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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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第45話 零治の思い、小さな女の子との思い

「強い力は争いしか生まぬ。済まぬなキャロ、お前をもうこの里に置くことは出来ないのじゃ………しかしお前は黒き竜の加護を受けておる、きっと大丈夫じゃ」

そう言われ、里を追放されて一週間が経ちました。
あの後、私はフリードと共に森をさ迷い歩きました。

なんども襲われて、逃げて隠れて、それの繰り返し。

あらかじめ貰った食料も底を尽き、食べ物ももう無いです。
視界も眩んできました…………

私、ここで死んじゃうのかな?

なんで私にこんな力があるのかな?

私がいられる居場所ってあるのかな?







私って生きてちゃいけないのかな?


そんな時、

「おわっ!?」

私は何かとぶつかり、その衝撃で私は倒れました。

「痛た…………」

私も痛いです…………

あれ?意識が……………

「おい!しっかり…………」

何か言ってるけど………私にはもう………

やっぱり、私死んじゃうのかな?





でも、やっぱり死ぬのは嫌だな…………









「加奈!!」

俺は女の子をお姫様抱っこして星達の所へ走った。

「零治!?」

「どうしたの……………って兄さん!?」

「レイ、その子は?」

「話は後だ、加奈、この子に回復を頼む!!かなり危険な状態なんだ!!」

「分かったわ!!」

俺は星が敷いてくれたタオルの上に女の子を寝かせる。

「命を照らす光よ此処に来れ、ハートレスサークル」

緑の魔法陣に女の子が包まれる。
すると徐々に女の子の傷が消えていく。顔にも生気が戻ってきたのか顔色も良くなった。

「どうだ?」

「大丈夫みたいだ」

「でも油断は出来ないわ、暫く様子を見ましょう」

加奈の提案に俺達3人は頷いた。










「こ………こは………」

私は目を覚ました。
私はどうやら寝ていたみたいです。

(生きている…………)

私は体を起こしてそう実感したとき、自然に涙が溢れました。

(良かった……………)

心の底から安堵しているうちに、自分の体の調子に違和感を感じました。

(痛みがない?)

というより傷がありませんでした。

あれだけ傷だらけだったのに……………
それだけでなく、悪かった体調も随分良くなっていました。

「気がついたか!!」

そう言って私の目の前に一人の男性が現れました。

「大丈夫か!?」

「は、はい!!」

いきなり大声で声をかけられて驚いてしまいました。

「レイ、そんなに大声で話しちゃビックリするじゃないですか。ごめんなさい、悪気があったわけじゃないんです」
「い、いいえこちらこそ…………」

男の人と一緒にいた、栗色の短髪の女の人が優しく話しかけてきてくれました。
凄い美人さんだな……………

「私は有栖星と言います。あなたのお名前は?」

「キャ、キャロ・ル・ルシエです………」

「キャロ、可愛い名前ですね」

そう言って私の頭を撫でてくれる星さん。
暖かい手…………

「さっきは驚かせてすまなかったな。俺は有栖零治、よろしくな」

「はい、零治さん………」

あれ?苗字が同じって事は………

「お二人は夫婦ですか?」

「ふ、夫婦!?」

「ああ、違う違う。星は俺の家族さ」

星さんは驚いてるけど、零治さんは慣れたようにスルーしました。
いつも言われてるのかな?

「兄弟ですか?」

「いいや、違うよ」

じゃあ、一体…………
ぐぅ〜!!

あっ!!

「………まずは何か食べるか?」

「…………お願いします」

恥ずかしいです……………







「もぐもぐ………」

「がつがつ………」

いやぁ、いい食べっぷりだな、キャロとフリードは。

まさか原作キャラと出会うことになるとは……………
ほとんど忘れかけてるけど、こんなメインキャラを忘れる事は無かったみたいだな。

「あの………おかわりいいですか?」

「いいですよ、どんどん食べてください」

「クキュー」

「はいはい、フリードもいいですよ」

そう言いながら、持ってきたパンを二人?に与える。
かなりの食いっぷりから随分食べていなかったみたいだな………

あの後、フリードもちゃんと紹介してもらい、俺達が持ってきた食料を二人に与えた。
桐谷と加奈は周辺の捜索と食べれそうな物を探しに行ってもらってる。

もう既に持ってきた食料の4割は食べちゃってるからな。ほとんどフリードだけど…………
まぁ仕方がないか……………

「零治」

と、そんな時、桐谷と加奈が帰ってきた。

「どうだった?」

「一応木の実やフルーツっぽい物はあったわよ。エタナドにも見てもらったから毒なんかもないわ。味は保証しないけど…………」

「そうか、まあこの際贅沢は無しだな」

「あの…………」

「ああ、紹介が遅れたな、こっちが加藤桐谷、こっちが佐藤加奈だ」

「キャロ・ル・ルシエです…………」

「よろしくな」

「無事でよかったわ、本当に。兄さんが慌てて連れてきたときにはどうなるかと思ったわよ」

「そうなんですか?」

そう言われて俺を見るキャロ。


そんなに見つめられると恥ずかしいんだけど………

「でも、本当に無事で良かったですよ。けれど一体何があったのですか?」

自己紹介が終わり、星がキャロに話を切り出した。

「それは…………」

少し戸惑いながらキャロは話し始めた。








「そんな…………こんな子供に…………」
「酷い!!何でそんなことが出来るの!?」

星は悲しそうな顔で、加奈は今にも暴れそうな感じでそれぞれ言った。
言った本人のキャロもその生活を思い出したのか、震えていた。


俺は二次創作で読んでいたので、ある程度把握していたつもりだったけど…………

「許せねぇ…………」

怒りが抑えられなかった。

「…………………」

桐谷も俺を見て頷いている。
そうか、やっぱり考えている事は同じか……………

「行くぞ………」

俺はキャロの手を掴んで歩き出す。

「ちょっと、何処に行くのよ!?」
「集落に行って一発殴ってくる」

「レイ、駄目ですよ!桐谷も何か言ってください!」
「悪いな星、今回は俺も零治と同じ思いだ」

「アンタたちやめなさいよ!そんなことしたらキャロが余計居づらくなるじゃない!」

「だけど!!」

「いいんです!!」

いきなり大声で叫んだキャロに俺たちは黙った。

「私のこの力が悪いんです…………集落の人達は悪くありません…………」

「そんな事………」

「違うんです、私は一回力を暴走させて集落を半分燃やしてしまった事があるんです………」

それを聞いて、星も何も言えなくなってしまう。

「みなさんも私から離れた方がいいです。この力は危険ですから…………」

悲しそうな目で言うキャロ。

「何で私ばっかり…………こんな力望んでないのに…………」

小さく呟いたつもりだろうが、俺にはハッキリ聞こえてしまった。

「やっぱり私は生てきちゃいけないんだ…………」

それを聞いて俺は我慢出来なくなった。

「そんな事ねぇよ………」

「兄さん?」

「零治?」

「レイ?」

「そんな事ねえ!!」

俺はそう叫んで、キャロの両肩を掴む。

「誰だってな、生きてちゃいけない人間なんて居ないんだよ!!」
「でも………私にはこんな危険な力があるんですよ、他の人を危険な目にあわせるだけじゃないですか」
「そんなことない!!その力は必ず人の為になる。今は駄目かもしれない、だけど努力すれば………」

「でも………でもその間にまた暴走してたくさんの人を………」

「そんなこと俺がさせない、俺達がさせない!!だからガキが一人で全部詰め込むな!!」

「でも、私はあかの他人ですよ?」

「そんなことどうでもいい。それでも納得出来ないのなら俺の家族になれ!!それなら文句ないだろ!!」

「ちょっと、兄さん!?」

「零治………………」

加奈が驚き、桐谷が呆れたように言うが気にしない。

「今更子供一人くらい増えても問題ない」

「そうですね」

「ちょっと、星!?」

「レイのお節介はいつものことですよ」

「で、キャロ。お前はどうする?」

「私は…………」

「お前が協力してほしいというなら協力する。だけど………」

「どうするかはあなたが決めるべきです」

「星さん………………でも、もし私の力で皆さんに怪我を負わせたら……………」

あ〜もうじっれったい!!

「俺が何とかしてやる、それなら文句ないだろう?」

「でも私が暴走させちゃったのって、“真竜”クラスのヴォルテールって竜なんです」

ふ〜ん、真竜クラスねぇ…………

「それがどうした?」

「えっ!?」

「問題ねぇって言ったんだよ。俺がそのヴォルテールを黙らせてやればいいんだろ?やってやるぜ!」

「兄さん………」

「零治………」

「レイ………」

「だからもう生きちゃいけないなんて悲しいこと言うな!」

そう言って俺はキャロを抱きしめた。

「ふぇっ!?」

「つらかったよな、怖かったよな、もう大丈夫だ。これからは俺がキャロを守るから」

「ううっ……………ふぇ〜〜〜ん!!」

我慢していたのだろう、まだ6歳の女の子だもんな。
俺はキャロが泣き止むまでずっと抱きしめていた。








それから俺たちは森の中でも見晴らしの良い場所を見つけ、そこに結界を張った。

「よし、ここなら暴れても問題ないだろ。キャロやるぞ!!」

「は、はい!!」

キャロは赤い目のまま、召喚の準備を始める。
だが…………

「キャロ?」

いつまでたっても召喚されなかった。キャロを見ると手が震えている。

「キャ……」

「私が行きます」

俺は励ましに行こうとしたが、星が行くと言ったので俺は星に任せることにした。

「キャロ」

「星さん、やっぱり無理です。私、零治さんを危険な目にあわせたくないです………」

「キャロ、レイを信じてくれませんか?レイは無理なことを出来るとは言わない人ですから」

「ですけど…………」

「レイは強い人ですよ。強さだけでなく、心も。特に家族のためなら絶対に折れたりなんかしません。だから負けませんよ」

「でも、私は家族じゃ………」

「キャロにまだその気がなくてもレイはもうその気でいますよ」

「でも、私は血もつながっていないし………」

「有栖家は誰一人血なんかつながっていませんよ」

それを聞いてキャロは驚く。

「前にレイが言ってました。『血なんかよりも深い絆があればそれはもう家族だ。その絆はどんなものよりも固く、強い。それはもう立派な家族だ。誇っていいほどにな』ってね」

「絆……………」

「そうです」

「絆………いいですね」

「クキュー!」

「ふふ、フリードも気に入ってくれたみたいですね。それにレイにとってはもうすでにキャロとフリードも入っているのかもしれませんけどね」

笑ってキャロに言う星。

「私もですか?」

「ええ、でなければここまでしませんよ」

しばらくキャロは俯いていたが、覚悟を決めた顔になって………

「…………分かりました、私も零治さんを信じようと思います」

そう言って零治の方を向くキャロ。その手には震えは無くなっていた。

「零治さん、いきます!!」

「ああ、来い!!」

「竜騎召喚、ヴォルテール!!」

キャロの召喚に、

「グオオオオオオオオ!!」

凄まじい咆哮と共に15メートルほどの竜が……………って、

「デカっ!?」

『マスター!』

「待てっ!もしかしたらキャロが…………」

「ごめんなさい、やっぱり!!」

『はやっ!?』

「いや、元々そのつもりだ。行くぞラグナル」

『はい!ブラックサレナ展開!!』

ラグナルの声により俺の体にブラックサレナの装甲が展開された。

「行くぞ!!」

俺はフィールドを展開してそのまま突っ込んだ。






「零治さん……………」

キャロは空中で激闘をしている零冶を見ていた。

「心配?」

「はい、でも私決めましたから、零治さんを信じるって」

「そうですね、信じましょう」




「ラグナル」

『ジャンプ!!』

飛んできた火球をボソンジャンプで避ける。

「こなくそ!!」

相手の視界に現れて両腰にあるレールガンを射出するが………

「効いてないか………」

『はい、さすが真竜クラスと言った所ですね。うろこの硬さが半端ないです』

しかも攻撃したことにより俺の位置をヴォルテールに気づかれてしまった。

「フルチャージのグラビティブラストはどうだ?」

『与えられると思いますが、それでも…………それにフルチャージだと魔力に限界が………せめて弱点があれば………』

弱点ね…………
俺は相手の巨大な爪によるなぎ払いを避けながら考える。

(いかに、硬いうろこでも内からなら…………しかしそんなこと出来ないし、いっそボソンジャンプで腹の中に…………ってそれじゃ殺しちまうし………)

『マスター!!!』

「やべっ!?」

火球とは違う、巨大な砲撃が俺に一直線に伸びる。

「ディストーションフィールド最大出力!」

『イエス、マスター!!』

とっさに分厚いフィールドを張るが、耐え切れず砕かれた。

「何っ!?」

俺はその巨大な砲撃に飲まれた…………








「零治さん!!」

ヴォルテールの巨大な砲撃に飲まれる零冶さん。
やっぱり零治さんも………

「星さん………」

「大丈夫ですよ。レイはこんなんじゃ負けないですよ」

そう言い切る星さん。その顔に心配の色は無かった。

(私も信じると決めたんだ。星さんみたいにちゃんと信じてるんだ。)

キャロは再び目線を零冶に移す。




現れたのは赤い線の入った白い鎧を纏った零治だった…………




『マスターうまくいきますかね?』

「やるしかねぇよ。俺はヴォルテールを殺すつもりなんか無いからな」

そうだ、殺すんじゃない。あくまで目的はキャロを安心させるためだ。
ヴォルテールは後に必ずキャロのために力になってくれる。

だから……………

「行くぜ、ラグナル」

『はい、翻弄してあげましょう。前のときみたいには行きませんませんからね!』

自分の身長ほどある銃、パルチザンランチャーをヴォルテールに構え、動いた。

「まずはEモード!」

『どうぞ〜!!』

パルチザンランチャーを構え、動きながら二つの銃口の上からビームの魔力砲を撃つ。
ヴォルテールに直撃したが、ダメージは無いみたいだ。

だけど、

「そらそらそら!!」

俺は高速移動しながらパルチザンランチャーを撃つ。
一発でだめなら10発、それでも駄目なら100発。

その姿は幾つものアーベントが一斉射撃しているように見える。

「グゥ!?」
チビチビ与えているせいか、反応が少し変わったヴォルテール。
だけど…………

「それだけじゃねえぞ、Bモード!」

『こっちはさっきより痛いよ〜!!』

パルチザンランチャーの二つの銃口の下
の部分、そこから大きな魔力弾が撃ちだされる。

こっちは連射できないけど………

「一発の威力はさっきより効くぞ!」

一発撃って、パルチザンランチャーを一回転回し、再び撃つ。それを3回続けた。
ダメージは大したことなさそうだが、じわじわと効いてくるだろう。

「グオオオオ!!」

うっとおしく感じたのか、さっきと同じように巨大な砲撃を撃とうとしている。
この姿で食らったら一発でお陀仏。

だけど………

「それを待っていた!!」

俺は瞬時にヴォルテールの懐に潜り込み、パルチザンランチャーの持っていない左手にアルトアイゼンほどではないが、それでも大きいステークを展開した。

「口の中を火傷しな!!くらえ、Gインパクトステーク!!」

俺はアーベントの唯一の近戦武器、Gインパクトステークであごを思いっきり突いた。
貫くことは出来なかったが、それによってヴォルテールの口はしっかりと閉じ、中に貯めたエネルギーが口の中で爆発する。

「グギャアアアアアア!!!!」
「うわっ痛そう………」

さっさと離れた俺はその光景を見ていた。口をあけて暴れている姿は痛々しい………
だけど………

「キャロの為だ、悪く思うなよ」

『フルドライブ、ブラスターモード!』

白い鎧にあった赤い線が青くなる。
それと同時に背中にある翼が大きく開き、パルチザンランチャーの銃先が変形してさらに長くなる。

「ラグナル、速攻で決めるぞ。パルチザンブラスターFモード!」

「チャージ開始……………………………OKですマスター」

「パルチザンブラスターフルバースト!!」

さらに大きくなった二つの銃口に赤と青のエネルギーが螺旋状に集まる。
貯まったエネルギーが一気にヴォルテールの口へ放出された。

きれいに赤と青の螺旋を描いた魔力砲は、一直線に大きく開けたヴォルテールの口へ行き

「グギャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

大きな悲鳴のような声を上げヴォルテールはその場に倒れたのだった。








「うそ…………」

私は目の前の光景が信じられませんでした。

信じていましたし、負けるとも思っていませんでしたが、こんなに簡単にヴォルテールに勝つとは想像していませんでした。

「ね、勝ったでしょ」

「は、はい」

「とりあえず、レイの所へ行きますか」

「は、はい!」

私たちは急いで降りてきた零治さんの所へ向かいました。





私たちが着いたころには加奈さんと桐谷さんが既に話しかけていました。
ヴォルテールも消えていて、結界も解除されていつもの森に戻っています。

「しかし凄いわね、兄さん」
「いや、暴走してなかったらかなり苦戦したよ。やっぱり真竜は伊達じゃないわ」

鎧を解いて苦笑いしながら言う零治さん。その場にすぐに座りました。

すぐさま、加奈さんが回復魔法をかけています。

「最後のあれが言っていたブラスターモードか?」
「ああ、アーベント版のフルドライブだな。やっと砲撃を撃てるようになったってとこ。………けれど、これで少しでも動いたら3日は全身筋肉痛で動けなかっただろうな………」

話しかけた桐谷さんに、苦笑いで答えています。
確かに重々しそうに動いています。

「キャロ!」

「!!」

私に気づいた零治さんが話しかけてきました。
けど…………

「行っていいのですよ」

「………はい!!」

星さんにそう言われて私は零治さんの胸へ飛び込みました。

「おおっと。キャロ、見てたか?ちゃんと勝っただろ」
「はい、でも心配しました…………」
「……………まあハッキリ言ってかなり強かったからな」

苦笑いしながら零治さんが答えます。

「けれど、これで今日からお前は有栖キャロだな」

「……………いいんですか?」

「何をだ?」

「私なんかが零治さんたち………あたっ!?」

そう言いかけたらデコピンされました。

「うぅ〜何するんですか………」

ジト目で睨みますが、笑ってごまかされました。

「もう家族なんだから他人みたいな言い方は駄目だ。俺のことは呼び捨てかレイと呼べ」

えっ!?でも……………

「どうした?」

「年上の人を呼び捨てで呼べません………」

「そうか?俺は気にしないんだが………」

そう言われても……………

「だったらお兄ちゃんはどうですか?」

星さんが笑顔で言ってくれました。
ああ、それなら………

「待て!!それは…………」

「駄目ですか?お兄ちゃん…………」

そこで否定されると悲しいのですが…………

「全然問題ないです!!」

良かった。即OKもらえました。

「「「ロリコン………」」」

「待て!?今のタイミングでそれを言われると俺、社会的に抹殺された気がする!!しかも星、お前が提案したんじゃないか!!」

「まさかそんなにテンションが上がるとは思いませんでしたから」

「変態に人権は無いわよ」

「桐谷さん、ロリコンって何ですか?」

「キャロ、知るのはもう少し大人になってからだ…………」

むぅ、子供は知ってはいけないことなのでしょうか?

「俺はただ単に純粋無垢な子供と小さい動物や可愛いものが好きなだけだ!!断じてロリコンではない!」

「十分ロリコンで通じるわよ。星、ちゃんとキャロを見てなさいよ。何するか分からないから」

「はい、分かってますよ」

「何もしないっての!!」

お兄ちゃんをいじって楽しんでる加奈さんと星さん。
二人とも楽しそう……………

お兄ちゃんは今にも泣きそうに………

「くすっ」

「………やっと笑ったな」

「そう言えば………」

追放されてから笑ったことなんか無かったな。

「私、お兄ちゃんと出会えてよかったです」

「そうか…………」

しばらく私はお兄ちゃん達のことを見て笑っていました。

辛い事ばかりでしたが、私は最後に家族を得ることが出来ました。
こんな私にも居場所があったんですね…………

これからは有栖キャロとして生きていきます。











「あっ、光蓮花!!」

「「「あっ………」」」

森を出て、転送装置に乗り、帰ろうとした直前に星の一言で本来の目的を思い出した俺たちだったが、キャロがたまたま逃げ込んだ洞窟で見つけたらしく、念のためと摘んでくれたおかげで、戻らずにすみました。
キャロ、マジでありがとう……………
 
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