生徒会”執行部”と”捜査部”~饅頭売りの花嫁~
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23.皆が欲しがる良い嫁
「茨音 智子です」「風月…れす」
「智子チャンに……春チャンだね~よろしくっ!」
ピースピースとしてくるおじさんは小林姉妹のお父さん、小林羊さん。陽気で明るいおじさん。
「それにしても二人ともカワイイねー」
「そうですか? ありがとうございますー」「……れす」
褒められるのはあまり得意じゃない…。どちらかと言うと苦手だ。
「それにしても……」
突然羊さんが笑顔のまま固まる。
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「こんなカワイイ子がいるなんて聞いてないよー潤クン!!」
「なんっすか!?」
いきなり泣き出し古賀先輩に抱き付き
「潤クンがうちの娘を貰ってくれなきゃうちはどーなるの!?」
と言いながら泣き喚く。うち……もしかして最中さんは理事長になって小林先輩は
「うふふ~」
あんあ感じだから後継ぎがいなくてお店が潰れてしまう危機なのかな…?
「うちの…うちの…」
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「うちの(俺の)老後はーーどうなるのー!!?」
「「はっ?」」
……老後?
「潤クンがアンコと結婚してついでに店もついでくれたら、俺の老後は安泰なのにー!!」
「……しませんよオレ」
「どうして!? アンコが嫌なら最中でもいいからさァ!
いやどうせなら両方貰ってくれ! 二人とも潤クンが貰ってくれなきゃ嫁の貰い手が……」
「父さ~ん?」
「ヒッ」
理事長の笑顔が怖い…。
「ケドそれは置いといて。それはダメなのだよ、ヨウさん!」
「……彩。(もしかしてオレを助けようと…)」
「どうしてだい!? 彩チャン」
「だってだって……」
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「コガジュンはボクの嫁だもん!!「違ぇぇだろ!!」」
殴られる会長、でもその表情は幸せいっぱいだ。
「だってさ! 毎日起こしてくれて、朝昼晩三食オイシイご飯が食べれて、掃除洗濯、家事全般臀部やってくれる。
こんな良い嫁(主夫)はそうイナイよ!!」
「オレは主夫じゃねぇぇ!!」
と怒る古賀先輩をよそに
「そうね~こー君をお嫁にもらうのはいいわね~」
「私ぃ~もジュンちゃんなら欲しいわね~」
「……家事全般完璧で毎日美味しいご飯食べ放題…うん、いいかも」
わりとその気な女子たち。
「おい……おまえら……、風月おまえからもなんか言ってやれよ」
「……プイッ」
「(えぇぇ~~~無視~~~!!?)」
知らないれす。私の気持ちを知らない、古賀先輩なんて知らないんれす。
バンッ!
「何騒いでいるんだいアンタ達!!」
「「「お婆!!?」」」
勢いよくふすまを開けたツリ目の怖そうなお婆さん登場で、騒がしかったその場はシーンと静かになった……。
【で】
「まったく騒々しい子たちだね…」
お婆さんは羊さんのお母さんで小林姉妹の祖母、小林梅さん。
会長曰く、見た目は鬼婆だけど中身はそこそこ優しいツンデレババァ……らしい。慕っているのか、嫌っているのかよくわからない。
「先に来た子たちの方がよっぽどいい子だよ」
「……先に来た子たちれすか?」
梅さんに嫌味を言われながら階段を上がり、二階にある客室へと通される。するとそこには思いがけない先客が居ました。
「彩!! なんで貴女……捜査部が此処にいるのよ!?」
「オーしおかなちゃんや~ん!」
神無木栞副会長がひきいる【執行部】メンバーのみんながお茶とお煎餅片手にまったりしていました……。
後から事情を聴いたところ、羊さんが執行部の人たちに依頼をしていたらしい…。
私たち捜査部と違って忙しい執行部。中々時間をとれない中、今日やっと空き時間が出来て来たところに私たちとばったり遭遇してしまった…みたい。
【で】
「もう……なんでまた捜査部なんかと一緒に…」
ブツブツ文句を言っている副会長の事は無視して、会長たちは適当にそれぞれ座る。茨音さんが「春ーこっちこっちー」と自分の隣を叩いているのでそこに座った。
全員が座ると、いそいそと小林家の三人が上座へ座りやっとみんながここに集められた理由が語られた――
亀裂―
決裂―
――脆く崩れ去る
続く
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