制限付き)でなければ、誰も勝つ事が出来ない。博麗神拳伝承者のみに伝えられる奥義。その名も、
「────────『夢想天生』」テーレッテー♪
「『こ、この音楽は!』」テレレーテレテテーテ♪
「ふん!それが何だという!紅符『スカーレットシュート』!」テレテテッテー♪
霊夢に当たるはずだったそれは、霊夢を透過していった。
「「『WeはShock!!!!』」」
「な、何なのよ。このスペルは!」ギャグニチョウセン ホクトノーケン♪
「これが私の最終奥義よ」weハshock!♪
「私はありとあらゆるものから宙に浮き無敵となる。生まれ持った私の能力でしか使えないから「天生」。これが遊びじゃなければ勝ち目がない」キホンミンナニトウシーン♪
「あらゆる物は、私に触れることすら─────適わない」セーイキマツニナニモオキナカッターヘイワナーニホン♪
「くっ!目を閉じてるのになぜこんなにも正確な攻撃がくるのよ!」コブシダケジャイキテハイケナシーダウンサー♪
「正確ではないわ。夢想である故に予測不可能な追尾弾を放っているだけよ」ツーリセンミスハオテノモノ♪
「何よ、それ!どうしようもないじゃない!」ビーヒンモソンカーイ♪
「だから言ったじゃない。勝ち目はないって。────決めさせてもらうわ!」シーフトモーミウシナッター♪
「霊符『夢想封印』!」アタタタタタタタ アタタ♪
「キャアアアア!」アタタメマスカー♪
霊夢の最後のスペルカードが炸裂したっ!
「ふー」アーイヲトリモドセー♪
レミリアはもうスペカは残っていなかった。このとき、この瞬間、霊夢の勝利が決まった!
「って、さっきから人がスタイリッシュに必殺技打ってるときにカラオケやってんのよあんたら!!まじ何してくれてんのあんたら!!消せ!!その北斗の拳のBGM消せ!!台無しでしょうが!!いろんな人に怒られるでしょうが!!」
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