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生徒会”執行部”と”捜査部”~饅頭売りの花嫁~

作者:猫丸
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24.ヒバゴン





「皆を呼んだのは他でもない―」

重々しい空気に思わずごくりと唾を飲み込んだ。なんだかスターでウォーズしている映画に出ていた、黒い仮面のコォーホォー言っている人みたいなオーラをまとっている……ような気がする。

「じつは…「町・村おこしの件なの~」ちょっとアンコ!?」

さすがは…小林先輩…。自分のお父さんがどんな重々しい空気を作り出そうしていても、お構いなしにそれをぶち壊す。

「町・村おこし? なんなのそれは…?
 
 町をおこしたいのか、村をおこしたいのか、よくわからないわ」

「寂れておじぃとおばぁしかいなくなった町・村を昔みたいに賑やかパーリィにしよう!

 って計画だよ~しおかなちゃん。みんなびんピンのビンびんだよ!」

「そっそう……た、愉しそうね彩」

会長……それでは全然説明になってないれす。副会長、困ってるれす。

「つまりね~、町・村おこしをするためには~どうすればいいのか考えてたのよ」

「もしかして相談って一緒に町・村おこしする内容を考えてほしいってことですか?」

「ざんね~ん、全然違うわ~」

「そ……そうですか」

「ドンマイケルだにょ、さくっち」

「あ……はは」

苦笑いしているのは、執行部の桜ヶ丘くん。女の子みたいな中性的な見た目の男の子。
イロイロ/モロモロあって今は女子の制服を着て女の子として参加しています。どうイロイロあったのか、詳しく知りたい方は前作【生徒会”執行部”と”捜査部”~舞い散る桜STKとの出会い~】をお読みくださいれす。


【で】


「じゃあなんで呼んだんだよっ」

「もぉ~潤クンったらせっかちさん!」

このくねくねとした動きと仕草……羊さんは本当にオネェさんではないの…?

「うちは和菓子屋だからやっぱり和菓子で攻めるべきだと思ったのよね~」

「そうそう~、和菓子と言ったらお饅頭でしょ~だから~」

「はい! 作りました、ヒバゴン饅頭!」

「「「ヒバゴン??? 饅頭?」」」



+++おしえて! あやのんせんせ~い+++


彩乃「はーい! 突然のまいぶれもなく始まった、ボクのためだけのコーナーだよ~ぬ!

  えーと今回のお題はヒバゴン! ……ってなにそれ? オイシイの?」


***教えて! 潤五郎先生+++

潤「誰が潤五郎だ! ム●ゴロウ先生をもじってんじゃねぇーよ!!
  上の馬鹿にかわりオレがヒバゴンについて教えてやる。

ヒバゴンとは主に比婆山(ひばやま)などで目撃された全身毛むくじゃらで猿に似ているずんぐりむっくりなUMA。

最初に目撃されたのは、昭和四十五年ダム付近をトラックで走行中の男性が、道路を横切り林の中に消えた怪物を目撃。姿形はゴリラに似て、子牛ほどの大きさがあったらしい。

その正体はツキノワグマかニホンザルじゃないかと言われているが、地元民からは熊が現れるのはもっと山奥で、ヒバゴンが目撃された地点では熊の餌がないと言っている。
動物学者の人はヒバゴンはその大きさを除けばニホンザルそのものであり、ニホンザルの老いた個体が群れから脱落し、人里に現れたのでは無いかと推察しているらしい。

……結局のところその正体は誰にもわからない」


+++ウィキペディア抜粋+++



ちなみに物語の舞台は比婆山(ひばやま)とはなんの縁もゆかりもない、ただテレビやっていたから……だけれす。 


【で】


デフォルメされたヒバゴンおまんじゅうを一口ぱくり。

「………おいしい」「うまっ!」「意外と…いけるかも」

「…うまいでごわす」「ふむ…これはいいですね」「あんまり甘くないから食べやすいわね」

生地もおいしいけど特にこの中に詰まっているあんこ。この……

「「「こしあん」」」「「「つぶあん」」」がおいしい……え?」」」

執行部、捜査部、みんなが顔を見合わせる。

執行部が食べたおまんじゅうは【こしあん】

捜査部が食べたおまんじゅうは【つぶあん】

そしてこの人が食べたのは

「~~~シャシァー」

「会長……なにしてるんです?」

おまんじゅうに真っ赤な粉をかけて、真っ赤なナニかを生み出す会長を、横から睨みつける茨音さん。
そんなの気にせず鼻歌を歌いながら会長は

「ボクがブレンドした特性七味唐辛子だよん! オイシイよー」

はむっと真っ赤なソレを会長は幸せそうに頬張る。

「会長は辛党ですからなんにでも七味をかけるんですよ」

疑問に思っていたら、執行部の参謀総長、稲田(いなだ)つつみさんが教えてくれた。
同じ眼鏡っ娘の茨音さんとは何故か仲があまり良くない。顔を合わせるとすぐに言い争いが始まってしまう。

「甘いおまんじゅうに七味かけたら意味ないでしょっ! ねぇ餡子姉?」

「そうね~あんこはつぶあんだから美味しい…「えーボクはこしあん派ダナー」

ピキッ

「私もどちらかというとこしあんの方が好きかしら」

「ワタシもこしあん派です。あのシットリ感がイイんですよ!」

「わ、わたしも…こしあん派」「おいどんもどす」

プチーン

「「こしあんですって~~?」」

「あ……餡子姉? 理事長…?」

おかしい…小林姉妹の表情が変だ。笑顔なのに、目が全然笑っていない……。

「わかるぅ~やっぱあんこはこしあんだよねぇ~!!」「ダヨネー!!」

イエーイ! とハイタッチして盛り上がる羊さんと会長。横! ふたりとも隣を見て! ものすっごい黒いオーラ出している姉妹がいるから!!

「アヤちゃ~ん」「父さ~ん?」

「「それ、どうゆう意味かしら~?」」

「どうもなにもそのままの意味ダヨ」

「か、会長…! 餡子姉の前でっこしあんの話は…」

「いばやん、ボクはこのままじゃダメだと思うんだ」「は?」

「好きな物を好きだと言えない世界! そんなの世界が間違っている!

 ボクは好きな物を好きだと大きな声で叫びたいんだーーーーーー!」

「いや…もう十分叫んでますよ…会長」








こしあん――


つぶあん――



アナタはどちらが好きですか――?





                              続く 
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